原発耐震解析・耐震補強論 建設時の基準地震動を引き上げた場合、それ相応の耐震解析に基ずく耐震補強を実施しなければならず、一基当たり、耐震解析・耐震補強解析に50億円、工事(材料費・工事費)に450億円くらいかかり、基準地震動を上げることは、大変な解析と工事が、必要
日本の原発の解放基盤面の基準地震動は、建設時、どれも300 gal.くらい、いちばん大きな値は、浜岡3 & 4の600 gal.、しかし、耐震指針改正や発生地震などを考慮し、750 gal.が標準値、最高は、浜岡3 & 4の1200 gal.、浜岡5の2000 gal.(柏崎刈羽1-4は、2000 gal.ですが、原子炉建屋最下階床面では、1000 gal.)、解放基盤面の基準地震動=原子炉建屋最下階床面の設計基準地震動の場合もあれば、途中の地層での地震波の減衰により、半減する例もあり(東海第二原発は、1009→468 gal.)、解放基盤面の基準地震動と原子炉建屋最下階床面の設計基準地震動の関係を把握しておかねばならず、建設時の基準地震動を引き上げた場合、それ相応の耐震解析に基ずく耐震補強を実施しなければならず、一基当たり、耐震解析・耐震補強解析に50億円、工事(材料費・工事費、構造材・油圧シリンダー・メカニカルスナバー・アンチロック)に450億円くらいかかり、基準地震動を上げることは、大変な解析と工事が、必要になります。
米国では、地震の影響が少ないため、寿命延長が比較的容易ですが(20年、さらに、20年)、日本は、大きな地震が多く、いくら的確な耐震補強を実施しても、すべての不確実要因を消せたわけでは、ありませんので、米国の例は参考にはなるものの、日本特有の問題が存在することも考慮しなければなりません。
原発の耐震についての学術書『原子力耐震工学』(鹿島出版、2014)参照。
本欄バックナンバー記事・写真参照。