ぐにゃぐにゃの道で楽しい②香川の島ー佐柳島と男木島(瀬戸内国際芸術祭)
物凄く今更になってしまったが、島旅のつづき。
犬派がゆくねこのしま、佐柳島
白石島、真鍋島と島を渡ってきた私の次なる目的地は、佐柳島である。
ここからは香川県に突入。
真鍋〜佐柳という週に1本の激レア航路のフェリーに乗り(もはやこの船にのりたくて佐柳島に行くと言っても過言ではない)、約20分で佐柳島に到着。
佐柳島は、猫好きが集まる猫の島として最近その名が知られているようで、周りの旅行者の9割がチャオチュール片手に猫の写真を撮っていた。
実は犬派の私も、海×島猫たちのいるのどかな風景に癒されながら、海岸線を通る島唯一とも言える道路をてくてく歩く。最高だ。
しかし「意外と猫いねぇな」というのが正直な感想。遠くから眺めてる限り、他の島にいる猫の数とあまり変わらない気はしたが、そこがまたリアルで良い。
後で調べてみると、どうやら「飛ぶ猫」の写真がSNSで拡散されて有名になったらしい。
この日は島で唯一のお宿「ネコノシマホステル」さんへ宿泊。
特別猫好きでもない私が泊まるのがひたすら申し訳なくなる屋号だが、古い小学校を改装し、カフェも併設された本当に素敵なお宿。
派手に改装してしまうのではなく、限りなく元の校舎や備品を大切に残そうというオーナーさんのあたたかい愛と思いが伝わってくる空間だった。
まさに「何もない」が「ある」。
そんな離島の醍醐味がたくさん詰まった素晴らしい島だった。
3日目の予定は特に何も決めていなかったので、一旦四国へ上陸した。
瀬戸内国際芸術祭が開催中であることを思い出し、とりあえず高松へ向かう。
混雑具合と船のタイミングをみつつ、瀬戸芸を巡ることに決めた。
坂と路地と現代アートの楽園、男木島
高松港へ着くと、男木島への臨時便が出ていたので船に勢いよく乗り込む。
約40分後、港から続く急な坂道にぎゅぎゅっと民家が連なる風景が見えてくる。
もうこれだけで心が躍る。
2回目の訪問だが、相変わらず男木島の集落散歩はアイランダーの心を最高にうきうきさせてくれるのだ。
先の見えない坂道とぐにゃぐにゃの路地。
前回訪問した時以上に、空き家が増えた気もする。
今回の瀬戸芸の作品は、前回開催の際に訪れた直島の家プロジェクトのように、古民家をまるっと使ったものが多く、ポップな作品や五感を刺激される作品、空間をそのまま利用した作品など、上下左右が分からなくなるような感覚になる、いろんな意味で「男木島っぽい」作品たちにワクワクしっぱなしだった。
現代アートはよく分からないと言われがちなものである。
オーケストラでも、よく現代音楽を扱っていたが、理念的に語れたり解説ができるものではなかったし、奏者としての自分にとっては、クラシック音楽は演奏の前にまず「解釈」があり、自分なりにそれを心の深いところへ落とし込んで表出することを楽しむものなので(あくまでも個人的に)、普段演奏するバロックやロマン派の曲よりも感覚的で、全くの別物と捉えていた節がある。
回りくどく書いてしまったが、正直に言う。
ぶっちゃけよく分からないのだ。
だがしかし、それが悪いこととは1ミリも思っていない。
現代アートに触れている時間、それが絵画でも空間芸術でも音楽でも、なんか分からないが「とてつもなく何かから解放されている」感覚を得ることがある。
感じ方は十人十色だと思うが、私はその感覚が物凄く心地いい。普通に文章を書いている今、その感覚はリアルに思い出せないのだが、作品に触れている間だけに訪れる、瞬間限定のカタルシスだ。
「なんか分からんがめっちゃ良い!!」
そんな無邪気で自由な感覚って、実は物凄く価値のあるものだと思う。
だから懲りもせず、何度も何度も触れたくなる。
瀬戸芸は、自分が大好きな島の自然もまるごと含めてその感覚に浸れる極上の空間である。
たまたまではあったが、やはり行って良かった。
続いて、男木島からちょうどいい時間に大島行きのフェリーがあったので、そちらに乗り込む。
つづく。
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