インスパイアする
ポール・ホーケンは、言う。
ここ、原文にもう一度あたってみたら、ポールは「imbue or inspire」と言っていて、両方「インスパイア」という意味だが、似た単語を重ねて強調しているんだよね。
「北欧、暮らしの道具店」が売っているのは、まさに「インスパイア」だと思う。佐藤店長はじめ、商品プランナーたちからの。
ただ「物体」と「お金」を交換しているわけじゃない。機能を届けているのではない。
今日午後、「北欧、暮らしの道具店」を経営されている青木耕平さんとトークライブやる。キィワードを「インスパイア」として、お話しようと思ってる。楽しみ!
さて、ここでクイズです。
どっちが新品でしょう。
あるいは、
どっちが5年間愛用している方でしょう。
5年間、ずっと手入れしてきた。革なので、磨いて、磨いて。
だから新品と変わらない、いや、履き込むことで革がいい感じに足にフィットし、履き心地は最高。
なんだけど・・・
ひもが汚れてきた。こればかりはどうしようもない。経験から、スニーカーのひもは洗ってもきれいにならない。
馴染の百貨店靴売り場担当者に相談した。
「スニーカーのひもは、うちではこれくらいしかないんですよ。変な話ですが、ハンズさんのほうが種類たくさん扱っておられますから、そっちがおすすめです」
そうか、ハンズのほうが多いのか。
ハンズに行かず、かねてから気になっていたシューケアの店へ行った。早い話、「靴のお手入れ店」だ。
なんとなく敷居が高く、ウロウロしているうち、スタッフの男性と目が合った。
これこれこういう、と説明すると
「わかりました。見せていただけますか」
案内された場所で椅子に座り、履いてるスニーカー脱いだ。
すかさず、ひもを三種類持ってきてくれた。
相談し、これでお願いします。
当たり前のように、彼は新しいひもをスニーカーへ。するするするする・・・見事な指さばき。やはりプロが入れると、ひももぴったりくる。フィット感すごい。
ものの数分で、完成。
「一度履いてみてください」
履いた。
彼は、見る。その見る視線が、美術品を見るようなんだ。
美しいか?
自分の仕事が美しいかどうか、見てる。
お会計。
「770円です」
「えっ!? 入れてくれたことへは?」
彼は笑って、要らない、と。
こっちの気がすまない。でも仮に千円札渡して、「釣りは要らねえ」言ってみたところで、ちゃんとした店だ、会計システムがっちり出来上がっている、むしろめんどくさいだけだろう。
最初の百貨店の担当さんは「ひも」という物体について話してくれた。
シューケアの彼は「愛用しているスニーカーの美」についてケアしてくれた。とてもインスパイアされた。
丁寧にお礼言って、店を後にした。
靴は大好きだから、また、彼に相談しに行こう。新しく何かインスパイアもらえるに決まってるから。今度はちゃんとした売上になる何か、買いましょう。
今朝、6時半。
会社へ向かって歩いてた。
信号待ちしてたら、話しかけてくる。外国人観光客、高校生くらいの女の子三人グループ。
スマホ画面を見せる。
ああ、京阪で京都へ行きたい、北浜駅がどこか、聞いてるんだな
北浜駅はすぐそこ。かねてから下調べは完璧である。
「This way, follow me」
直通のエレベーター教えてあげた。これなら後、間違わない。知らん外人のおっさんと狭いエレベーター同乗は抵抗あるだろうから、下ボタン押して、そこで別れた。インド系の彼女たち、「アリガトゴザイマス」口々に。
彼らの日本観光が、この道案内によって何かインスパイアされたらいいな。
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