バカ舌の極み

一人暮らしだと言うと、自炊派か外食派かと聞かれることが多い。

外食はしない、だから消去法で自炊派になるんだろうけど、自炊もほぼしない。

そのまま食える食材を買ってウチでそのまま食う。サラダみたいな感じ。せいぜい切って盛り付けるくらい。

先生ー!サラダは自炊に入りますかー!
フルーツヨーグルトは自炊に入りますかー!


バカ舌なんだ。

だから自炊したとて美味い味付けなんてわかんないし、出来たとてそれを味わえる舌を持ち合わせちゃあいない。

故に、醤油か塩胡椒で十分なのだ。
前進しようと味噌を奮発して買った事もあったが、忘れて冷蔵庫で3ヶ月放置し発酵し過ぎたのか味が変わってしまっていた。

どうせ分からんのだからと、食材はほぼ同じものを買って食べている。

朝は納豆に醤油,乾燥ネギ,刻み海苔,胡麻,たまにターメリック。それと、キャベツ2枚を千切った上にプチトマト3つ,煎り大豆30粒,千切った6Pチーズ1つ,塩昆布。
オプションでアボカドや干しエビ,海苔など。

このタンパク質増し増しサラダ、全く飽きが来ない。しかし残念ながらプチトマトが値上がりしたので、トマトジュースで代用しようと考えているが...どう献立に組み込めば良いのやら。

お昼は食堂で魚か豆腐。
1日の中で最も手の込んだ唯一の定食に低価格でありつけるなんて幸せ過ぎる。毎週月曜日には、今死んでも構わない、と思いながら炊きたての米を喰んでいる。私にとってはランチがディナーに当たる。

夕食は特に決まってないが、割引おにぎり、レーズンヨーグルト、プロテイン豆乳パンケーキ,バナナ...夕飯が煎餅の日もある。この前、すごく硬くなったバゲットを冷たい豆乳に浸すと驚くほど美味しいことに気付いた。味付けも何も無しに、である。これがバカ舌の極みだ。

こんな感じで、うっすいパンケーキを作る以外でコンロの前に立つことはない。


思えば小さい頃からバカ舌だった。
自己紹介や初対面に聞かれることとして王道なのは、好きな食べ物だろう。幼稚園からずっと聞かれ続けていたがその度に違うものを答えていた。

普通は「好き」と「美味しい」が比例して、1番美味しいものが1番好きな食べ物にるんだろうか。

最近になってやっと自分の好きな食べ物が見えてきた。私の場合、「好き」に比例する要素は「健康に良い」「食感が良い」「手軽」だ。その最たる例として遂に納豆がその地位を得ることとなった。そこに上記の食品が続く。

お菓子作りなんぞもってのほか。

例えば。
スイートポテトを作るためにはまずさつまいもを蒸すだろう?...もう食べれるじゃないか、甘くて美味しい蒸し芋じゃないか!そこから更に加工する意味が分からない。油を混ぜて?砂糖を混ぜて?高熱に晒して焦げ目をつけて?手間をかけて不健康になる。ものすごくわかんない。



これは内緒の話。
私はバカ舌だが、周りの人間は私よりもバカ舌だと思っている。

農業やってる子に「生でかじった人参が甘くて美味しかった」と伝えたが、意味わかんないと言われる。

京都の茶屋で「良いお抹茶だとほんのり甘いんですね」と言ったら、は?という顔をされていたたまれない空気が漂う。

弁当に食パンを食べていたら、なんで何も付けずに食べてるの?味無いじゃん!とイジられる。

友人達ともんじゃ焼きを初めて食べたとき「しょっぱい」と感想を言ったが誰も同意してくれない。

コロッケにソースをかけずに食べると驚かれる。

「半額だからって賞味期限間近の煎り大豆買って来ないでね、甘くなくなってるの」と言ったら母が不思議そうな顔をする。

「これ、1ヶ月前に買ったさつまいもでしょう?時間が経つと甘さが抜け落ちるんだから早く食べちゃって」と言うと父がほぇ?という顔をする。


ね?みんなバカ舌でしょう?

私が正しいんだよね?そうだよね...??




砂糖を絶つと、甘味に対する味覚が甦るのかしらね。

砂糖の無かった時代の料理を食べてみたいなぁ。江戸時代を舞台にした小説に出てくる料理がどれも美味そうで美味そうで!お店の既製品の原材料を見ると大体に砂糖とか糖類とか果糖ぶどう糖液糖とか書かれてるからさ、やっぱ自炊するしか無いのかね。

いつか、マジもんの手抜きレシピ本作りたい。

世の自称ズボラ料理本は、時間かかりすぎ手がかかりすぎそんな調味料無いそんな調理器具ないでハードル高いのよ。ウチ、電子レンジもオーブンもありませんから。大匙小匙もありませんからぁ!

マジの手抜きレシピ、別名バカ舌レシピ本を作ったるから見てろぃ。
細工は流々...は違うか。



ちょっと別の話なんだけど。
いやむしろこれが言いたかった。

羽川翼、知ってる?
共感できるんだ、ちょっとだけだけど。
でもね、私は目玉焼きには醤油派だ。

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