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座位での臀部痛の解釈 〜深臀部症候群〜

こんにちは!腰痛マガジンメンバーのこじろう(@reha_spine)です。


今回は、座位での疼痛が特徴の1つでもある「深臀部症候群:Deep gluteal syndrome (DGS)」をご紹介させて頂きます。


今回の記事は特に以下のような方にオススメな内容となっております!

✔︎深臀部症候群について知識を深めたい方
✔︎座位で生じる臀部痛について学びたい方
✔︎臀部深層の解剖について学びたい方


また、以前に腰痛マガジンメンバーの岡さん(@TrainerWao)の投稿にもありますので一緒にご覧頂けると、より理解が深まりやすくなります!

今回の記事は、こちらの記事と多少重複する部分はありますが、違った視点でもまとめておりますのでぜひご覧ください^ ^


▶︎ 深臀部症候群とは

深臀部症候群(Deep gluteal syndrome, 以下 DGS)は、 「坐骨神経の非椎間板性及び骨盤外性絞扼を原因とする臀部から鼡径部への疼痛を呈する症候群」のことを指します。

坐骨神経または他の神経が臀部深層のさまざまな構造によって絞扼されることによって、臀部痛が発生する可能性があるということで、近年では「深臀部症候群:DGS」という用語が梨状筋症候群の代わりに置き換えられるようになりました。


つまり、梨状筋症候群はDGSの1つの要素にすぎず、梨状筋以外にも骨盤の状態によって同様の症状を引き起こす可能性があります。1)


▶︎症状 

ほとんどの患者は、腰痛ではなく以下のような症状が多く出現します。

①臀部痛
② 長時間(20-30分)座位での不快感や疼痛
③ 下肢の放散痛
④有痛性歩行
⑤ 
股関節内病変のように鼡径部痛に類似した疼痛
⑥下肢の感覚異常

臨床スポーツ医学:Vol39.(6).2022より一部引用


特に①〜③の症状がDGSの典型的な訴えであるといわれています。


▶︎深臀部の解剖学

DGSで重要となる臀部スペース(subgluteal space)は次のように縁取られています。

後部:大殿筋
前部:大腿骨頸部の後縁(寛骨臼後方、股関節後方関節包、近位大腿骨)
外側:粗線の外側唇と殿筋粗面
内側:仙結節靭帯
上端:大坐骨切痕下縁
下端:坐骨結節でのハムストリングスの近位起始部

図1

赤枠で囲まれたところが今回のDGSで重要となる「subgluteal space」となります。


この空間には以下の筋肉があります。

梨状筋、上双子筋、下双子筋、内閉鎖筋、大腿方形筋

図2

更に、以下の神経が臀部深層を横断します。臀部の解剖学的な構造異常がこれらの神経を絞扼することで症状を誘発します。1)

坐骨神経、 後大腿皮神経、陰部神経、上殿神経、下殿神経

また、水平面上のMRIにて実際にこれらの神経絞扼部位を確認してみましょう!
図3の赤い三角で囲った部位にて神経の絞扼が生じます。

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