成瀬、天下とってくれ
もはや東京ラブストーリーではないのかもしれない。
東京を舞台に恋愛や仕事というスタイルね。
天下を取りにいく成瀬は大津在住だ。
成瀬の母親は西武大津店がオープンした年の生まれという。ぼくが旭化成でヘーベル売ってた最後から2つ目の大きな仕事が隣の大津パルコ(現・オーミー大津テラス)。なんだか感慨深い。安かったー!大成建設に値切られた。
成瀬に出てくるのが「ぐるりんワイド」という超・ローカル番組。それがええねん。
これ、確実に映画化されるね。
そして映画『あまろっく』
何を隠そう、尼崎は吾輩の故郷である。
生まれは大阪府豊中市だが、離婚したおかんと引っ越しした先が尼崎。5歳から26歳まで住んだ。ただ、この映画の舞台は阪神尼崎の南エリアなので、ぼくの北エリアとは若干違うのだが、そんなことはどうでもいい。
映画に出てくる三和商店街。銭湯。讃岐うどん・・・
ロケマップを見ると、いろんな粒がよみがえる。
泣いた。泣いた。泣いた。隣のおっさんが臭くてタオルのハンカチを鼻に当てて観てたのだけど、そのタオルが涙でぐっしょり。
映画そのものは完璧なのだが、何しろ木曜日昼間に映画館へ行ける人たちは全員、現役ではない。つまり老人ばかり。ぼくたちが最年少、下級生、新入生だった。
チケット予約してて、空席ばかりだなあ、と思ってた。まあ、空いてる分にはいいからと思ってたがいざ劇場行くと、来るわくるわ、開演直前までとろとろとろとろと爺さん婆さんがやってくる。しかも声、でかい。
結局、満席でした。
映画本編が始まろうかという矢先、左端で何かやってる。
どうやらおばあさん、自分のケータイの電源切り方がわからず、なぜか前の列に座ってるおじいさんに「やって」。
おじいさん「そんなん、わしもできひん」
「やってよ」
「できひん」
「やってよ」
ラチがあかず、二人は席を立ち、階段降りて、出ていきました。
全員聞いてるから、全員のホッとした空気が流れた。
やがてまた二人はえっちらおっちら階段上がって、席についた。
若いスタッフに電源切ってもらった模様。
ほかにも、「そこわしの席やで」「そんなことない」「ほら、これ、見てみ」「小さい字で見えへん」
「コーヒーこぼした! だれか、だれか」
これ全部本編上映中です(笑)
日本社会の高齢化の実態を見せていただきました。
『翔んで埼玉』もローカルが主人公だね。
日本だけじゃない。韓国ドラマでも、ソウルばかりが舞台ではない。
このドラマは舞台が済州島だ。
744の自治体「消滅可能性」なんて言われてるが、地方こそが面白い。
エンタメの世界は、現実を予言する力を持ってると思う。
地方が、ぜったい、面白い。いい流れができていると思う。
成瀬、天下とってくれ。信じた道をいけ。