「血が騒ぐってのはそういう未来が待ってるってことだ」
ふわりと、疑問が。
「同じ家からなのに、なんでスーツケース2つなんだ?」
到着し、ベルボーイが荷物を運んでくれる。カートに白と紺のスーツケース2つ。一泊二日で、スーツケース分けるか?
「ね、おかしくない?」
受けて奥さん、杉下右京(相棒)のモノマネしながら「これは私としたことが・・・」
旅もののYou Tube動画。
チェックイン時、カードキーホルダーに日付が書かれ、バッチリ映ってる。
「これ、ひょっとするとヤバいかも」二人で、話してた。期待した(悪)。
それが昨秋。案の定、年明けくらいからしばらく動画更新がストップした。
高級なホテルに宿泊、レポートするというもの。同行男性の名前があきらかに仮名とわかるものだった。たとえば「ダイソン」としましょう。
ダイソンくんの奥さんも、動画を見た。
「あれ? うちのと一緒」スーツケース。
日付を見た。
「あれ? 出張のはず」
さあそこから。
動画というのは、動かぬ証拠になる。せいぜい気をつけなければ・・・と話してたら、「そういえばあなた、月イチで必ず一週間ほど出張でいなくなるけど、あれ、ホンマやろね」
詳細省きますが、こういうのを「もらい事故」と言います。
現在、わが家でグーグルカレンダーを共有している背景にはこういう事情があるのでした、まる。
くだんの動画、復活したのだが、すべて企業案件になってしまい、「こちらがバスルームです。わあ広い」「寝室はこちら。ゆったりしたスペースで、ゆっくりくつろげそうですね」「ベランダに出てみましょう。このゆったりチェア。お昼寝もできそうです」
つまらんのだ。
わしらは「過ごし方」を知りたいのに、不動産内見じゃあるまいし、ここが寝室、ここが玄関、ここがベランダ、窓の景色、わぁすごい・・・要らねー。
この人の一番最初の動画。3年前。旅に出る喜びにはち切れそうだった。
血の騒いでるのが明らかで、見ているこっちまでワクワクした。
誰かが言った。料理人だったかな。
「血が騒ぐってのはそういう未来が待ってるってことだ」
彼は血の騒ぐに任せ、海外へ飛んだ。
あ。ぼくもそうだね。血が騒いで、ニューヨークへ飛び、起業した。
血が騒ぐということは、そういう未来が待ってる。You Tube動画旅ものでチャンネル登録者数が増えた。ホテルはもちろん、地方のお役所からお声がかかったりするようになった。「案件」は美味しい。一本いくら、でお金が入る。
ただ、ユーチューバーあるあるで、「案件頼み」になると、この人みたいに、「立ち位置」が変わってしまう。自分の楽しさ、ワクワクのための旅行、その記録から、「誰かのための旅行、その記録、広報」になる。
見ているほうは敏感に察知する。わかる。
仕事を長くやってると、この、「立ち位置変わり」が知らぬ間に起こってしまうことがある。
防止策。
身体を動かす。
週末にMAIDOがある。メンバー全員に、手書きカードでメッセージ贈る。
素直に実行してくれる人がいる。
ぼくのメッセージカード。
毎回全員に。身体、相当使う。指先もそうだが、全身使う。
こちらは、懇親会幹事さんのお助けになるかと。名前はプライバシーもあるので、レタッチし消してます。
これも集中力と全身使う。
書きながら、「大阪をシリコンバレーにする!」という12年前のMAIDO創業期に描いたビジョンをあらためて、思う。
デジタルで、パソコンやスマホですべて片付くかと思いきや、実はアナログこそが救ってくれる。
アナログの情報量の多さ。
全身運動も、アナログだ。
「血が騒ぐってのはそういう未来が待ってるってことだ」
それにしても、いい言葉だね。
*あとで調べたら、金井真紀さんの『世界はフムフムで満ちている』内で出会った言葉でした。
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