人生で起こることは、すべて、とぐろ島でも起こる
1.はじめに ~とぐろ島へ、あるいはとぐろ島にて~
人生で起こることは、すべて、とぐろ島でも起こる(※1)。
風来のシレンシリーズ14年振り(※2)の新作発売が公になった際、全世界10億人の風来人(※3)は狂喜乱舞した。”アーマード・コア”の新作と同様、身体が不思議のダンジョンを求めながらも、実際に新作が発売される未来が存在することを心の底から信じていた風来人は多くなかったと思われる。無論、筆者もその一人であるし、発売日が”ペルソナ3リロード”の1週間前(※4)という事実に戦慄を覚えながらも、発売されるからには生半可な気持ちではなく、全身全霊で向き合わなければならないと思いながら、発売日である1月25日(※5)を迎えたわけである。
筆者自身は、風来のシレンシリーズは一通りプレイしているし、その中には名作と名高いが、新規ROMの入手が難しい”風来のシレン外伝 女剣士アスカ見参”も含まれている。しかしながら、各作品において風来人を待ち受ける全てのダンジョンをクリアするというほどの意欲はなく、ストーリーをクリアし、クリア後に現れるダンジョンを一つ二つとつまんではフェードアウトする、というくらいの取り組み方であった。
翻って、この14年ぶりの新作、”風来のシレン6 とぐろ島探検録”については、あれよあれよととぐろ島を巡り、”ペルソナ3リロード”の発売日前日に、シリーズ恒例の”もっと不思議のダンジョン”である”とぐろ島の神髄”をクリアした。その他のダンジョンも全て踏破した。つまり、珍しくのめりこんだのである。これは不思議のダンジョンシリーズとしては2作目、そしてシレンを主人公とした記念すべき最初の作品である”
風来のシレン”(※6)に続き、2回目の経験である。
自分がなぜこれほどまでにとぐろ島探検にのめりこんだのか、その真相を探るべく、筆者は再度とぐろ島に向かった。単純に”必中の剣”(※7)が欲しくてとぐろ島の神髄に繰り返し潜っているだけなので、本気で真相を探っているわけでは勿論ないのだが、ここまでのめりこんだ理由の一つは、「とぐろ島が人生の縮図だから」ということだと感じている。ここで冒頭の言葉に繋がるわけである。人生で起こることのすべてがとぐろ島で起きているし、とぐろ島で起きる全てのことは、人生でも同じように起きているのではないか。その真相を探るべく、筆者は今日もとぐろ島に向かう。以下無限ループ。
2.とぐろ島で何が起きているのか
巷間囁かれているのは、インフレが起きている、ということである。
インフレとはインフレーション(※8)の略で、一般社会ではモノやサービスの価格、即ち物価が継続的に上昇することを言う(たぶん)。転じて、ゲームの世界でのインフレとは、ゲーム内で購入できるモノやサービスの値段が上昇することではなく、ゲーム内で表現される数値、とりわけダメージ量が上昇することを言う(たぶん)。”シレンシリーズ”の過去作と比較し、特に敵モンスターから与えられるダメージが上昇しているというのが、世間の風来人が感じていることの様である。
とぐろ島に初めて挑んだ際、筆者が感じたのもこの点である。とにかく、ダメージが大きい。”あなぐらマムル”(※9)と一対一で殴り合ったら息も絶え絶え、中盤以降は、半端な装備ではモンスターと対峙するたびに瀕死。囲まれようものなら打開アイテムなしでは生存すら怪しい。「はいはいはい、なるほどなるほど、今回はこういうゲームバランスなのね」と知った顔で一人首肯した発売日の夜であった。
ところで、インフレとは物価の上昇なので、並行して賃金水準も上昇する前提では、そこまで忌避されるべき状況ではない(※10)。反面、賃金は上昇せず、物価だけが上昇する前提だと、生活に大きな打撃となる。とぐろ島で起きていることがインフレだとすると、並行して賃金に相当するものも上昇しているのかどうかが非常に重要なファクターになるということは想像に難くない。
風来のシレンシリーズで、ゲーム内の通貨は”ギタン”と呼ばれている。特に盗まれ、時に武器となり(※11)、時に呪われているギタンだが、観察する限りにおいて、相場は変わっていないと思われる。ここで筆者が考えるのは、ダメージ量がインフレしているのであれば、賃金に相当するのはHP、あるいは打たれ強さ、即ち風来のシレンにおける盾の強さになるのではないか、という点である。これが論点だ。とぐろ島でのシレンのレベル1における初期HPは15。レベルアップによる上昇量も過去作と大差なし。盾のラインナップも大きく変わっておらず、”鉄甲の盾”(※12)の基礎値は6。筆者の心に存在する湘北高校バスケ部監督、安西先生(※13)が堪え切れずに呟く。何も成長していない…!
以上の事から、筆者が出した結論は以下である。
とぐろ島で起きているのはインフレーションではない。
とぐろ島で起きているのはスタグフレーション(※14)である。
3.君たちは(とぐろ島で)どう生きるか
こうなると、風来のシレン6の制作陣が、とぐろ島を現代の日本になぞらえているのは”火炎入道”(※15)を見るより明らかである。これは即ち、とぐろ島の攻略は現代日本における生存競争すなわち人生のシミュレーション。ニューヨーク沖の海上プラントで行われていた一連の事件(※16)と同じコンセプトなのだ。愛国者達(※17)と異なるのは、ゲームを通じて人々に生きる道標を与えようとするチュンソフトの姿勢であり、そのダンジョンに空いている溝よりも深い慈悲に、筆者としても感銘を受けざるを得ない。生きることとはとぐろ島を探検することである。それこそがチュンソフトのメッセージだ。そうに決まっている。
こうなると、一度や二度の敗北で諦めるわけにはいかない。この日本で生き残る為には、とぐろ島を踏破しなければならないのだ。ゲームにおけるスタグフレーションをその身に受けながら、その為の武器を懸命に探す。そして現代社会の暗闇の中で筆者が見つけ出した打開要素が以下の二つである。
まずは”ドスコイ状態”(※18)である。こういった際に新要素に救いを求めるのは、ゲーマーとしての定石だ。ドスコイ状態になると、HPの最大値が上がる。そして攻撃力が上がる。この恩恵は凄まじく、それまで敵と戦うたびに赤く点滅していたシレンのHPに余裕が出る。そして攻撃力アップ。モンスターを倒すことのできるターン数が減少することで、被弾の機会が減り、結果として生存確率が大きく上がるのである。これこそまさに、チュンソフトが迷える風来人に用意した現代社会の打開要素ということだろう。食事を適切に取るべきだという、田舎の祖父母ではなくチュンソフトからのメッセージである。
風来のシレンを始めとする不思議のダンジョンシリーズは、リソース管理ゲーである。ダンジョンで入手できる様々なリソースを、適切に、しかし時には大胆に消費する(※19)ことによって攻略する。しかしながら、その中で、満腹度というリソースに焦点があてられることはこれまでなかったように思う。今回のシレン6は、満腹度という風来人の認識の隙をうまく突いている。ドスコイ状態になるには満腹度を上げることが必要で、満腹度を上げる為には”おにぎり”(※20)が必要だ。おにぎりがこれほどまでに脚光を浴びるゲームが今までにあっただろうか(※21)。これが制作陣からのメッセージなのだ。食事をケチるな。食べたいものを食べろ。とにかくたくさん食べて、身を粉にして働け。昭和の香りがする。ちなみに、シレンでは”おにぎり”と”草”(※22)と”ヤキイモ”(※23)と”かつおぶし”(※24)しか食べ物の選択肢はない。草はバリエーションが豊富だが、おにぎりは大きさを除けば焼いてあるか腐っているか特製かの三択しかない。色とりどりではないだけ、草よりはマシである。
次に、やはり”白紙の巻物”(※25)の存在に触れずして、とぐろ島を語ることは出来ない。とぐろ島では白紙の巻物を拾う機会が非常に多い。過去作と比較して明らかに出現率が高く設定されている。最難関ダンジョンであるとぐろ島の神髄も、白紙の巻物を如何に活用するかが攻略の鍵となっている。これまでの論ぷからもうお分かりだと思うが、ここに制作陣の意図、思い、メッセージ、伝えたいこと、届けたいこと、投げかけ、問いかけ、呼びかけがあるというか、とにかく制作陣は我々に白紙の巻物を通じてサンボマスター(※26)のように我々に語りかけている。人生というものは、真っ白な巻物のようなもの、誰が何を書くかで効果が変わる、すなわち、人生という名の白紙の巻物に、何を描くかで行く末が変わるのだ、と。そうに決まっている。
白紙の巻物は、オリジナリティだ。表現力が問われる。その人がどのような人物なのかを知りたければ、白紙の巻物に何を書くのかを見ればよい。結婚相手の人格を見定めるのに白紙の巻物を用いるようなことがあっても筆者は驚かないが、相手が風来人でなければ”ねだやしの巻物”(※27)にしかならないので、気を付けた方がいい。結婚前に長めの旅行に行くくらいにしておいた方が良い。”真空切りの巻物”(※28)を書かれた日には、そういった意図があるものと受け取らざるを得ない。なお、”祝福の巻物”(※29)は今作には存在しないことには留意すべきだ。
話が逸れたので閑話を休題する。上記の通り、筆者はシレン6、特にとぐろ島の神髄は「ドスコイ状態と白紙の巻物を駆使して打開するゲーム」だと思っているが、これこそがスパイク・チュンソフトから我々に向けられた、現代社会を生き延びるためのヒントにしてメッセージである。チュンソフトは我々に語り掛ける。人生に行き詰っていると感じているならば、食事をとり、想像力を駆使して絵を描け、と。そして良い神器(※29)が拾えることを祈り、チャンスを伺うのだ。
4.おわりに ~人は皆、神が作った風来人である~
(※30)
とぐろ島の神髄の40階から49階は、いわゆる戦車ゾーンとなっている。特に40階と41階は、出てくるモンスターの大半が”オヤジ戦車種”(※31)であり、突破の可否はわらわらと群がる戦車達への対処法を確保出来ているかで決まる。
最も簡単かつ根本的な対処法は、白紙の巻物にねだやしの巻物を書き、オヤジ戦車種を存在ごとダンジョンから消してしまうことである。前述の通り、とぐろ島の神髄では白紙の巻物の出現率が高く、40階までに少なくとも1枚は確保出来ているだろうから、大半の人がこの方法を取るだろう。筆者もそうしている。”耐炎耐爆のお香”(※32)や”爆発隠の盾”(※33)で10階層を降りきることは現実的とは言えない。
ある日の冒険にて、筆者が40階に降り立ったところ、開幕で4体のガンコ戦車(※34)に囲まれていた。この冒険では、道中で最強の探索アイテムである”壁抜けの腕輪”(※35)を入手し、武器と盾も十分、アイテムも一通り揃っていたが、白紙の巻物だけには恵まれず、道中で拾えた1枚の白紙の巻物に「ねだやし」(※36)と書き、40階に降り立っていた。
囲まれていると言っても、ねだやしの巻物を当てれば全てのガンコ戦車が消える。問題は、射線上にいたガンコ戦車はシレンと位置が近く、万が一にもねだやしの巻物が外れた場合は、続く砲撃で地面に落ちた巻物が燃え尽きてしまうということである。位置的に、壁に潜って窮地を脱することは難しい。そもそも、砲撃されれば壁はえぐられてしまうのである。
当たればこの冒険の打開はほぼ約束されたようなものだが、外れた場合は、壁抜けの腕輪を持っているとしてもかなり厳しい戦いを強いられることになるだろう。その時点で、筆者の頭の中は、外れるリスクを見越してねだやしの巻物を投げるか否か、という思考に支配されていた。シレンシリーズで投擲が当たる確率は85%程度と言われている(※37)。かなり分のいい賭けだ。ねだやしの巻物なしで対処しようとすると、持っているアイテムを複数個使用する必要があるだろう。外れる可能性は15%程度なのだから、投げるしかない。
意を決して筆者は”ねだやしの巻物”を投げ、甲高い音がなり、返す刀の
ガンコ戦車の砲撃で、巻物は燃え尽きて消えた。
結局、その冒険は、最終的にイッテツ洗車に囲まれ倒れることとなったのだが、最も反省すべきは保存の壺の奥底にヤキイモが眠っていたことである。筆者が取るべき最善の行動は、ヤキイモを食べてガンコ戦車4体を部屋の外に飛ばし、外れてもねだやしの巻物がなくならない状況を改めて作ることだったのである。短絡的な思考に支配されて最適解を見過ごしていた。落ち着いて持っているアイテムを精査すれば、その冒険は打開出来ていたかもしれない。ちなみに”裏神髄”(※38)だ。
85%の確率に自らの運命を託せる人間は、風来人とは呼べないのだ。
今、目の前にねだやしの巻物を投げようとしている筆者を見つけたら、刺し違えてでも止めると思うが、同時に「これも人生だよな」と思うわけである。人生でも、楽な道に逃げてしまい後悔することはあるし、ティルト(※39 )に陥って正常な判断を下せないこともあるし、自分が取った選択肢に後悔することもあるだろう。必要なのは、同じ過ちを起こさない為の経験である。おにぎりだけではなく、経験を糧に人は強くなる。とぐろ島でモンスターを倒して得られる経験値は、我々の人生における経験値であり、それによって上がるレベルは人生を過ごすうえでのレベルである。ここで冒頭の言葉に戻る。
人生で起こることは、すべて、とぐろ島でも起こる。
人生という旅路を行く、全ての誇り高き風来人に、旅の神クロンの追い風を。
注記
※1:人生で起こることは、すべて、とぐろ島でも起こる
元ネタはTVドラマ「王様のレストラン」に登場する、ミッシェル・サラゲッタの言葉で、原文は”人生で起こることは、すべて、皿の上でも起こる”。ミッシェル・サラゲッタ自体は架空の人物であり、この言葉も脚本家の三谷幸喜(敬称略)の創作である。
※2:風来のシレンシリーズ14年振り
前作の”風来のシレン5 フォーチュンタワーと運命のダイス”の初出は2008年。その後、2010年にリメイクである”風来のシレン5plus"が発売されており、2020年にはニンテンドースイッチへの移植もされているため、14年振りという感覚はあまりない。
※3:全世界10億人の風来人
筆者による推定値。もっと多いかもしれない。
※4:発売日が”ペルソナ3リロード”の1週間前
”風来のシレン6”(1月25日)→”ペルソナ3リロード”(2月2日)→”FINAL FANTASY REBIRTH”(2月29日)→”ユニコーン・オーバーロード”(3月8日)。途中、”龍が如く8”も1月26日に発売されている。激務が続く。
※5:1月25日
この翌日が筆者の誕生日であることに念の為触れておく。
※6:”風来のシレン”
不思議のダンジョンシリーズ2作目にして、風来のシレンシリーズ1作目。前作の”トルネコの大冒険 不思議のダンジョン”から、オリジナルの作品となり、子供心に面白いのか心配になった記憶があるが、杞憂だった。誰も見たことのない”黄金郷”を目指し、シレンが”テーブルマウンテン”と呼ばれる未踏破のダンジョンに挑む。単純に、目の前に誰も行ったことのない土地があるから挑む、というのが真の風来人らしくて個人的には好きである。
※7:”必中の剣”
風来のシレンに登場する武器の一つで、攻撃が必ず命中するというある意味でゲームコンセプトを破壊する特徴を持つ。シレン6では、6回目のとぐろ島の神髄踏破報酬。
※8:インフレーション
ここでのインフレーションの説明は筆者の知識から捻り出したものであり、厳密にいればいろいろと間違っている、あるいは説明が不足している可能性があるが、議論の本質ではない為、ご容赦を頂きたい。
※9:あなぐらマムル
風来のシレンにおけるマスコットモンスター、マムルがレベルアップした姿。マムル→あなぐらマムル→洞窟マムル→ギタンマムルの順でレベルアップする。マムルとあなぐらマムルは最序盤に登場するモンスターだが、洞窟マムル以降は強さが跳ね上がり、対策アイテムなしでは立ち向かえない。
※10:そこまで忌避されるべき状況ではない
※8を参照。
※11:時に武器となり
ギタンを投げてモンスターに当てると、額面の5分の1のダメージを与える。前作までは10分の1だったように記憶しているので、インフレが起きているかもしれない。ギタンのグラフィックから、紙幣ではなく硬貨と思われるので、札束で叩いているわけではなく、単純に硬いものをぶつけているものと筆者は理解している。
※12:鉄甲の盾
風来のシレンにおけるおなじみの盾の一つ。過去はこの盾を手に入れると多少テンションが上がったが、近作では様々な盾が実装されており、時代とともに価値が下がってしまった悲しい装備の一つ。
類義語:カタナ。
※13:湘北高校バスケ部監督、安西先生
言わずと知れた『SLUM DUNK』の登場人物。弱小だった湘北高校を全国大会に導く。かつては”ホワイト・ヘアード・デビル(白髪の鬼)”として恐れられていたが、とある選手の指導に関する出来事を経て、現在は非常に温厚な”ホワイト・ヘアード・ブッダ(白髪の仏)”と呼ばれている。「何も成長していない…!」は、その出来事における名台詞だが、最も有名なのはもちろん「諦めたらそこで試合終了ですよ」。
※14:スタグフレーション
賃金の上昇を伴わないインフレーションと理解しているが、引き続き※8を参照。
※15:火炎入道
風来のシレンに登場するモンスター。全身に炎を纏った人間のような姿をしており、火炎入道→魔炎入道→獄炎入道→煉獄入道の順でレベルアップする。身にまとう炎でアイテム投擲を無効化する、爆風で分裂するなどの特徴を持つ。
※16:ニューヨーク沖の海上プラントで行われていた一連の事件
”メタルギアソリッド2 サンズオブリバティ"のプラント編を指している。海上プラントで起きたテロが、実は最強の兵士を育てるためのシミュレーションだったことと、とぐろ島が人生のシミュレーションであることを対比させているのだが、かなり無理矢理な気がしてならない。
※17:愛国者達
”メタルギアソリッド”に登場する、歴史を裏で操っているとされる謎の組織。存在を認識していても、その名を呼ぶことは出来ず、発話しようとすると”らりるれろ”に変換されてしまう。
※18:ドスコイ状態
シレン6では、満腹度の最大値が150%を超えるとドスコイ状態になり、HPの最大値+50、与えるダメージの上昇、高飛び草等による強制移動の無効化、罠を踏んだ場合に破壊、等の効果が発生する。ドスコイ状態中は満腹度の減少スピードが2倍になるが、この状態をいつ発動し、如何に維持するか、という点が非常に重要である。
※19:時には大胆に消費する
不思議のダンジョンシリーズに不慣れなプレイヤーの傾向として、アイテムを抱えたまま倒れる、というものが挙げられる。倒れてしまうと全アイテムロストというゲーム性を踏まえると、「宵越しの金は持たない」という考え方が重要である。ラストエリクサーをクリア後まで使用しない派閥のゲーマーは、”シレン”をやる場合には考えを改めた方が良い。
米20:おにぎり
風来のシレンシリーズにおける食料。シレンはダンジョンを探索すると満腹度が減り、空腹になっていくが、減った満腹度をおにぎりを食べることで回復させることが出来る。水につけると腐り、炎を浴びると焼けるという、リアルなんだかよく分からない特徴を持つ。おにぎり、大きいおにぎり、巨大なおにぎり、ジャンボおにぎり、焼きおにぎり、腐ったおにぎり、特製おにぎりの7種類。
米21:おにぎりがこれほどまでに脚光を浴びるゲームが今までにあっただろうか
米が脚光を浴びるゲームとしては、”天穂のサクナヒメ”が有名。
※22:草
風来のシレンシリーズにおけるアイテムの一つ。HPを回復したり、ちからを上げたり、眠ってしまったりと、メリット・デメリットの双方で様々な効果を持つ。自分で食べたり、モンスターにぶつけるだけではなく、持っているだけで倒れた際に復活できる草もあるが、原理がよく分からない。何の草か識別されていない状態では、色や形状で特徴が表現されており、にじ色の草ともなると最早食べない方が良いようにも思えるが、見た目と効果に因果関係は全くない。
※23:ヤキイモ
とぐろ島で新たに登場した食料の一つ。食べると満腹度が50回復するが、同時にガスを撒き散らし、周りにいるモンスターが一目散に飛んでいく。打開アイテムとして非常に優秀だが、イモを食べてガスを出すというのは、令和の時代においては非常に古臭い表現だと思うし(ガスだけに)、そもそも両者に関連性があるのか、筆者には判断がつかない。
※24:かつおぶし
風来のシレンにおける武器の一つ。食べ物ではなく武器としてカテゴライズされるが、もちろんオニギライズも出来る。武器なので、装備することが出来るが、同時に独自のコマンド”かじる”を持ち、かじると武器としての強さと引き換えに満腹度を20回復出来る。本来、鰹節は堅すぎてかじることなど出来ないと思うが、風来人は特殊な訓練を受けているのだと考えられるので、鰹節を直接かじることはやめましょう。
※25:白紙の巻物
風来のシレンシリーズでは様々な巻物が登場し、読むことで色々な効果を起こすことが出来る。白紙の巻物は、そのまま読んでも何の効果も発揮されないが、これまでシレンが読んだことのある巻物を書くことで、任意の巻物として使用することが出来る。巻物に書いてあるのが文字なのか絵なのかわからないが、未識別の状態だと絵柄で特徴が表現されているので、おそらく主として絵が描いているのだと考えられる。例えば、絵の苦手な風来人がいたとして、ネコなのかトラなのかわからない絵を描いてしまった時には、どういった判定がされるのか、思索は巡れども結論は出ない。白紙の巻物を上手く活用するには絵画教室に通うべきなのかもしれない。
※26:サンボマスター
日本のロックバンド。いつだって、我々に語り掛けるものの代名詞はサンボマスターである。
※27:ねだやしの巻物
最も物騒な名前を持つ巻物で、読んでも何も起きず、投げてモンスターにぶつけると、当てたモンスターの種族をその冒険中だけダンジョンから消すことが出来る。これも原理が分からない。かつては”ジェノサイドの巻物”という名前だった記憶があるが、”ねだやし”よりも物騒な表現なので、この名称変更は当然かつ英断と思われる。
※28:真空切りの巻物
読むことで、周囲のモンスターにダメージを与える。与えるダメージはそこまで大きくなく、深層では全く役に立たないし、低層だと殴れば十分なので、あまり存在感がない。バフを求む。
※29:祝福の巻物
読むと、対象のアイテムを祝福することが出来る。祝福されたアイテムは、1度使用しても無くならないことに加え、特定のアイテムは効果が大きくなったり、対象範囲が拡張される等のメリットがある。バランスブレイカーと言っても良いくらいの効果であり、今作では登場しない。
※30:人は皆、神が作った風来人である
これも「王様のレストラン」におけるミッシェル・サラゲッタの名言から取っており、元は”人は皆、神が作ったギャルソンである”。
※31:オヤジ戦車種
その名の通り、中年男性が乗った戦車を模したモンスター。最大の特徴は攻撃方法で、乗っている戦車から砲弾を飛ばしてシレンを攻撃する。砲弾は固定ダメージで、当たった対象の周囲1マスにもダメージを与えることに加え、範囲内のアイテムを燃やして消失される。オヤジ戦車→ガンコ戦車→ゴウジョウ戦車→イッテツ戦車とレベルアップするが、その攻撃方法からシレンの周囲のモンスターを巻き添えにしがちな為、すぐにレベルアップする。イッテツ戦車は2倍速・2回行動・固定50ダメージという驚異的な強さ。ある意味、風来のシレンを象徴するモンスターと言える。
※32:耐炎耐爆のお香
お香にアイテムをくべることで、耐炎耐爆の効果を発生させる。耐炎耐爆の効果が発生している場合、炎や砲弾のダメージを無効化することが出来るが、文中にあるように戦車ゾーンは全10階層に及ぶため、このアイテムだけでの打開は困難。
※33:爆発隠の盾
盾の一つで、装備していると爆発によるダメージを半減させる。それなりに効果があるが、イッテツ戦車になるとそれでも25ダメージ2回の為、囲まれた場合には焼け石に水である。
※34:ガンコ戦車
オヤジ戦車がレベルアップした姿。青い。世の春を謳歌している年代なのかもしれない。
※35:壁抜けの腕輪
装備すると、ダンジョンの壁に潜ることが出来る。壁に潜ると、毎ターンダメージを受けるが、一部を除いて敵の攻撃を無力化することが出来る。緊急時に壁に潜って離脱する、壁から一方的にモンスターを攻撃する等、これ一つで大半のモンスターを完封し、危機的状況を脱することの出来るバランスブレイカー。拾った際に最もテンションの上がるアイテムの一つ。
※36:ねだやし
”ねだやし”がどういう絵か、未だに判明していない。
※37:シレンシリーズで投擲が当たる確率は85%程度と言われている
85%は確率としては高いように感じれられるが、ゲーマー、特にエムブレマーにとっては信頼に足る数字とは決して言えず、投擲は当たらない前提で戦略を組み立てるべきである。ゲーマーにとって信頼できる数字は100%のみ。
※38:裏神髄
とぐろ島の神髄をクリアした後に登場する、とぐろ島における最難関ダンジョンの更にその先。ダンジョンの構造自体はとぐろ島の神髄と同一だが、一定階層毎に”星の石”というアイテムが落ちており、これを12個集めた状態で99階まで辿り着くことが目的となる。星の石は壺に入れることが出来ず、シレンが持ち運べるアイテム数は最大で24個の為、最終的にはアイテム欄の半分が圧迫された状態で打開を目指すことになる。不思議のダンジョンシリーズはリソース管理ゲーであり、活用できるリソースの上限=アイテム保有上限を下げる星の石は、結果的にダンジョンの難易度を跳ね上げる。
※39:ティルト
ポーカーにおいて、プレイヤーが合理的な判断が出来なくなり、感情にかられた行動をとるようになってしまった状態。人間は、いつでも誰でもティルトに陥っているとも言え、合理的な判断が出来るのはゲームの中だけだと筆者は考えているが、ゲームの中でもティルトに陥ることはよくあり、結局のところ、感情と判断を完全に切り離すことは不可能なのではないか、と思わなくもない。