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スピリチュアル・キャピタル
「世の中の問題はすべて考え方に起因する。世界を変えたければ考え方を変えなければならない」デヴィッド・ボーム(量子力学者)
ビジネスの世界がパッサパサになってしまっている。
ビジネス・・・商いは、ほんらい、お客さんと関係を結び、関係を耕し、価値の交換を楽しむものだ。
ところが、デジタル化もあって、無味乾燥、パッサパサ。
ひっさびさにJOYWOWのふるさとヨコハマでイベントやろうと企画した。
以前オフィスのあった元町・中華街駅近くのスペースをレンタル。
ところが人間が出てこない。全部ネット。
ある問い合わせをしたのだが、それは「オーナーと直接やりとりしてくれ」というメール。
難しい問いじゃない。
ここまで一切、人間が出てこない。ひょっとするとすべてAIなのかもしれない。
何のためだ?
決済は、すでに予約時にクレジットカードで済んでしまっている。
なんか、気に入らないから、キャンセルした(現時点ではキャンセル料は発生しない)。
ダナ・ゾーハー(Danah Zohar)著『スピリチュアル・キャピタル(spiritual capital)』。
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実は一度翻訳しようと企画したことがある。出版社編集者も交えて。
著者のダナいわく、現在の資本主義は
「自分で自分を食い尽くすモンスター」。
古代英語の「wealth」はほんらい、「to be well」、つまり「よりよくある」。
にもかかわらず、物質的な豊かさのみが意味づけられてしまっている。
これに対して提唱するのが「スピリチュアル・キャピタル」。
人間が共に生き、生を深い部分で豊かにする資本。
「共に生き」が重要で、人が生きていくことと切り離せない。
しかし、現代のビジネスは、「人が生きる」こととははっきり分断してしまっている。
人間が主役ではなく、システムが主役であり、人はシステムの奴隷だ。
『スピリチュアル・キャピタル(spiritual capital)』ではこんな事例も紹介されている。
マイケル・レニー。生まれついての「ゴールデン・ボーイ」。文字通り、黄金の髪をもち、童顔で、生まれの良さがそのまま現れている。幼いころから頭が良く、オックスフォード大学で学び、哲学、言語学、経済を修めた。さらに法学を学んだのち、オーストラリアに戻ってマッキンゼーに入った。
「わたしはすべてを手にしていました」マイケルは言う。
「ゲームとしてのビジネスを愛していましたし、手にしている人生における物質的なアドバンテージを愛していました。何やってもうまくいく全能感に満ちていました」
それは突然やってきた。
マイケルは、余命半年と宣告された。31歳。悪性リンパ腫。白血球を壊すがん。
ところがマイケルは現在もまだ元気に生きている。本の時点で43歳。なぜか。
「医師のすすめる先進療法はすべて受けました。同時に、ほかを見るようにもしたのです」
マイケルの言う「ほかを見る」は、オルタナティブ・セラピストに学んだ「瞑想とポジティブ・シンキング」だ。
「がん細胞をやっつけ、白血球を増やす」思いを続けた。
結果、がんは消滅した。
がんが消えただけじゃない。
マイケルは別人になった。
「振り返ってみれば、長い間、わたしの中には二人の人物がいました。一人は、物質的世界の興奮、刺激を愛する人。もうひとりは内省的な人。
長い間、わたしの中で二人の人間が戦ってました。わたしは選択の問題かな、つまり、どっちの人間になるか、だと思っていました。
がん闘病後、それは選択の問題ではないとわかりました。
融合、だったのです。あのまま融合せず、分離したままだったなら、わたしはまた病気になってしまうことでしょう」
マッキンゼーのパートナーとして職場復帰したマイケルは、「カルチュラル・キャピタル(cultural capital)」リーダーシップ・プログラムを立ち上げた。
「価値、精神(スピリット)、意味」を「費用、戦略、利益」と同等の重みを持つものとしてとらえるリーダーシップ。
著者ダナいわく「半年前わたしが会ったとき、マイケルはオーストラリアの某銀行の2000人のエグゼクティブに3日間の研修プログラムを提供していた」
マイケルの「カルチュラル・キャピタル」とダナの「スピリチュアル・キャピタル」は同義だ。
精神資本。
いまのビジネスがすべて拭い去ってしまった
温かさ
やわらかさ
ぼんやりした人間くささ
笑顔
こそがスピリチュアル・キャピタル。
ダナの仕事をフォローして驚いたのは、中国のハイアールがダナをコンサルタントとして雇い、指導を受けていることだ。
日本企業はまだ、スピリチュアル・キャピタルの重要性に気づいていない。
だとすれば、ぼくが普及しなきゃ。
「世の中の問題はすべて考え方に起因する。世界を変えたければ考え方を変えなければならない」デヴィッド・ボーム(量子力学者)
マーケティング・ネオの基盤として、スピリチュアル・キャピタルも必須の考えだ。
と同時に、「ダイアローグ(対話)」も。
長くなるので、今日はここまでにしますね。