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妻の浮気で、たまたま

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「わたしは、奈良派。」

弱い。

なぜなら、「わたしは、奈良派」とした途端、自動的に「京都」も浮かぶから。

京都と奈良、どっちを選びますか?

「わたしは、奈良を選びます」

という流れに設計されたコピーなのだが、必然的に「京都」も宣伝してしまっている。

コピーは読む人の無意識を刺激し、インスピレーションが浮かぶようにする「瞬のアート」だ。

奈良はどういう場所か。

古(いにしえ)より日本の都であった。

日本人の「阿頼耶識(あらやしき)=集合的無意識」には古都・奈良へのシンパシーがしっかり記憶されている。

それを呼び覚ますコピーにしたい。

ぼくならこんなコピーにする。

「わたしは、奈良とつながっている。」

読む人が「わたし」であり、「いや、わたしは京都派ですけど」といった「分かれ」が生まれない。

コピーといえば、俳句もコピーであり、実は「阿頼耶識(あらやしき)=集合的無意識」を刺激するものだ。

そして、それまでの俳諧の「言葉遊び」を脱し、世界的な詩のアートとして昇華させたのは誰あろう、松尾芭蕉だ。

ずっと疑問に思っていたことがある。

芭蕉の年収問題だ。

芭蕉の時代でも俳句のマネタイズは厳しかったはず。

だから神田上水工事の事務をやっていたというのを見ると納得する。

芭蕉の生涯を紹介するものの本によると「副業」と記載されているが、いやいやどうして、これはメシのための大事な仕事だった。

37歳の冬、突然、隅田川対岸の深川へ転居する。

弟子の数の多さや人気を競い合う当時の俳諧の「俗」な空気を嫌い、文学と生活を一体化する真の徘徊道を目指したのである。

とはいえ、これはつまり収入がゼロになるということ。

弟子たちは師匠のこの心意気に大喜び、生活の支援を惜しまなかった

・・・と美談化されているが、どうも腑に落ちない。

なんで? 

ずっとこの転身にひっかかってた。

今朝、解けた。

芭蕉は禅と出会い、「阿頼耶識(あらやしき)=集合的無意識」の創造パワーに魅了される。

では、いつ・どこで・なぜ・禅と出会ったのか。

34歳から深川へ転居する37歳まで4年間やっていた神田上水工事の事務。その前年、いったん伊賀へ帰郷し、甥の桃印(16歳)を江戸へ連れて行った。

その桃印と妻・寿貞が密通した。

芭蕉(当時の名は桃青)は人生に絶望し、

「もう、なにもかもいやになった」

そこで全部捨て、深川で隠居することにした。

37歳。

そこで同じ深川の臨川庵にいた仏頂和尚と出会う。

この仏頂和尚こそが、芭蕉の禅の師匠となる。

ある日、仏頂和尚が尋ねた。

「調子はどうかね」

芭蕉「ここ数日の雨があがったあと、苔がこれまでになく青々と茂っています」

仏頂は、さらに問う。

「苔が青く茂るよりも前から、そこにあった仏教(仏の教え)とは何か?」

芭蕉は答えた。

「蛙(かわず)飛び込む水の音」

のちに俳句のスタイルにするため

「古池や」を添えた。

一般的に

古池や 蛙飛び込む 水の音

森閑とした木立の中

静寂を破る飛び込む音

その後、蛙が飛び込む前より、静けさは高まって感じられる

といった解釈がされる。

しかし、禅問答の中から生まれた句となると話は別だ。

古池とは

「阿頼耶識(あらやしき)=集合的無意識」

なのであり、

「水の音」は、それを呼び覚ますアラーム

静寂を楽しむ、味わう

というよりむしろ

創造の熱さ

のウェイクアップコールを詠んでいる。

直観を生み出す機

がこの句のテーマだ。

たまたま

妻の浮気

というコンステレーションがあったが

そのおかげで

禅と出会い

芭蕉は自身のキャリアの俳句というものを世界的な詩のアートへと高めることができた。

「たまたま」の効用は、すごいです。

ちなみに阪本は

「たまたま教」教祖を始めました(笑)

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