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時代の変化とアタリマエ

職場で私の受ける電話は基本的に社内の人からで決まった用件でかかってきます。
少し前から若い新人派遣さんとのやり取りで妙な違和感感じることが増え、何だろなーと思っていたのですが。

相手「○○お願いしたいです。」
私「はい。」
相手「・・・。」
  ~数秒の沈黙~
私「部署とお名前お願いします。」
相手「○○部の△△です。」
私「○○部の△△さんですね。お疲れ様です。」
相手「・・・。」
  ~数秒の沈黙~
私「・・?。ご希望は?」
相手「□□です。」
私「はい、  。?」
相手「・・・。」
 ~数秒の沈黙~

用件完了するやり取りには幾つかの希望を聞かなければならないのですが、会話が続かんのです。1つ聞くとその後無言なんですね。
新人さんなんでやり方分からないのかなーと「これとこれとこれを必ずお聞きしますので、次回はそれをお伝えくださいね。」とアナウンスしても、次回また同じやり取りが発生するのです。

初めは最近の若者に多い電話苦手タイプなのかしらんと思っていたのですが、そうは言っても社内の人間相手で用件も複雑ではないし、流石に仕事なんで慣れてくれないと困るわけです。
その子だけかと思っていたら、しばらくして対応した他の子達もチラホラそんな感じなのです。1人じゃないとすると単なる苦手意識とは限らんなあーとか思ってたのですが、ハタと気が付きまして。

最近の若者世代はAI化が当たり前の中で育ってきています。やり取りもチャットやメール、LINEなどが主のよう(他にもあると思いますが)ですが、友達とかではない所への問い合わせとか申し込み等する時、AI相手のやり取りになっている事が多いです。
例えば宅配の再配達依頼をLINEでするにも「ご希望日時は?」「時間は?」「置場所は?」と順番に次々聞いてきてくれ、その流れに沿った希望を入力すれば完結してとても便利です。
銀行ATMもそんな感じですし、日常生活に当たり前に浸透してます。

私が感じた妙な違和感はこれだったみたいで。生身の人間と会話しているはずなのに、AIと対話してるような感覚になるのです。
で、なるほどーと。

彼らは電話が苦手(な人もいるでしょうが)なのではなく、1つ聞かれてそれに対して答え次の問いを待つ、というのが当たり前のようなのです。だから答え終わったら相手が問いを出してくるのをずーっと待つ。そういうものだと思っているから。

ベテランさんや要領わかっている人は、こちらに伝えなければいけない内容をダーッと全部伝えてくれ、それを基にじゃあこれどうですかみたいなやり取りが当たり前だと思っていた私には、会話ぶつ切りのやりとりがよく分からんかったのですね。伝えてもらう内容は決まっているのだから、先ずそれ全部教えて貰った方が業務会話としてスムーズですし。

彼らも喋れない訳ではないのです。内容理解してない訳でもないのです。単にやりとりはそう言うものだと思ってるだけみたいなんですね。ましてや仕事なんで(そういう対応で)ちゃんとやらねばと。

はぁ~、これが時代と言うものかとチョッとびっくりしました。でもそうなんですよね。日常生活がそれで成り立っているのですから。それしか知らないのですから、そうなるのは当然です。

かと思っていたら、最近は年齢層高めの方々にもこの兆候がチラホラ見えてきました。
以前だったら取り敢えず自分の言いたいこと(伝えなければならないこと)は先に全部言ってしまおうと、こちらに口挟ませない位に押しきっていた方々にも、この「次の問いを待つ」という"間"を持つようになってきた方が増えてきました。ほぉーお、と思い。

こうやって社会の変化と共に人の感覚認識なども変わっていくんでしょうかねぇ。ある意味怖いようにも思いますが。いつの間にか自分がそう変わっている、と言うことですから。

結局この若者が「ものを知らない」訳でもなく、単にそういう(社会)環境で育ってきたから、だけなんですよね。本人悪気ないし説明すればちゃんと理解するし。
でもチーム内の他のスタッフも「最近の子は何なんだろうね、電話のかけ方知らないよね。」とかやはり思うわけで、それはそれまでの職場での電話やり取りとはこういうものだという経験と概念から出てるわけで、どちらが良い悪いでもないんですよね。
そのスタッフにもAI化の話したら「!!」となり、次に似たようなケース受けた後に「この前聞いてナルホドと思ったら腹も立たなくなったわ」と言ってました(笑)。

みーんな自分が持ってる経験や概念の世界で生きてるからどうしてもその中だけの「正しさ」に寄っちゃいますよね。
でも相手がそうする背景というか理由というかそんなものが理解できると「なるほどねー」となり、それが良い悪いではなくて相手への理解が生まれ、「じゃあどうしようか」へ繋がる気がします。
お互いをいったん認めた上で、ならどうするのがお互いにベストになるかなと思えるようになる。

まーでもちょっと正直なところ、こんな風にAI対応が当たり前に育つと、聞かれたこと言われたことには即座反応できるけど、創造性は育まれ難くなっちゃうのかしらんとか思ってみたりします。
相手や状況に対する創造性、キャッチする能力みたいなもの。
育まれ難くというよりも、それの出し方というか表現方法がわからなくなり易いのではないかと。
感受性豊かな子は沢山いますから、キャッチは出来ているのだけどどう表していいのかどこで使えばいいのかわからない、みたいな。
で、その前の世代は「自分は」を主張することで生き延びてきた人達だから(笑)逆に聞きたくもないこと自分から喋って来たりして、結果若者らが「人が怖い。何言ってくるのか怖い」みたいのに繋がってしまうのかなーと。

そんなこんなを若者との電話やり取りで教えて貰い、自分も社会環境下で知らず身に付いてる「当たり前」さん沢山あるんだろうなーと思いつつ、やっぱりその場その場をジャッジしないで「?」がすり抜けられる風通しのよさでいたいなーと思ってみたりした面白い出来事でした。

気付かせてくれて
ありがとう



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kitoma
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