見出し画像

誰かが泣くようなビジネスは、やめようね

『共感企業』(2010)以来、ぼくは新しい資本主義というものを探求していて、「ビジネス2.0」というコンセプトを提案した。

画像1

ビジネス1.0 :人の気持ちと地球を消費し尽くすビジネスのあり方
ビジネス2.0 :人の気持ちと地球をリスペクトするビジネスのあり方

当時、担当編集者(日経)にも理解されなかったこの考え方は、いま、一つの流れになっている。

画像2

ヘンリー・ミンツバーグが『Rebalancing Society』(邦訳『私たちはどこまで資本主義に従うのか』2015)でも同様の議論をしている。

画像1

テレビ見ていたら、ある地方都市ロードサイドに新規出店する大型スーパーが映ってた。社長も出演している。店長さんは若い。うちの子どもくらいの年齢。この店の前の出店も見事に成功させ、その腕を見込まれたらしい。このスーパーのキャッチコピーは「毎日が特価日」「毎日お買い得」。アメリカの某安売りスーパーの『everyday low price』から来ているんだろう。そう、このビジネスの基本思想はアメリカなんだ。アメリカ発のビジネス1.0。

まず、出店場所は、既に業務スーパーと西友だったかな、すでに2店があるところへ「殴り込み」する。出店担当者(彼女、幸せそうじゃなかったのが気になる)いわく「店舗面積と駐車可能台数は必ず勝つ」。

開店日。お客さんが殺到している。ピザを6枚も7枚も買っていく。そんなに食うのかい。いくら安いったって、車乗って、ガソリン使って・・・。そしてそもそも身体にいい食材なんだろうか。ああいうのを常食していると、結局必要な栄養が身体に入らなくて、やがて将来病気になる。病気のコストを支払う話になるのに。

「毎日が特価日」「毎日お買い得」。そもそもなぜ安いか。新メニュー開発のプロセスが映っていて、わかった。サーモン入れるのをやめて、チーズの量を減らし・・・いろいろしても、それでも原価が高い。担当者、おもむろに電話。海老の仕入れ価格を値切ってた。

そう、「誰かが泣いて、生まれた価格」なのだ。

海老以外、画面には出てこなかったけど、たとえばメーカーとプライベートブランドのチャーハンを共同開発するときも、きっと、メーカーが泣いてるか、その中間にいる誰かが泣いてるはずだ。

誰かが泣くようなビジネスは、続かない。

ビジネスの世界にJOY+WOW+LOVE and FUNの総量を増やすためには、こういうビジネス1.0はブレーキになる。

「でもね。お客様が来てくださるし、喜んでくださるんですから」

そう。客サイドの意識も変わらないとね。いまそれは、「病気」という現象でしか意識改革はされていない。それもまた、「病んで」るんだよね。

誰かが泣くようなビジネスは、やめようね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?