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できることとできないこと
山田あかね監督のドキュメンタリー映画『犬と戦争』を観る。これ……たまたま次の予定まで空いてて、時間がちょうど良かったから……っていう理由でサラッと観ていいものではなかった。あー。私はそこまで「ワンちゃん大好き!!!」ってタイプではないから最後まで観られたけど、犬を飼っている人は無理だと思うな。隣にいた方は最初から最後までハンカチで目元を拭ってました。
当たり前の話すぎて恐縮ですが、戦争とか震災とかで被害を被るのは何も人間に限った話ではない。残された犬や猫、ペットたちがどんな被害を受けて、その後どんな境遇に陥っているか……想像すらしたことなかったかも。人間の命が最優先、まず考えるべきは人間の命、と思ってたのかな。命に順番や優劣をつけていたのかも。恐ろしい。
こういう映画を観たあと、自分には何ができるか・できないかを考える思考になり、ひたすら「できること」をしようと思う。のだけど、この映画に関しては自分に「できること」なんてないんだな、とガーンと側頭部を掌底打ちされたような衝撃に見舞われて、ぼんやりしながら劇場を出た。うーん。できることは、ない。
何もできないんだとしたら、せめて知ることだ。なるべく正確な情報を知って、そのうえで「やっぱり何もできない」と絶望して、その虚しさまで内包しながら生きていくこと。募金くらいならできるかもしれないけど、その程度。現地に行って支援したり、何が起こっているかを日本に知らせたり、そんな気概や技術もない。ただ、知って、意識を向け変えていくこと。できることなら周囲の人と、この件について話すこと。
正解もなければゴールもないし、何も生まれ得ないなら「不毛」でしかない。何も知らずにいればこれまで通り普通に楽しく穏便に暮らしていけたんだろうけど、もう、この映画で観てしまったからな。あまりにも知らなさすぎだ。何もできない、小国の一市民ですが、まずは知ることから。そのうえで、もし仮に私にも「できること」が見つかったら、それをします。
決して「おすすめ!」と太鼓判できる映画ではないけれど(とくに犬好きの方にはね……)、この映画を観ることが「知る」の第一歩にはなるかもしれません。
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