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なぜ建築キャリアの僕が「保育園留学」のスタートアップに飛び込むか。建築の力を地域とこどもの未来のために使う挑戦

1-2週間家族で地域に滞在する、こども主役の暮らし体験「保育園留学」では、建築デザイン・不動産プロデュースを通じて未来をつくる、まちづくりスタジオの事業が拡大しています。

保育園留学を通じて人の流れをソフト面で生み出しながら、ハード面で魅力的な住まい・暮らしを整備していく。ご家族の体験を最大化しながら、よりまちづくりにも貢献する事業です。

その領域を事業リードを務めるのが、一級建築士の山田敬太さん。留学専用のこども主義な滞在施設「保育園留学の寮」の連続的な立ち上げ・運営を担い、保育園留学を起点にした様々な建築プロジェクトに従事しています。

設計だけに閉じない建築家としてのキャリア、そしてまちづくり・不動産ファイナンスの経歴を経た山田さんがなぜキッチハイクの保育園留学事業にジョインし、建築不動産領域でどんな可能性を見出しているのか。お話を伺いました。


「建築だけど建築じゃない」を模索してきたキャリア

山田 敬太/事業開発。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。一級建築士。9歳の長女・2歳の次女と4人で鎌倉暮らし。建築設計事務所で設計管理業務を経験。その後、環境色彩設計事務所クリマで都市景観デザイン、集合住宅の改修デザイン、地域のまちづくりプロジェクトに従事。その後、不動産ベンチャー企業において、ファンドを活用した遊休不動産再生事業に関わる。2023年7月からキッチハイクにジョイン。保育園留学に関連する建築・不動産領域の事業リードを行う。

ーーこれまでのバックグラウンドを教えて下さい。

こんにちは、山田敬太です。大学・大学院時代は、環境デザインを専攻していました。環境デザインという分野は、建築・都市計画・ランドスケープといった領域を横断した複雑系の中から解を探していく学問です。いわゆる建築の意匠設計も大好きなのですが、建物だけでなく都市や社会のシステムに関心があり、幅広く学んでいたように思います。

今振り返ると幼少期から生活圏に有名な建築物があり、影響を受けていたと思います。そのなかでも、ただ建物を見るだけでなく、「どうしてこの場所にこの建物が、どうやってできたんだろう?」とその裏側や周囲を想像するのに夢中だったことが「建築だけど建築だけじゃない」僕のキャリアの原体験になっています。

途中1年フィンランドのヘルシンキ工科大学(現 アアルト大学)に留学して、木造建築を学んでいました。そこでも単にデザインだけではなく、林業から工場まで、木材が生まれるプロセスや産業との接続を考える建築を学んでいましたね。修士論文では、滋賀県の中山間集落の都市景観の研究を行っていました。そこに住む人々の生活や社会の動きが、どのように景観に現れてくるのか?を紐解いていました。

建築はただ建物をつくるだけじゃない。社会システムと建築の関係性をデザインしていく事に関心があり、社会人としてどの様に専門性を活かしていくか?という観点でキャリアを選んでいきました。

ーーキャリアはどのような道だったのでしょうか?

まずは建築の実務経験を積もうと、建築設計事務所で戸建住宅や集合住宅の設計を担当していました。その後、環境色彩設計という、色彩計画を切り口としてまちの景観をデザインする仕事に転向。色彩設計やサイン計画、さらにはリノベーション設計など、幅広く手掛けていました。ここでは建物単体のデザインと、まち並み全体を行き来しながら考えることを深く考えていました。

その後は不動産ベンチャー企業で、事業企画、不動産ファンド組成、遊休不動産再生コンサルなどを行っていました。というのも、これまでまちづくりの文脈で建築に多く関わる中、やはりどの様に資金調達をするか?どうまちの中で経営を維持していくか?ということがすごく気になってたんです。

やはり、ファイナンスの視点が欠けてしまうと、どれだけ建築自体が良かろうと、プロジェクトのインパクトも持続可能性も見込めず、単なる受託仕事に終わってしまうことを強く感じていました。より経営や金融のリテラシーを高めたいと思い、このような領域にトライしていました。総じて振り返れば、社会においても建築とその周辺の領域のキャリアを経験して来られたと思っています。

保育園留学のシステムに電撃。不動産やまちづくりの領域は、絶対にもっと広がると感じた

ーーキッチハイクにジョインしたきっかけは何だったのですか?

実は独立して仕事をしていこうかと迷っていたんです。具体的に関わっていく地域や設計の仕事を探している所でした。そんな中、出会ったのが保育園留学とキッチハイク。「なるほど!面白い事業だ」と感じました。二人の娘を子育てしているなか、当時次女はまだ1歳。いち子育て当事者としても、保育園留学の世界観と作り出していくであろう未来像が刺さったんです。

ーーどういったところが印象的だったのでしょうか?

まず、保育園留学がシステムとしていいなと思ったんです。地域の社会を好循環させるような仕組みになっているし、もっとなりえる。いいスパイラルつくる、本当に良い事業だなと心から思えたし、なかなかそういうのってあるようでないなと。

まちづくりの文脈では、上手なまちづくりチームが入って素晴らしい地域づくりをしている事例はありますし、自分自身そういう事例をとてもリスペクトしています。一方、保育園留学のユニークな点だなと思ったのは、基本的に同じサービスの仕組みを色々な地域で適応できるところ。それでいて、それぞれの地域の良さもちゃんと活かせるところ。

地域でのまちづくりの取り組みを仕事として続けて行きたい。ただ、特に建築や不動産領域は、地方であればあるほど基本的に経済的に成立することのハードルがとても高い。それは自分自身とても肌で感じていました。でも、保育園留学がセットであれば成立しうるなと。

そんな保育園留学にまつわる不動産やまちづくりの領域は、絶対にもっと広がる。いや、もっと広げられる!と勝手に確信しましたし、自分のやってきたことを全力で活かせると思いました。

あと、働いている人の空気感がめっちゃポジティブでいい感じだったんですよね。

ーーどういう空気感だったのでしょうか。

面談や納会でお会いするそれぞれがすごく前向きで、逆にちょっと最初は正直驚くくらいでした。ただ、勢いやテンションだけじゃなく上滑りしていなくて、しっくりきたんです。

それぞれが子育ての当事者だったり、地域の未来に関わりたいと思っている人だったり、自分の手で未来を作ろうとしている。僕としてはずっと理想としては描いていたようなチームがそこにあった、というのも決め手でした。

まちづくり全方位にいい「保育園留学の寮」をつくる

ーー今はどんな業務をされているんですか?

様々な領域に関わってますが、現在のメインは「保育園留学の寮」プロジェクトです。これは留学専用の滞在施設として、”こども主義な住まい”を全国で立ち上げる、多面的な価値づくりをする事業となっています。

通常、保育園留学は行政が運営するお試し移住住宅や民間宿泊施設と連携していますが、この寮プロジェクトは、留学ご家族に特化した住まいを新しく整備し、ご家族の体験を最大限に高めることを目指しています。保育園での体験がすばらしいので、ならば暮らし体験も最高にする。それによりユーザーさんと地域のより長期的な関係づくりを目指しています。

さらに、将来的には移住につながる物件開発にもなっていたり、空き家問題の解決にも貢献できたり、一度にいくつもの価値を生み出す先進的なプロジェクトとなっています。

北海道厚沢部町でオープンした保育園留学の寮。こちらは新築のプロジェクトとして、認定こども園はぜるの先生に監修してもらい、こどもたちにも設計に関わってもらいながら立ち上げました。

自分は事業開発/ディレクターとして、一番はじめの不動産としてのファイナンス企画の段階から、各地で設計パートナーを巻き込みながら設計から施工、最終的なユーザー体験をデザインするインテリアや空間設計、オープン後の宿泊体験の設計やさらなる磨き込みまでを担当しています。

ーーとても幅広いですね!どんなところが魅力ですか?

自分自身が模索してきたところですが、やはり建築は社会と密接にコネクトしてこそだと思っています。だとすると、本当に価値のある建築・不動産を生み出すために、「つくる」から「つかわれる」まで全て一貫して携わりたい。そして、まちにとっても、使うひとにとっても、両者にとって本当に良いものをちゃんとつくりたい。

それが叶うのは保育園留学という、家族にも地域にもいい影響をもたらす特殊な事業ならではと思いますし、自分の責任でガンガン進められるスタートアップならではと感じています。だからこそたどり着ける世界があるなと思っています。もちろんすごく大変なこともたくさんあるんですが。笑

ーーリアルな声をありがとうございます。それはどうやって乗り越えるんですか?

もちろん自分だけではできないので、一つ一つを様々なプロが集まったキッチハイクチームと、熱意あふれる地域の方々と一緒に乗り越えていけるのがまた面白いです。

面白かったのは、厚沢部町の保育園留学の寮で、一緒に寮を考えてきた認定こども園はぜるのこどもたちと、ひと工夫した上棟式やオープニングセレモニーを行ったこと。形式的に進めることもできたのですが、現地在住のCEO山本や広報チーム、現地ステークホルダーと一緒に、寮のコンセプトにちなんだPR企画・ニュースづくりを企画しました。

園の先生・こどもたち・地域の方も巻き込ませていただき、結果的に、自分の想像を超えた印象作りや、地域の一体感を作り上げることができました。このプロジェクトは「プロセス自体も建築しているのだ」というこれまでにない感覚があり、すごく印象に残っています。

また、古民家を改修して作った岐阜県美濃市の保育園留学の寮は、パートナーとしてご一緒した地域の建築家さんとの協業にすごくワクワクしたんですよね。彼ら自身の地域にかける熱量がすばらしいし、保育園留学という仕組みがあると、覚悟を持ってローカルでやろうとしている人と変に競合せず、一緒にタッグが組める。こうした取り組みにできるのは個人的にとても魅力だと思っています。

ーーほかにはどんなプロジェクトがあるんでしょうか?

実は寮以外にも様々です。並行して、保育園留学を実施している地域自治体と共同で暮らしを拡充し「やわらかな定住」を促す公共施設開発のプロジェクトを進めています。いわゆるPFI事業(公共施設の整備や運営を民間企業が資金やノウハウを提供して行う手法)です。保育園留学によって地域との長期的な関係性を築く方の受け皿になったり、地域住民の子育て環境を充実させる機能をもつ複合施設になる予定です。

保育園留学に向き合うと、過疎地域がどう持続的でいられるか、子育て家族にとって本質的に選ばれるまちとは、という問いに向き合うことになります。

そうするとまちは結果として、こども起点・子育て家族起点のまちの再編集を行っていく方向が絶対的にいいはず。そこで、より深く自治体や行政と手を組むことで、本当の意味で未来を大きく変える新たなチャレンジをしていきたいと思っています。

社会性と経済性が両立する建築と不動産の仕組みを発明する

ーー保育園留学のまちづくりスタジオで、今後の未来を教えて下さい。

先日、実際に寮が使われているシーンを現場で目の当たりにしたんです。こどもが寮のなかで楽しそうに走っていたり、家の前で集まって遊んで笑っていたり......保育園留学と寮が無ければ、この過疎の町、この場所にいなかったこどもたちがそこにいるんですよ。これって本当にすごいことじゃないですか。何もしなければありえなかった未来の風景が、そこにある。逆に言えば、自分たちの手で未来は変えられる。保育園留学と建築の力を使って。

改めてまちづくりにおいて、建築や不動産の要素はやはり不可欠だと思いますし、僕自身、建築家としてその力を信じています。一方で、本当に課題を抱える過疎地域では、経済合理性が成り立たせることがかなり難しい。

だからこそ、私達のミッションの一つは地域で「社会性と経済性が両立する建築不動産の仕組みを発明すること」と感じています。それによって、滞在する人の人生も、地域の未来もよりよい方向に変えていくことだなと。未来的で本質的なまちづくりをする、ということかもしれません。

もちろんまだまだチャレンジしないといけないことばかりです。ですが、保育園留学といういくらでも面白いことを仕掛けられるベースがあります。素晴らしいチームも地域のパートナーもいる。もう本当にやりがいしかないですよね。これからますますあらゆる発想と手段で挑戦していきたいですし、新たな仲間にも出会いたいです。

建築スキルを設計だけに閉じず、本当にまちの未来のために使いたい人、地域の持続的な不動産のあり方を模索している人、あとは宿泊事業に長けた人など、、、ぜひ一緒に未来を変えていきましょう!

新しい仲間、そして一緒にまちづくりをしていくパートナーの皆様との出会いを楽しみにしています!

▼未来のメンバーへ
キッチハイクでは、建築デザイン・不動産プロデュース・宿泊施設開の力ででこどもと地域の未来をつくる、新しい仲間を募集しています。ぜひご応募お待ちしています。

▼地域自治体・物件オーナー・宿泊事業者・保育施設運営者さまへ
保育園留学およびまちづくりスタジオの不動産・宿泊・まちづくり領域にご関心のある方はお気軽にお問合せください。空き家/遊休物件でお困りの方、不動産を貸し出しを検討している物件所有者さま、宿泊事業の運営を行いたい地元宿泊施設の運営事業者さま、保育施設運営者さま、移住者向けの住宅施設の整備を検討中の自治体さまからのご相談も受け付けております。

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