tourist ツーリスト 感想文その③ ホーチミン編
ホーチミンの画像お借りしています、ありがとうございます✨
1話2話の感想も書きました(^^♪
あらすじと感想
尾野真千子さんがインタビューにて、天久真についてこう言っていた。
素晴らしい表現でした。3話の天久は、妖精のような人でした。
ただただ瞳を光らせて、かおるの悲しみに寄り添う人でした。
美味しいものを前に「美味しいね!」と喜び(この、美味しいね!がすごく良くて何度もみてしまった)、ひたすら食べ、
楽しいものには満面の笑みで臨み、
かおるが悲しんでいるのをいち早く察知し、
心配になれば何度でもどこででも「大丈夫?」と顔をのぞいてくれる。
何もできないほどの悲しみにはうんうんと頷きながらただただ抱きしめる。
時に惨めな過去を笑いながら話し、
時に悲しかった過去をかおるの子どものために話す。
また時に、かおると夫の馴れ初めを優しくきいてくれる。
ニコニコしながら見送りにきてくれる。
あ、なるほど。ホーチミンにいた妖精なんですね。それか天使ですね。
ホーチミンで出会った女性、かおるは、夫と離婚調停中だった。夫の浮気現場を探るという口実で、ホーチミンまで来たところ、天久と出会う。
悲しそうにひとりディスコでお酒を飲んでいるかおるを見つけた天久は、声をかけずにはいられなかった。。。という始まり。
次の日、またまた偶然出会えたかおると天久は、スマホを届けてくれたお礼にと二人で食事する。
お互いの事情を知ったかおるは、天久と一緒にホーチミンでの「記憶の上書き」を始める。
天久と一緒にいても、かおるの脳内は夫との記憶でいっぱいだった。妖精レベルの魅力をもったはずの天久が負けている。完全に夫に負けている。。
かおるは夫のことをまだ思っている。記憶が回想されるままで、上書きがなされていない。
夫との思い出の地に、夫は不倫相手と来ている。それを追いかけて来た。なんて痛々しい状況なんだ。あっちも上書きに来ているじゃないか。、、時々出てくる夫との回想シーンが幸せそうで、余計に切ない。
ここから不倫相手のまなみとかおるが出会い、見知らぬ人を装って、かおるが夫との関係を探っていく場面が続く。見ていてなかなかに痛々しい。二人の関係を根掘り葉掘り聞く度に、かおるが傷ついているのがわかる。
そしてその痛々しさを近くで見ている天久が、かおるの顔が凍りつく度に「ねぇ、大丈夫?」と心配する(やっぱり天使だな)。
天久の観察眼的にはまなみは不倫相手の妻であることに気づいているのでは、、と勘ぐっていたが、恐るべしまなみ。最後まで「知らない」と言い切っていた(いや本当に知らなかったのかもしれないけど)。
かおるが夫からプロポーズを受けた思い出の教会で、夫とその不倫相手のまなみとの不倫現場に乗り込むことになるのだが(恐ろしき女性の計画)、ここで夫から酷い仕打ちを受けることになる。
「お似合いですよ。彼女のことお願いしますね」と言われ
不倫相手を紹介され
浮気証拠になるホテルの領収書を握らされ
「そういうところが嫌いなんだよ!マジで無理」と言われ
まなみのことは好きかわからないけど(分からないのかよ)「かおるちゃんとは無理だよ(何回言うんだよ)。あの時を知っているから、今が耐えられない」と言われ、、、、
、、、、おいおい散々じゃないか。もうやめてあげてよバカリズム(じゃなかったたけとさん)。書いててちょっと悲しくなってきた。大学時代のたけとさんはどこに行ってしまったのか、、それともたけとが言う通り、かおるも変わってしまったせいなのか。
しかしたけとも「全然忘れようとしない」らしいじゃないか。なんなんだもう。そこには愛し合ってい「た」、という過去形の記憶しかないということか。
、、、、、
オムニバス3話全てに「諦める」というテーマがあるように思った。天久は彼女ちたそれぞれの「諦め」に一役かっていたように思う。
1話のさつきに対しては人生諦めていいのかよと問いかけ、
2話のほのかに対しては人生諦めるってかっこいいよと伝えていたが、
かおるの「諦める」には、ただただ寄り添った。
「まだ旦那さんのこと好きなんですね。」と諦めきれないかおるの心を肯定した。
夫のことを「諦めるしかない」のに、諦めきれない思いがあり、天久はその思いにただただ頷いていた。
「全然、消えてくれない」とかおるが泣くシーンは悲しくてこっちまで泣けてくる。
うん、うんと頷いて抱きしめる天久がとんでもなく優しい。もう男性とか通り越して、やっぱり天使とか、妖精とかの優しいだと思った。
しかし、やっぱり女って強い。泣くだけ泣いたら、前を向くのだ。次の日、かおるはホーチミンに移住することを決める。
見送りにくる天久。底抜けに優しい。こんな息子がほしい(笑)
個人的に愛しい天久真シーン
女同士の修羅場に耐えきれなくなって今はどうでもいいだろうバイクの多さの話を始める(女子たちからは軽く流される)
インフルエンザワクチンを打ったら物凄く腫れたというエピソードでひとり会話がヒートアップしてベラベラ話しだした結果、面倒くさい人認定される。
かおるさんに対してデスマスになったりため語になったりする。
離婚するかおるに心を痛めた表情なのか、浮気現場に乗り込もうとする女って恐ろしい、、の表情なのか、何度も苦い顔をする。
外国語能力がハイスペックすぎる(何カ国語話せるんですか)
今回はどのシーンも愛しい天久真だったのでこれ!っていうのが逆に少ない。しかしNo.1シーンはなんとも自然な「美味しいね!」のシーンでしょう(2回目)。
自然過ぎて聞き逃すレベルの自然な言い方。かおるをじっと見て(美味しいでしょ?という顔で)、かおるが「美味しい」といった瞬間「美味しいね!」(ね、美味しいでしょ〜!という顔)がなんとも、、でした。
天久真という人分析
1話、2話に比べると、天久の声が高く、少年ぽい。3話の中で一番素の天久真のままいるような(三浦春馬君にも近いような)、そんな感じがした。
成人した母思いの息子と母のような関係だなあと思った。
かおるさんといる時の天久はどこかテンション高く、なんだか「素直に」嬉しそうと思う表情が多かった。子どものように。「聞いて聞いてお母さん!」みたいな感じ。かわいい。
天久真バージョンでは、「女手ひとつで育ててくれた母親のために、良い息子を演じてきました」という天久のナレーションが入っているので、天久は母思いの優しい子どもだったのだろう。
かおるが悲しんでいるところを見逃せないのは、同じように離婚して苦労した母親を近くで見てきたからなのかもしれない。
また3話中で一番ペラペラと自分の過去のことを話していた。
「必死で働いてたのにクビになった」エピソードに加え、「(クビになって)俺はトイレで号泣したよ」「ガッポリ退職金は貰えた」とちょっと笑いながら話している。
ミステリアスな部分がどんどん溶かされ、日本にいる普通の男の子を覗かせる。
1話では自分のことを「つまんな過ぎて嫌になる」と本気で嫌気が差しているように言い、2話では自分の人生を「クソみたいな人生」と吐いて捨てるように言っていたわけだが、3話で自分の過去を話す天久は、以前よりも自分の過去を軽く捉えられるようになっているように感じた。旅をしてきて、誰かに自分の過去を話してきて、みんないろんなことを抱えて生きていることを知って、だんだんと重たいものではなくなっていったのかもしれない。
天久真バージョンにて、「女手ひとつで育ててくれた母親のために、理想の息子を演じてきました。良い大学に行って、良い会社に行って、必死で働いた。でも、仕事をクビになりました」「周りを巻き込んで自由に生きる姉さんの生き方がずるいと思っていました」と、ナレーションが入る。そう、旅先ではミステリアスだった天久は、本当は普通の、とても優しい、優しすぎて他人を優先してしまうような男の子だったのだ。
しかし今までの生き方が強制的に終わり、自由に生きる姉に、会いに行こうと旅を決めたらしい。
このエピソードで天久に対してぐーんと親しみと愛おしさが湧いてくる。
作品完成時、当時30歳の私が見ていればまた違う感覚だったのかもなあ。
今35歳でこの作品を見たわけで、27歳はもはや可愛い。可愛いのだ。
天久には旅が似合う。日本にいたら優しすぎて、真面目すぎて、息苦しいのかもしれない。
旅先で会うからこそ、天久の魅力が引き出される。
天久あきらと天久真
旅の行き先となる、意味の分からない絵葉書を送ってくる相手「あきら」が、天久の姉であることが最後に判明するが、再会することなく、物語は終わる。
天久は姉についてもかおるに話している。姉のことを「サイテーなやつ」「面倒なこと俺に全部やらせて逃げたやつ。」と言うが、そんな姉の生き方に興味をもち、姉を探す旅を始めたと言う。
その後「いや…記憶を上書きしたいのかも」とも言っている。天久の言う「記憶の上書き」がどういうことなのか、何を指しているのか、私はよく理解できていない。「今までの自分」への上書きだろうか。それとも「最低な姉」への上書きだろうか。
絵葉書以外にも手がかりとなる「ピアノの音」も出てくるが、そこらへんは回収されないまま終わってしまう。
終わりに
春馬くんは完成挨拶で「天久真のミステリーはまだ終わっていないので、みなさんの力で是非新たな旅をさせてください」というような旨のことを言っていた。監督も本人も、当時それを望んでいたのかもしれない。それは是非、観たかったなあと思う。
素敵な作品を作ってくれて、素敵な天久を演じてくれて、どうもありがとう。
ホーチミンを堪能したい人、「大丈夫?」って心配してもらいたい人(何度も言ってくれてます)、なんだか泣きたい人、是非観てみてください♥
そんなこんなでツーリスト全3話の感想文でした!いやぁ、ドラマというより映画なみのクオリティーでした。
読んでくださりありがとうございました♪♪
最後にHyukohの楽曲が本当にこのドラマを盛り上げてくれているのでリンクを貼らせて頂きます。中でも一番好きな歌。すっごく愛が溢れてる曲。