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どうすれば日本の林業の問題は解決しうるのか? 北軽井沢で生まれている美しくワクワクする実践から得られるそのヒント

日本の林業を囲む問題

日本の林業がいろいろと課題を抱えているというのを聞いたことがある方は少なくないのではないかと思います。調べれば、それはもうあれこれと出てきます。

特にこの長野にある齋藤木材工業さんの「森を知る 森を感じる」というメディアのサイトによくまとめられているので紹介いたします。

次のページで、いくつかのチャートやグラフを用いながら、相当綺麗にまとめられています。

一口に林業といっても幅広い業務があります
森がいかに重要な役割を担っているかが感じられます。


上記にあるように、森林は人々の生活のみならず、地球の営みにおいても、とても重要な役割をになっています。が、悲しいことに、それが今、とても厳しい状況を迎えています。

この林業という領域のその重要性から、問題意識を強く持っている人たちが一生懸命に取り組んでいるわけですが、いかんせん、都会の人を中心に、多くの人にとってはその問題を自分ごととして実感するのが難しく。そこにはかなりの温度差があるというのが実情でしょう。

かく言う私も、東京に住んでいたところは問題意識こそあれど、そこまで近しい問題だとは思えていませんでした。

それが、2022年末からは軽井沢の森の中に移住をし、森の存在を感じながら生活をし始めたということもあり。今は、ようやく少しずつではありますが、他人事ではない、これは私も何かしらアクションを考えるべきテーマの1つであるという認識を持てるようになりました。

門外漢の私が林業の課題についてあれこれ語るのも違うかもなと思う気持ちはありますが、私にでもできることがあればとまずはこれを書いています。

当然、森の仕事に取り組む人たちの多くが、この問題意識を伝えようとさまざまな形で発信を行っているわけです。

ただ、リンク先を見ていただければわかるように、問題は深刻で複雑であるが故に、先ほどのリンクも含めて、どれを読んでもまあまあな長さになってきます。

興味関心が高い私ですら全文を読むにはそれなりのエネルギーが必要だなと感じました。そこで、まずはわかりやすさを優先しようと、今回はチャットGPTに「日本の林業の課題を端的にまとめてください」と聞いてみました。

日本の林業が直面している主な課題は以下の通りです。

労働力の減少と高齢化:林業従事者の高齢化が進み、若年層の労働力が不足しています。これは将来的な林業の持続可能性に大きな影響を与えています。

低収益性:木材価格の低迷や輸入材との競争により、林業の収益性が低下しており、事業継続が困難な状況にあります。

森林の管理不足:労働力不足や資金不足により、適切な森林管理が行われず、荒廃した森林が増加しています。これにより土砂災害のリスクが高まるなどの環境問題も発生しています。

輸入木材の依存:安価な輸入木材に依存しており、国内産材の需要が低下しています。これにより、国内の林業がさらに厳しい状況に追い込まれています。

持続可能な経営への転換:環境保護と経済的利益の両立が求められており、持続可能な森林経営への転換が急務です。


これらの課題が複合的に絡み合い、日本の林業は深刻な問題に直面しています。

上記を眺めると、①と③は労働力不足(特に人手の部分)の問題、②と④と⑤は政治上やビジネス上での知恵の不足がボトルネックになっていそうです。

いずれにしても、広い範囲で、相当なイノベーションが生まれないとこの問題はにっちもさっちも行かなそうであるということが見えてきます。


地域未来創造企業 きたもっくの実践

そんな中で、今、北軽井沢で美しく、かつまたワクワクしてくるような実践を行なっている組織があります。それが「地域未来創造企業 きたもっく」です。

ご存知の方もいるかもしれませんが、2021年には、グッドデザイン金賞に選ばれるなど、さまざまな賞を獲得し、専門性が高い多くの人たちからその価値の素晴らしさを評価されています。

すでに、複数の機関からたくさんの賞を受賞しています!
きたもっくのありよう全体がグッドデザインとして認められているのだとのこと


冒頭説明したように、林業周辺では、お金や人手、知恵など、もうさまざまなものが大きく不足しています。

そんな状況であるにも関わらず、きたもっくでは、優れたコンセプトを描くことで人が集まり、そこから新しい価値が生まれ、それを地域の循環へと結びつけているのだとのことです。

前々から、きたもっくでの実践の話はいろいろな人から聞かせてもらっていたということもあり、いつか現地に行き、中の話を聞いてみたいと思っておりました。

ただ、行きたいと思ったからといっても、すぐにその場に行って、中の人の話が聞けるわけではありません。

普段であれば、興味をもったら、その団体が開催しているイベントに顔を出して話を聞いてみるということをよくやるのですが、きたもっくが運営する宿泊型ミーティング施設「TAKIVIVA」においても、最近はオープン型のセミナーはほとんど行っておらず、なかなか接点が得られないでいました。


どうしたらいけるかなとその機会を探っていたのですが、先日、本エントリにもたびたび名前が出てくるサーキュラーエコノミーハブの編集長の那須さんから、きたもっくさんと繋がりを持っている方を紹介していただくことができました。

そこで、ついに私も「TAKIVIVA」を訪れる機会をいただき、きたもっくで事業戦略室長を務めている土屋さんから、なんと直接お話をきかせていただく機会を得ることができました。

以下、聞かせていただいた内容を、写真などとともにいくつか紹介いたします。

こちらが土屋さん。TIKIVIVAで我々のためだけに話を聞かせてくれました。
なんとまあ贅沢な時間!!
フィンランド語で自然に従うという意味の「Luomu」について。

きたもっくでは、自然に従う生き方を大切にしているのだそうです。

その背景としては、浅間山の定期的な噴火により、全てがリセットされていくこの場所では、従う以外にないしかないというのがあるのだとのこと。

そんな場所に、人が手を入れることで、地球本来のあり方から、プラスにしていくことができるのではないかという考えを聞かせてもらいました。

そこから生まれてきているきたもっくの事業全体のチャートを用いてきたもっくの事業のこれまでとこれからを聞かせていただきました。

こちらがきたもっくの事業の全体像。森を中心に置き、キャンプ場、薪事業、飲食店、TAKIVIVAなどさまざまな事業に取り組まれています。
森の周辺の営みを、自然に対する価値を生み出しながら、適切な形で経済的な価値まで生み出してきている様子が感じられます。
キャンプ場から始まり、そこからの収益を次なる課題と結びつけながら、次々に投資を行い、なんとか、ここまでやってきたのだとか。
こちらが未来に向けてのさらなる構想図。北軽井沢周辺まで含めた地域循環を描く構想について聞かせてもらいました。人が手を加えることでより自然が豊かになる状態を目指しているのだそう。
TAKIVIVAについての話をきかせてもらった際のチャートがこちら

土屋さんの話で印象的だったのは、キャンプ事業を行なっていく中での気づきでした。

「なんでこんなにもキャンプ場には人がやってくるのだろう?」「何が人の心を動かしているのだろう?」と、ある時、その価値の本質を辿っていったのだそうです。

その結果、最終的には、「人はキャンプ場に家族や友人との関係性を結び直すためにやってきているのではないか」という仮説に至ったのだそうです。

そこから、そうなのであれば、それを「対家族や友人だけでなく、人生において大きな意味を持つ会社の人との関係性においてもできないだろうか」という着想から生まれたのたのが宿泊型のミーティング施設TAKIVIVAなのだとか。

それを聞くと、Webサイトにあるこれらの概念図の意味がまた一層深く理解できた気持ちになります。

火には、関係性を改め、新しい価値を生み出す源となる力があるという考えを聞かせていただきました。
TAKIVIVAのさまざまな場所に意味づけをし、そこから名前をつけていきます。
ほんと、なんと秀逸なデザインセンス!
ここがTAKIVIVAの施設から、外に向かうための通路。
棚には、自炊用のツールが多数置かれていました。
TAKIVIVAに、宿泊する際は、自分たちの食事は、必ず自分たちで用意してもらうのだそう。
ここでキャンプファイヤーや焚き火を囲みながらのダイアログが行われます
1日の終わりは、1人で自分と向き合うための空間が必要という考えから、個室にも意味と名前が与えられています。
こちらが噂のReGo。意味が与えられることで、がぜん、この狭さが素敵に思えてきます


物理空間もウェブの中もそうですが、もうどこを見てもコンセプトデザイン、空間デザイン、グラフィックデザイン、コミュニケーションデザイン、ビジネスデザインなど、あらゆるところでデザインセンスの素晴らしさを感じます。

こうなってくると、果たして誰がこのデザインを行なっているのかが気になってきます。

土屋さんに、「誰がどうやってこれらのデザインを生み出しているのですか?」と聞いたところ、今は、社員が中心になって行なっているということでした。

別に意図して狙っているわけではないが、美大出身の学生が一定アプライしてきてくるそうです。そのため、美大出身の子達が中心になって、建物のデザインや、コンセプトデザインを行なっているということ。

普通に考えて、地方にある決して大きくない街で、こんなことができうるクリエイティビティの高い子達を採用するのって全く簡単ではないと思うので。改めて、きたもっくの魅力の凄さが感じられます。

TAKIVIVAのすぐ隣には、日本の人気キャンプ場で常に上位にくるスイートグラスと隣接しています。こんなツリーハウスも自分たちでデザインしているのだそう。
いろいろな形状のツリーハウスがありました。
ツリーハウスとツリーハウスは空中に浮かぶ通路で繋がれています。
いい大人になっても、ここを歩くだけでめちゃくちゃワクワクしてきます。
キャンプ場とともに、土屋さんに運転していただき、製材工場にも案内してもらいました。
製材工場はこんな形。海外から大型の機材を多数輸入しているとのことでした。
製材工場見学のあとは、那須さんと体験を振り返りながら、きたもっくさんが展開するカフェで、自分たちが持つ山で取れた蜂蜜など、地元の食材を使ったピザやレモネードをいただきました。


きたもっくに、TAKIVIVA。前々から気になっていた場所ではありますが、実際に来てみたら、そこには想像を遥かに超えたクリエイティビティがありました。驚嘆するとはこのことだという気持ちです。

サスティナビリティは本当に大事な要素であり、取り組みだと思いますが。いかんせん、お金がないと自然を守れないという厳しい現実があります。

きたもっくさんの実践では、自然資産から適切な形で、経済的な資産を生み出すのとともに、この活動があるからこそ、地域の自然がより豊かになっていく様子が見られました。

最近、人間が関わることで、自然がさらに生きる状態を目指す「再生:リジェネラティブ」というコンセプトが生まれてきていますが、まさにここで行われているのが再生:リジェネラティブそのものと言えるでしょう。

サスティナビリティの段階は、マイナスを減らす活動から、プラスをさらに増やす活動へと整理することができます。再生はその最上位に置かれる概念です。

きたもっくさんの実践は、人と地球の共存を可能としうる素晴らしいヒントがたくさんあるなということを感じました。

人生で一度は来てみて、土屋さん含めて、中の人たちの想いや考えに触れてもらい、ぜひ自分の心と体でここの凄さを感じてもらいたいと思っています。

林業の課題や、きたもっくがどのようにして、この難しい領域で、持続可能な事業を展開してきているのかについては、グッドデザイン賞受賞の背景情報とともに、こちらの動画によくまとめられています。ぜひ、こちらもご覧いただけたらと思います。


そんなTAKIVIVAさんの凄さを体感するスタディツアーをします!

と、ここまで読むと、「ぜひ自分も一度行ってみたい!」「自分もその凄さを感じてみたい!!」と思う方が一定いてくれるのではないかと想像します。

そんな方々のために、今回、「地域循環とビジネスの学校」と題して、きたもっくさんの事業に触れる1泊2日のスタディツアー&センシングジャーニーを開催させていただくことになりました。

参考 センシングジャーニーとは

開催日は、来る9月27日(金)、28日(土)の2日間。
開催場所は、もちろんTAKIVIVAさんです。

当日は、今回紹介したきたもっくさんが活動している施設を巡るのとともに、もちろん、土屋さんの話も聞かせていただくことになっています。

また、土屋さんの話を受けて、

今後、自分や自分の取り組む事業をどのような形にリデザインし進めていけると良いか?

自分自身が生み出していきたい好循環とは何か?

についてワークショップ形式で、考えを深めていく想定です。

詳しくは、上記のリンクにありますので、興味がある方はぜひ上からご確認ください。

8月20日までに申し込んでいただければ、早割サービスもあります。(4000円引きになっています)

合宿型ということと、軽井沢までの往復費用がかかるということで、どうしてもそれなりの出費にはなってしまう形になっていますが、それに見合う価値は手に入るのではないかと思います。

興味はあるんだけれど、どうしようと悩んでいる方はぜひ、早めに申し込んでいただき、少しでも負担を軽くしていただけたらと思います。

また、今回、私に個別で言っていただければ、さらに10%割引にしてもOKということを言っていただきました。

興味が湧いた方は、上から申し込む前に、ぜひ一度、私に一言声をかけていただけると幸いです。

合宿に加えて、オンラインでのセミナーもセットでついてくる形になっています。セミナー含めた時間もそうですが、合宿型ということで、講義やワーク以外の時間にもさらに興味があることを聞き、理解を深められるという形になっています。

私も話をしますが、土屋さんの話に加えて、那須さんからの話まできけるというこれだけ贅沢な機会は、なかなか無い貴重な機会になるのではないかと思います。

これ1つに参加することで、SDGs、サスティナビリティ周りの情報を一度に収集し、あなたの人生のサスティナブル経営の大きな一歩が進むのではないかと思います。

9月27日、28日、みなさんと一緒に学びを深めていけるのをとても楽しみにしています。改めて、詳細は以下のリンクからご覧いただけます。もちろん、本投稿にコメントしていただくのも大歓迎です。

また、残念ながら、今回は参加が難しかったという方も、今後も定期的にきたもっくさんのビジネスに触れる会や、その他、国内外での先進的な活動に触れにいくセンシングジャーニーを継続開催していく予定です。

ぜひ次の機会を楽しみにしていていただけたらと思います。

ということで、今日も素晴らしい学びの機会をどうもありがとうございました。

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