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夢を現実化する

夢は現実、現実は夢。

フロイト『夢判断』のエピソード。父の昼夜の看護も虚しく息子が死んだ。父、隣室へ行き休息した。ドアは開け放っておいた。自分のベッドから遺体の安置された棺が見えるように。棺の周囲にはロウソク。1人の老人が番人になり、棺の横に座りぶつぶつお祈りを言ってる・・・つい2、3時間眠ってしまったようだ。

夢に息子が出てきた。

腕をつかみ、非難するように囁いた。

「お父さん、ぼくが燃えているのがわからないの?」

ハッと目覚める。あわてて隣室へ行くとロウソクが倒れ落ち、シーツと片方の腕が焼けていた。番の老人は眠り込んでいた。

*阪本がドイツ語原文から翻訳。

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この夢の解釈、父が夢の中で見た息子が死人としてなのか、それとも生きている人間としてなのかで変わる。フロイトは、はっきりさせてない。

ジャック・ラカン(フランスの精神分析医)の解釈は、こうだ。「生きているうちに精一杯息子と向き合うことをしなかった」「それが死の遠因になったのではないか」という悔いの念を父親が持っていた。息子の言葉「ぼくが燃えているのがわからないの?」によって、見なかった現実、生きなかった現実を突きつけられた。父親は、それに向き合うことを避けるために目覚めたのだ。

このように、人間は、起きているうちは、都合の良いものだけを整理整頓して「現実」としている。まるで夢である。そして夢は意識の地下2階からぶわーっっと「生きなかった現実」を明るみにする。夢こそが現実なのである。

これを商いに応用しよう。

商いの現実というのは、手元にある売上実績である。りんごとみかんを売ってる。りんごがこれだけ売れた、みかんの売上はこう。きちんと数値化されている。しかし、「ぶどうが欲しかったのにこの店にはないから買えなかった」という見逃し顧客の「不購買理由」はどこにも記録されない。

4割打者といっても6割失敗している。イチローは「打てなかった球」を打てるように練習した。ここにイチローの技能向上の秘密がある。

商い実績の手元のスプレッドシートに記載されている数値は、夢でしかない。現実は、「多くのお客さんを見逃し三振してる」である。

「見逃し」への手当てをすることで、いまよりさらに売上を伸ばすことができる。これこそ、「夢」を「現実化」させる行動だ。

あるネットショップのコンサルティングで、実際にやったこと。

「問い合わせ」を徹底的に読み返した。メール(info)に届いたもの、ファクスで届いたもの、電話で届いたもの。

「**はないんですか?」

「○○を買おうとしたんですが、どこにあるのかわかりづらくて買えませんでした」

「決済がやりづらいです」

これらいわゆる「カート落ち」以前の話、あなたのお店で「拾う」仕組みがあるだろうか。

ないのなら、「夢に住んでいる」と言わざるを得ない。現実化しましょう。

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