Sosuke Kizu

大分→東京/小説/映画/トリニータの背番号12

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最近の記事

『蹴りたい背中』はなにがすごいのか~青春のアンビバレンス~

『蹴りたい背中』はすごい。 はじめてこの作品を読んだのは高校生のとき。ちょうど物語の主人公たちと同じくらいの年齢で、ぼくは長期の入院中だった。 ある日、読書好きの知人が見舞いに来て、「もしよかったら」と、古紙回収ぐらいの量の本をテーブルに積みあげた。全然よくはなかったが、言う前に相手は帰っていた。 夜な夜なぼくは、義務感から本をさばいていった。そしてその中の一冊が本書だったのだ。 すごい。 最年少で芥川賞を受賞! みたいな情報は耳に入っていたので「どうせ若いから注目

    • 『暴走社長の天国と地獄 大分トリニータv.s.溝畑宏』

      虚と実、光と影、本音と建前の交錯する男である。欠点の多い男であり、隙の多い男である。人なつっこく出たがりで、その分、脇の甘い男である。 本書では溝畑宏はこのように表現されている。 おそらく30代以上の大分県民はこの顔を見たらピンとくるはずだ。選手の中心でぎこちなく舞う、どこか親しみやすい風体の男が溝畑宏その人である。 彼は、グラウンドもクラブハウスもない、選手もいないところからチームを立ち上げ、キャリア官僚の職を辞し社長に就任。15年でナビスコ杯優勝を達成し「地方か

      • 『脱マウス最速仕事術』

        本屋をぶらぶらしていたとき、赤い表紙と至極わかりやすい題名が目に飛び込んできて、思わずジャケ買いした。 この本で言わんとすることは表紙と帯にほぼ書いてある。 ぼくは事務系の仕事をしていて、作業は基本PCというのもあって、ショートカットキー関連の本は数冊持っている。しかしほとんどが、ここを押したらこうなるよ、と紹介だけで終わっており、これならネットで調べても変わらんやん、と買うたび苦々しい思いをしている。 自分が求めているのは、体系的にまとまっていてキー自体への理解が深ま

        • 速読でもなく、遅読でもなく

          速読にあこがれたことがある。速く読むことができれば、限られた時間で多くの本に触れることができ、その分、人生が豊かになるような気がしたのだ。 速読の方法みたいな本を数冊読んで、試してみた。でもすぐに辞めた。情報を拾うことに集中してしまい、自分がいま持っている知識を当てこむような読み方になったから。速読では、一冊の本と出会い、読む前と読んだ後で違う世界が開けるという豊かで無二の体験を、自ら放棄することになってしまいそうだった。 情報を収集するためだけに文章に目を通す場合を除き

        『蹴りたい背中』はなにがすごいのか~青春のアンビバレンス~

          小説について思う、いくつかのこと

          ぼくは小説を読む。体調や気分によって波はあるものの、習慣のように小説を読んでいる。 昔からそうだったわけではない。高校ぐらいまでは、音楽や映画にどっぷり浸かっていて、正直、小説はめんどくさいと思っていた。音楽は数分で気分を変えることができて別のことをしながらでも楽しめるし、映画は視覚や聴覚にダイレクトに響いて二時間ちょっとで壮大な世界を体感することができる。 それに比べて小説の地味なこと、まどろっこしいこと。読むのに集中力が必要で、時間がかかってしょうがない。他の表現形式

          小説について思う、いくつかのこと

          平凡も積もれば個性となる

          ぼくはいわゆる「ゆとり世代」だが、ぼくの知らないところでゆとり教育は終わりをむかえていた。気がついたときにはもう世の中は「脱ゆとり」に舵を切っていて、残されたのは不名誉な「ゆとり世代」という烙印だけだった。はっきり言って、いい迷惑である。そもそもぼくは、時代を一括りにして名前をつけ、なにか理解したような気分になるのは好まない。 ぼく個人の感情としては、すべてをゆとり教育のせいにしたくないというのはある。別に子どもは24時間学校にいるわけではない。学校の外でもぼくに影響を与え

          平凡も積もれば個性となる

          努力と呼ばない努力

          努力という言葉が好きではない。言葉の裏に、どこかいやらしさを感じてしまう。こんなにがんばっている自分を評価してほしい、がんばったのだから見返りがあるはずだという下心を、この言葉の奥に感じてしまうのだ。なにかを成し遂げようと思えば、なにかを犠牲にしたり我慢したりしなければならないが、それを努力という言葉で美化したくない。 努力してるね、と人に言われると、すかさずぼくはこう言い返す。 「準備してるだけっす」 我ながらめんどくさい男だと思う。でも、かっこつけているわけではなく

          努力と呼ばない努力

          『グロービスMBAキーワード 図解 基本ビジネス思考法45』とトリニータの話

          『アウトプット大全』を読んだことで「思考法」に対して、特にビジネスで活かせるものに対して興味が出てきたので、題名からしてドンピシャの本書を読むことにした。 「グロービスMBAキーワード 図解 基本ビジネス思考法45」  題名がB’zの「愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけない」くらい長い。岩崎夏海「もし高校野球のマネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」並に長い。  内容については、題名そのまま。ビジネスにおいて使える思考法が図解とともに掲載されている。

          『グロービスMBAキーワード 図解 基本ビジネス思考法45』とトリニータの話

          『アウトプット大全』

          いまさら感あるけど読みました『アウトプット大全』。  読もう読もうと思いながら読まずに積読していたところ、テレビ東京『FOOT×BRAIN』で、作者の樺沢氏がサッカーを絡めアウトプットについて語っているのを観た。うなずけるところ、逆に首をかしげてしまうところがあり、これは自分の目で確かめるしかないと読むことに。  正直、特別に真新しいこと、斬新なことは書かれていない。アウトプットに関する心理学の紹介と作者の考え、みたいな感じだ。ただ、薄々考えてはいたものの綿密に言語化でき

          『アウトプット大全』

          感想とか、ふと思ったこととか、アウトプットの場に。覚書みたいなもの。まとまりはありません。