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2023年 作ったモノたち (AR、AI、アトラクション、小説、etc)

Interactive / AR Engineerのkiyoです。
去年に続き、自分の備忘録として本業やプライベートで作ってきたものをまとめてみます。


▷ 本業


本業は例年と変わらず、アトラクションエンジニアとして何でも屋みたいな仕事がメインでやっていました。
今年は自分が企画からプロジェクトの主導までやったり、責任を持つ範囲を意図的に広げてコミットしたプロダクトが多くなりました。そのため結果的には作ったものとしては本業が多めの印象。
以下、主に公表可能なプロジェクトです。

MIRAINO イオンモール豊川店 空間演出

愛知県豊川市にある「MIRAINO イオンモール豊川店」
その中の「立体アスレチック:迷路クレイジータワー」の中のデジタル演出の一部を担当しました。
世界観がサイバーなこともあり、SF好きなのでナレーション音声をノイズっぽくしたり、エフェクトをサイバーパンク風にしたり、いろいろ工夫を凝らした演出を入れさせていただきました。

エモリズム / 感情リズムフィットネス!

リズムに乗って楽しみにながら感情表現を豊かにできる、ゲーム型アトラクションです。
(絶賛配信中なので是非ダウンロードして遊んでみてください!)
コロナ時期に一度、筐体向けコンテンツとして開発していたアトラクションをモバイルアプリ向けに移植、配信を行いました。

元のコンテンツは自分も企画に参画しながら作り上げたコンテンツ。
自分の所属するリトプラでは常設のパークを運営していますが、
「パークで遊んでいない時でも世界観に触れるきっかけを作れないか?」という思いもあり、「日常使いできるアトラクション」というコンセプトの元、自分自身で会社に提案し、開発を進めた思い入れのあるアプリになっています。

その辺りの思いなどは会社のブログで書かせていただいたりしました。
よければ合わせて読んでいただけると嬉しいです。

また、このプロダクトを作る際には「作るだけじゃなく伝えて届ける」という姿勢で臨もうと思い、アプリを公開後、社内でもアプローチも自分から積極的に行って進めていきました。
結果、
第17回キッズデザイン賞を受賞
TB番組の「ぐるナイ!」の中のコーナーとして採用
など、対外的に評価や露出する機会をいただける結果にもなり、
「作るだけではなく、その後のプロモーションにも繋げる」というところまで実践できたプロダクトになったかなと思います。


ラゾーナ川崎プラザ「レゴ®アドベンチャーズ」

川崎にある「ラゾーナ川崎プラザ」でGWに行われたイベントでのデジタルアトラクション。
去年、開発させていただき、リトルプラネットで展開した「キミの作ったレゴ®ブロックが動きだす ! デジタルアトラクション」をパーク外のイベントでも実施しました。
一度作ったアトラクションがこういった形でいろんな場所で展開、遊んでもらえるのは嬉しいです。
去年の様子はこちら↓

マゼモンジェネレーター / AIモンスター生成ラボ

おそらく、今年一番時間をかけて制作に臨んだアトラクションであり、自分としては新しく技術領域として「生成AI」に挑戦したプロダクトです。

素材となるカードを選んで差し込み、合成すると、世界で一枚だけのモンスター「マゼモン」を生成、そして物理的なカードとして持ち帰ることのできる筐体型アトラクションになっています。

昨年から色々話題にのぼる「生成AI」については今年の初めからリサーチを進め、プロトタイプを作ったりしていました。

また、個人でも研究開発として画像生成周りは触れていたので、仕事+プライベートの研究の成果を注ぎ込んだようなプロダクトになっています。
開発で触れた技術範囲も広く、

・カードの各種データを生成するAI
・絵柄を生成するための生成AI
の構築や調整はもちろん、
・素材カードを読み込むためのハードと内部ソフトウェアの構築
・カード印刷するためのプリンター制御
・生成データを保存、読み出すオンライン連携機能
・体験強度を上げるためのバトルシステム
・有料課金できる仕様のため、コイン投入制御とソフトの連携
…etc

今まで自分が作ってきたものの中でも技術・コンテンツシステム・担当領域全てにおいて、おそらく一番広く手を広げて作ったアトラクションになりました。

2023年の生成AIの分野は進歩が著しく、単純にそれを利用したコンテンツでは差別化することは難しい。実際、さまざまなサービスがたくさん生まれています。
その為、このアトラクションでは生成AIを使ったプロダクトという以前に、「AIという技術をどう子供達が楽しめる"エンタメ"に落とし込めるか」という部分に注力して開発を進め、技術ありきではなく、まずは体験として伝わり、楽しめるものを目指しました。

例えば、インプットを自由入力にするのではなく、あえて素材を選ぶ形にすることで、子供が悩んでしまうことを防ぎつつ、「選ぶ」という楽しみを付加することで、体験時のハードルを下げたり。
また、生成するだけではなく、個人に紐づいたIDリストバンドにデータ保存することで連続プレイでの収集要素も加え、バトルシステムを加えることで何度も遊べることに耐えうる、一つの「エンタメ」として成立させるため、いろんな細かいところを試行錯誤して作り上げました。

素材カードは一つずつ手作りでたくさん作りました(100種類以上地道に…)
いろんな工夫のおかげで、子供達にはだいぶ好評な結果に

結果的に、子供達にレビューをしてもらった時は今まで作ってきたアトラクションの中で一番いい反応を得られ、感無量でした。
(よく、新しい技術分野を入れたアトラクションは、子供達に飽きられすぐそっぽをむかれてしまうことも今まで多く….)

その時の様子も会社のブログにまとめてもらいました。

現在第一弾ロケーションテストが終了、来年以降、常設パークに導入を進めるなど、色々と展開の計画を進めているところ。
今後もいろんな方に遊んでもらえるようにしていきたいと思っています。

リトルプラネット 出店・アップデート

自社のパークである「リトルプラネット」
今年も昨年に続き新規のパークを出店していきました。
・トイロパーク powered by リトルプラネット ららぽーと横浜
・リトルプラネット 台中

・リトルプラネット ゆめタウン飯塚
・リトルプラネット LECT広島
自分も設営作業を行いつつ、昨年度開発した、アトラクションを個人のIDバンドで繋げるシステム「シャリング」にまつわるアップデートを行なっていました。

パークに設置した、IDバンドでタッチして集めるキノコ筐体。元々手作り感がすごかったですが
パークの展開に合わせ、ちゃんと世界観に合わせた筐体設計にしたり

昨年度からも、自分の中で「サービス」としてちゃんと長く成立するものを作る視点 を持ち続けようという意識があり、引き続きアップデートをしていったものになります。

こういった自社のパークのアップデートやコンテンツが主体なので、いわゆるインタラクティブアトラクションを作っている会社の中では、弊社は比較的珍しく受託より自社アトラクションの比率が高いです。
なので、「コンテンツ開発(0→1)」と「サービス運営(1→100)」二つの視点をバランスよく業務の中で経験を積めているなと改めて思います。
その辺り興味のある方はぜひ弊社にご応募を..! いろんな職種を採用しています。

▷ プライベートワーク


2023年も幸運なことに何社かからお声がけいただき、お仕事をお手伝いさせていただきました。
後述するように今年はあまり個人活動が少なかった年だったので、お声をかけていただけて本当に嬉しいです。
以下、クレジットとして公表可能な案件です。

Twipet ツイペット

株式会社NTT QONOQさんから配信している、"ペットの気持ちがのぞける"AI x ARなアプリ。

以前、「XR WONDER PARK」という周遊XRアトラクションを手伝わさせていただいた curiosity.inc さんにお声がけいただき、開発をご協力させていただきました。
自分は主に全体的な演出やUX部分を担当させていただきました。

自分の得意な分野であるAR + ちょうど自分が会社でもリサーチと開発を進めていたということで、今年触れている技術領域がドンピシャな案件でした。
また自分が本業でアトラクションを開発しているということもあり、
「開発の中でエンタメ性のある視点を加えてほしい」とオーダーをいただいたこともあり、機能や演出のアイデアを出しつつ、開発に関わらせていただきました。

以前の「XR WONDER PARK」の時もですが、自分の得意分野を把握して、時間の中で担当箇所を割り振ってもらえたり、開発する上で本当にcuriosityさんは一緒に実装がしやすく、また声をかけてほしいなと思ってます。

▷プロトタイプ・個人開発

2023年は主に本業の方に力を入れてしまっていたため、個人趣味開発や活動がほとんど少なくなってしまいました….
特に技術分野としては「生成AI」について色々開発をしていたんですが、ほとんどその知見は「マゼモンジェネレーター」に吸収、昇華しました。
一個だけ、具体的に作ったと言えるものが一つだけ。

おせっかいで親切な妖精 (AR x AI)

ChatGPTを使ったプロダクトの企画やリサーチを進め始めていた頃、
「せっかくなので自分の得意分野のARと絡めよう」とGWに開発したプロトタイプ。

技術的には

・問題文解析(GCP Vision API)
・ARコンテンツ構築 (AR Foundation)
・問題解決(OpenAI API)

と構築したアプリ。
ここで開発したことが結果的に「マゼモンジェネレーター」の中でのプロンプト構築周りの知見を応用したり、これでAIに触れていたことから「Twipet」の開発にも声をかけていただいたり(あちらもAI x AR) したので、うまく作ったことが次に繋がったプロトタイプだった気がします。

個人的にOpenAIのGPT-4 Turbo with visionに対応させて、図解問題にも対応させたものなど作れないか、試してみたいと思っているので、どこかでアップデートしたものを作ろうかなと思っています。

▷ 小説

昨年度、新しく始めたものづくりとしての小説書き。
今年は昨年(10作)に比べると数は減ってしまいましたが、実は出版社主催の公募、いわゆる新人賞にも挑戦した年でもありました。
(そちらはまだ結果は出ていないので、作品は公開はしていません)

以下、投稿サイトに公開してきたものです。

① 『原罪酒』

何を思ったのか元旦に書いて公開した2023年一作目。
「喋る酒が罪に問われる」というトンデモ設定の短編。素面で書きました。酔ってません。

短いなりに、自分の中ではタイトル・設定・暗喩・オチまで綺麗にハマったかなと思った作品で、結果的には投稿サイト(カクヨム)で自分が投稿した作品の中では一番読まれ、一番評価(星)がついた作品になり、代表作になってしまいました。ちょっと星新一ライクに軽く読めるので、よければ読んでいただけると嬉しいです(読んでも酔わないです)

②『星の手触り』

続いて1月中に公開した二作目。この時は結構ペース早く書いてますね。
プラネタリウムや星をテーマに、作中で出てくる"ある星空の場面"を描きたいがためにそこから話を膨らませて描いた作品です。
映画好きのせいか、こういった「映像として見えるシーン」を描きたい欲求が強めで、そこから書き出すことが多い感じがするな、と思った作品。

③ 『恋も叫べば、血が巡る』

続いて1月中に公開した3作目。
カクヨムで実施されていたコンテスト用に少し「変わった趣向」の小説を書こうと意気込んで書いてみた作品。
「ひたすら恋バナが自分語りされる小説」ではあるものの、なるべくジャンルレスな、どんな話になるかわからないようなものを狙って書いた気がします。
(そのせいでどういった作品かうまく伝えられず、投稿サイトでもPVが少なくなってしまったのは少し残念…)

④ 『他が為の顔』

近未来SF、というよりもうすでに3Dスキャン、CGアクターなども実際に出てきていますが、その技術モチーフをもとに描いた作品。
自分の子供を3Dスキャンしてバーチャルアクターにした母親とその子供、それぞれの視点での物語です。
昨年度に続き、自分の中で「ある技術とそれによって変化する関係性」といったものを主軸に置いたSFを描くのが好きなので、その系譜の作品。

⑤『残された拠り所』

こちらもカクヨムで実施されていたコンテスト用のために書いた作品。
ある辺境の惑星での職業と、提供される"福利厚生"についての話。
こちらも先ほどの『他が為の顔』と系譜は近く、技術によって変化しうる人の関係性を描いた作品になってます。

⑥『シンギュラリティ・クローゼット』

夏~秋はしばらく仕事・副業に注力していたこともあり、久しぶりに描いてみた作品。
「ファッションセンスが壊滅的な男 VS 超優秀なAIレコメンドクローゼット」の対決という、アイデアが思いついて勢いで描いた作品。
直近、技術分野としてAIに触っていた影響か、技術領域としてそこをテーマにしてます。
全体的にコメディテイストにして楽しく読める読める作品にしつつ、SFらしく「AI」だからこその技術特性とオチにつながるように描いた作品。
こちらはカクヨム上での交流でも参加して、ありがたいことに読んでもらってレビューをもらったりもいただけた作品。

⑦『RRRPG』

寓話的なちょっと変わった作品。
今まで書いてきた作品とはテイストが少し異なり、エンタメ性より少し小説の構造的に面白い趣向を試してみたく書いてみた作品です。
タイトルはその構造にかけたもの、かつ目を引きつつ短いものにしたいなと思って変わったタイトルにしています。某映画みたいなタイトルですが全然関係ないです。

⑧『よだかの星座』

「人工星座」という技術がある世界の遠い未来のお話。
ベースはよく書くある技術を描いた近未来的な部分はありますが、自分としては珍しく遠未来が舞台の話。
個人的には今年書いた作品の中では気に入っている作品です。
「人工星座」の設定は元々は自作のARコンテンツの設定として考えたものであり、いつか話だけではなく、体験できるものとして"実装"したいなと考えています。

⑨ 『月夜の星座の印』

SNS上で公開するのを忘れていた作品。
自分としては珍しく、SFではなく童話ファンタジー的な作品に。
これも自分の映画好きの傾向が出て、「クライマックスの見せる景色」から逆算で物語を書いているような作品に。

▷ 振り返って

今年を振り返ってまず思うのが、
「個人での制作・活動が例年より少ないな…」
という反省ですね…

主に今年は比較的、本業で自分なりに新しいことチャレンジして、仕掛けていった年になりました。
特に「エモリズム」「マゼモンジェネレーター」に関しては、
自分にとって「開発領域を担当した」だけではなく、「自分が企画からリリース、その先までプロジェクトをリードした」と自信を持って言えるほどのコミットを注いだものになりました。
そのおかげもあり、自分が責任を持つ範囲も広がり、いろんなことにもがき、悩みながら作っていくことで、「作るだけ」以外の範囲まで視野が広がったと思います。そこにかなり公私共に時間と精神を費やしていたと言える年でした。

その反動で個人開発や活動に少し時間と目を向けられなかったなというのが反省点ではあるかなと。
昨年度、自分の目標として
「自分なりに自分の技術(AR等々)でしか作れない、体験できるからこその物語を作りたい」
というのがあったのですが、構想はありつつそれも全く着手できず…
来年こそはその構想をうまく形に落とし込みたいです。
小説活動ももっと執筆時間をとって、来年は少し公募に挑戦したり、何か結果となるものを出してもいきたい。

今年の経験のおかげで、本業での自分の持つ責任範囲や担当領域に対しての動き方や心の持ちようも少し余裕が出てくると思います。
なので、逆に2024年は意識的に「個人の活動に制作にコミットしてみる」ということをしてみたいなと思ってます。

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