![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/49700778/rectangle_large_type_2_1af75b2ef75ab3249718acf7ca4a481c.png?width=1200)
夢を現実化する
フロイト『夢判断』のエピソード。父の昼夜の看護も虚しく息子が死んだ。父、隣室へ行き休息した。ドアは開け放っておいた。自分のベッドから遺体の安置された棺が見えるように。棺の周囲にはロウソク。1人の老人が番人になり、棺の横に座りぶつぶつお祈りを言ってる・・・つい2、3時間眠ってしまったようだ。
夢に息子が出てきた。
腕をつかみ、非難するように囁いた。
「お父さん、ぼくが燃えているのがわからないの?」
ハッと目覚める。あわてて隣室へ行くとロウソクが倒れ落ち、シーツと片方の腕が焼けていた。番の老人は眠り込んでいた。
*阪本がドイツ語原文から翻訳。
この夢の解釈、父が夢の中で見た息子が死人としてなのか、それとも生きている人間としてなのかで変わる。フロイトは、はっきりさせてない。
ジャック・ラカン(フランスの精神分析医)の解釈は、こうだ。「生きているうちに精一杯息子と向き合うことをしなかった」「それが死の遠因になったのではないか」という悔いの念を父親が持っていた。息子の言葉「ぼくが燃えているのがわからないの?」によって、見なかった現実、生きなかった現実を突きつけられた。父親は、それに向き合うことを避けるために目覚めたのだ。
このように、人間は、起きているうちは、都合の良いものだけを整理整頓して「現実」としている。まるで夢である。そして夢は意識の地下2階からぶわーっっと「生きなかった現実」を明るみにする。夢こそが現実なのである。
これを商いに応用しよう。
商いの現実というのは、手元にある売上実績である。りんごとみかんを売ってる。りんごがこれだけ売れた、みかんの売上はこう。きちんと数値化されている。しかし、「ぶどうが欲しかったのにこの店にはないから買えなかった」という見逃し顧客の「不購買理由」はどこにも記録されない。
4割打者といっても6割失敗している。イチローは「打てなかった球」を打てるように練習した。ここにイチローの技能向上の秘密がある。
商い実績の手元のスプレッドシートに記載されている数値は、夢でしかない。現実は、「多くのお客さんを見逃し三振してる」である。
「見逃し」への手当てをすることで、いまよりさらに売上を伸ばすことができる。これこそ、「夢」を「現実化」させる行動だ。
あるネットショップのコンサルティングで、実際にやったこと。
「問い合わせ」を徹底的に読み返した。メール(info)に届いたもの、ファクスで届いたもの、電話で届いたもの。
「**はないんですか?」
「○○を買おうとしたんですが、どこにあるのかわかりづらくて買えませんでした」
「決済がやりづらいです」
これらいわゆる「カート落ち」以前の話、あなたのお店で「拾う」仕組みがあるだろうか。
ないのなら、「夢に住んでいる」と言わざるを得ない。現実化しましょう。