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海でも陸でもない曖昧な場所

なぎさ」という言葉の概念が好きだ。
波打ち際の、海でも陸でもない曖昧な場所。
言葉の響きもアンドロジナスな感じで好きだ。
桜貝を見つけるのに夢中になっていると、不意にスニーカーの中まで水が届き、我に返る。
音もなく潮が満ちてきた、遠浅で穏やかな由比ヶ浜海岸。
顔を上げれば水平線が淡いクリーム色に変わっていて、自分の影もかなり伸びてきた。
間もなく、昼なのか夜なのかどっちつかずの、「渚」のような時間がやってくる。



柔らかい日々が波の音に染まる 幻よ 醒めないで
渚は二人の夢を混ぜ合わせる 揺れながら輝いて

スピッツ「渚」

「渚」という言葉をこの曲で知りました。現実か幻かあやふやで色んな解釈ができそうな歌詞や、長く続いたうえでフェードアウトしていくアウトロが、まさに波打ち際の寄せては返す波と、その先に続いていく空と海の境界がぼやけたような情景を連想させます。聴き終わると、寂しいような温かいようなはっきりしない感覚になります。
この曲が先行シングルとなったアルバムのタイトル「インディゴ地平線」の言葉もセットで好きです。

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