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デジタルテクノロジーは新しいマーケティングを創造する

行きつけヘアサロンの入社式が東京のホテルで開催された。

大阪にいるぼくの担当さんはZOOMで参加した。

「飲み食いもできないしね。その日お休みだったんですが、ただ画面の前にいなきゃいけなくて・・・」

なんか、違う。

担当さんは大阪の幹部だから顔出せ、ということなんだろうが、入社式とその後のパーティで新入社員と対話できるわけじゃなし、できたとしても画面越しだ。

対話

というのは、ボディランゲージなはず。ヘアサロンなら余計に。

「幹部なんだから、入社式には画面越しにでも顔出せよ」

という「上からの忠誠心チェック」としか思えない。

こんな組織風土だから人が長続きしないんだよ、とぼくが言うと、苦笑してた。

このヘアサロンのように、デジタルテクノロジーやサービスを「現実の補完」としか利用できてないことが多い。

ネットショップが生まれたばかりの20年前くらいは、実店舗の補完だった。

でもいまや、そういう店は成果を上げられない。

デジタルテクノロジーは現実をさらに面白くする

ために使われ始めている。

ABBAが40年ぶりにライブをやった。

ただし彼らのアバターで。全盛期の姿、声、ダンス、演奏。

体験者によると、最初のうちこそ「ああ。アバターね」だったが、やがてショーが進むにつれ、現実と幻想の区別がつかなくなり、「そういうのはどうでも良くなった」。

「年齢(とし)の割には若く見えるでしょ?」というMCが観客をわかせる。

ショーが終わって、「現在のABBA」がステージに。

ところが彼らも当然、アバターなのだ。

実際のメンバーは観客席でみんなと一緒にショーを楽しんでいた、というオチまで。

これはメタバースが現実を新たに創造した良い事例だ。

げんに、ミック・ジャガー(80歳、ガールフレンドとの間に6歳の息子あり)もインタビューで触れている。

「あれ、行きたかったんだけど逃しちゃったんだよ」

そして、言う。

「デジタル技術使えばさ、おれたちの死後もライブできるぜ」

ロックバンドのアリーナツアー

を70年代に発明したミックは、デジタルで新しい現実を創造しようとしている。


He is, however, cognizant that the business of the Rolling Stones will outlive him. “You can have a posthumous business now, can’t you? You can have a posthumous tour,” he says. “The technology has really moved on since the ABBA thing [the pop group’s recent “Voyage” virtual show], which I was supposed to go to, but I missed it,” he says. It seems logical to Jagger that one day, fans of the Stones and other older bands will watch such productions, while sifting through vaults of previously unreleased music. The constant repackaging of older music, though—of which the Stones are masters—he finds “pretty boring.”

しかし、彼はローリング・ストーンズのビジネスが自分よりも長生きすると思っている。

「今なら死後のビジネスをやってもいいよね? オレたちが死んだ後のツアーに参加することもできるよ」

「ABBA の例のショー(「Voyage」バーチャル ショー)以来、テクノロジーは本当に進歩した。行く予定だったんだけど、見逃してしまった」

ジャガーにとって、いつかストーンズやその他の古いバンドのファンが未発表音源を漁りながら、そのようなバーチャル体験をするようになるのは当然と思えるようだ。

ストーンズお得意の懐メロを定期的に再パッケージ化して販売することは、「かなり退屈」だとミックは感じている。

"How Mick Jagger Has Kept the Rolling Stones in Business for Six Decades"WSJ, Sept. 26, 2023、阪本訳

デジタルテクノロジーは、リアルワールドをより楽しく、面白く、ワクワクへと変えていってくれる新しいクリエイターの一人だ。
ここに山ほどのビジネスチャンスがある。

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