きつねさん

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最近の記事

私はまだ充分ではない

人は言葉を話せるようになるまでは完璧で完全な存在で、他者との間には一切の壁がない。幼児期に言葉を話せるようになり、世界を事実ではなく物語で認識できるようになった頃のどこかで「私はまだ充分ではない」という感覚を持つらしい。 私が充分ではなくなったのはいつだろうか、記憶の淵をたどっていくとレゴ遊びに夢中だった4,5歳ごろのことが頭に浮かんだ。遊び終わると作ったものは元のブロックに戻して片づけていたのだが、友だちが作った車の模型は出来が良かったので、ばらさずに机の上にとっておいた

    • 喪失と未完了なこと

      人に無意識な枷をかけているものは「人生で未完了なこと」で、それを完了させていくことで人は少しずつ自由になっていくことができるらしい。 先週、コーチとの会話で2つの問いを投げられた。 「過去に、気持ちや感謝や承認を正直に伝えられなかった人はいますか?」 「1分間差し上げます。私をその方だと思ってお話ししてください。その方とはもう会えません。人生で話せる最後の機会です。」 なぜか、高校生の時の友だちのことを思い出した。友だちといっても正確には姉の親友で同級生ではない。姉が帰宅

      • リアリストとして生きるロマンチスト

        この記事は言語化コミュニティ『シナプス』のアドベントカレンダー12日目として書かれたものです。 ドイツの哲学者ハイデガーが提唱した世界劇場という概念がある。 この世界は一種の劇場の舞台のような場所であり、すべての人が何らかの役柄を与えられ、脚本の通りに演技をすることを求められているというものだ。 しかし、私たちのありようと世界から求められる役柄は異なり、その差異は理想と現実のギャップなどという言葉でたびたび表現される。 会社員だろうとフリーランスだろうと仕事をすることを経験