好きなはずなのに寝てしまった
映画『ロボット・ドリームズ』
予習バッチリした。
パブロ・ベルヘル監督の話を聴いたり、「ネタバレ」になる映画評も山ほど読んだ。
舞台が80年代ニューヨーク。
監督と、パートナーのゆうこさんがニューヨークに10年ほど暮らし、その記憶からの選択らしい。
70年代はニューヨークが荒れに荒れた時期で、犯罪も多く、おっかなくて逃げ出す人が続出した。おかげで家賃が下がった。80年代、下がった家賃のおかげでミュージシャン、画家、小説家、詩人など多くのアーティストが集まるようになった。監督とゆうこさんもそんなdiversty(色とりどり)な環境で出会い、恋に落ちた。
家賃700ドル程度で住めた。
ところがいまはとんでもない家賃になってしまい、まさに資本主義の行き着く先になった。
チェルシーだと2ベッドで5,000ドルから8,000ドルという。
ぼくがニューヨークに住み始めた頃はすでに家賃が上がっていたけど、今ほどじゃない。
探せば、クイーンズやブルックリンには安いアパートメントはあった。
ぼくはソニー創業者盛田昭夫さんの言葉
「一番安い部屋でもいい。高いアパートメントに住め。相手は君がどこに住んでいるかで君を判断する」
に従い、無理してタイムズスクエア近所の新築タワーマンションに住んだ。
話を映画に戻す。
80年代だから、ビデオはVHS、レンタルショップはキムズビデオ(監督はここでアルバイトしていたらしい)。
きっとぼくの大好きなニューヨークに触れられる。
期待富士山で、出かけた。
映画館は行き慣れてない場所にあるので、用心し、一時間前には到着、パンフレットを熟読してさらに予習を深めた。
ところが;
不覚にも寝てしまった。
起きなきゃ、起きなきゃ、と、ところどころで目を覚ますのだが、気づいたらロボットの胴体がラジカセになってしまっていて、わけわからん。
ラストはしっかり見た。
見たのだが、でも、世の中の評判
・全国民はすべて捨てて映画館へ走れ
・涙腺崩壊でどうしようもなかった
・今年観た中で1番
といった感激はゼロ。
ふーん
で終わってしまった。
ある映画評で
「サイレンの音がニューヨークの物騒さをあらわしている。あれはどうにかならんのか。また、二人の間に「愛」が芽生えたとしても、しょせん金で買った物体とのことでしょう。そこに資本主義を感じる。醒める」
というのがあったが彼はことごとく外してる(寝てたやつには言われたくないだろうが(笑))。
ニューヨークに住んだことがある人なら、「サイレンこそがニューヨーク」とわかるはずだ。
そして、二人がロボットであろうと犬であろうとチンパンジーであろうと関係ない。
これは、愛の物語なのだから、関係の物語なのだから、極端な話「電柱とソケット」でも成り立つのだ。
本質を理解していないとこういう恥をかく映画評をやっちまう。
エンドロールで流れた音楽が最高にカッコよかった。
やれやれ、これはもう一度観るしかないね。
でもしばらくはBE:FIRSTやら室井慎次やら観たい映画が山積みなので、配信で観るか。
配信だと、寝ても大丈夫だからね。
それにしてもあの映画館、やはり「何かいる」のかもしれない。
前に観た映画のときも眠くてたまらなくなったから。