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マス広告が終わり、成果測定可能なフォーカス・マーケティングが主流になっていく
もう一度、スクリーンの数字とグラフを見直した。
自動車メーカーマーケティング担当役員としての朝の日課だ。
2025年8月4日。
Fテレビのコマーシャルから撤退して6ヶ月経った。
売上、下がってない。むしろ上がってる。営業とディーラーが「テレビコマーシャルが使えない」危機感からこれまで以上に頑張ってくれたおかげだろう。
利益、バク上がりしてる。
テレビコマーシャルに投下していた費用がなくなった分、そのまま利益になってる。
EVにつかうバッテリー(リチウム空気電池)への研究開発費に回すこともできた。
以上は、架空のお話。
でも、現実化するのではないか。
2025年は、マーケティングにとって一つの大きな節目になるかもしれない。
それは
マス広告の無効性が実証された年
として。
25年以上、ぼくやセス・ゴーディンは、「マス広告の終わり」をずっと主張しつづけてきた。でも、テレビ産業複合体とでもいうテレビ局、スポンサー、広告代理店の力は強いままだった。
マス広告とマス・マーケティングをやる人たちは「成果の計測(mesurement)」を無視した。
高度経済成長期の「大きいことはいいことだ」病は、深く、広く、経済人の脳に刻み込まれたままだった。驚くことに、SNSの世界にもこれが感染し、チャンネル登録者数、再生回数、「いいね」の数、フォロワー数・・・すべて「大きいことはいいことだ」になっている。
ぼくがフォーカス・マーケティングを提唱したのが2012年、今から13年前。
「絞れ」「狭く、濃くしろ」と言っても一部の人しか耳を貸さなかった。でも、実行した人は大きな成果を上げている。ネコリパブリックがその代表ブランドだ。クラウドファンディングしたら4000万円集まる。
「マス広告大好き」な人たちが「あかんようになる」状態は、業績に表れている。
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昨日のマーケターはリーチできる人のボリュームを重視する。
いわゆる「ボリュームゾーン」であり、伝統的マーケティングは真ん中の
「アーリー&レイト・マジョリティ」を狙う。
しかしながら、多くの市場において、グループの価値とグループの大きさとは無関係なのである。
フジテレビでテレビコマーシャルしなくなっても売上は落ちず(むしろ上がり)、利益も増える現象を目の当たりにした各企業は、他のテレビ局からも、コマーシャルを引き上げていくはず。
つまり、テレビ局のビジネスモデルが完全に崩壊する。
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そして、マス広告が終わり、成果測定可能なフォーカス・マーケティングが主流になっていく。
これは、某タレントの不祥事があろうとなかろうと、自然な流れだった。
いまだに大谷翔平選手を広告塔に使っている企業は、無駄な投資をやめ、その分、研究開発に回すか、社員への福利厚生に使ったほうがいい。
だって、大谷翔平選手だからといって、何の広告か、誰も覚えていないのだから。
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