blender を使っているとさまざまなトラブルに遭遇します。あとから考えるとばかばかしい原因が多いのですが、その最中では、解決に無駄な時間がかかったりしてしまいます。
大抵の場合、トラブルというのは原因が多岐にわたり、かんたんに解決できないことのほうが多いと思いますが、わたしも悩んだいくつかのトラブルと対処法を紹介します。
環境 Blender 4.2.0 , Mac Mini M1 OS 14.4
オブジェクトが消えた。
たいていの場合、うっかり H キーを押したことが原因。Option(Alt)+ H キーを押すことで解決できる。
マテリアルが消えた。
時間をかけて作ったマテリアルなのに、いつかのまにかマテリアルスロットから消えていることがある。多くの場合、作業の過程で、そのマテリアルを適用していたオブジェクトを削除してしまったことが原因だ。
テクスチャが消えた。
以前に作成したファイルを開くと、テクスチャが紫になっていることがある。設定していた画像テクスチャをうっかり削除した、保存場所を変えた、保存フォルダの名前を変えた、などで参照できなくなっていることが原因だ。
レンダリングするとオブジェクトが消えた。
あるいは、レンダリングすると余計なオブジェクトが映っている、の場合は、基本ではあるが、表示/非表示ボタンをうっかり入れ/消し忘れていることが原因だ。
オブジェクトの表示がなにかおかしい。
モデリング中やレンダリング後に、オブジェクトの表示がなにかおかしい(さまざまなおかしさがあり一定ではない)場合は、原因のひとつとして、「ノーマル」が正常でないことが多い。
赤で表示される面は、編集モードで選択し、メッシュ > ノーマル > 反転 を実行する。
スケールがおかしい。
これも、さまざまなケースがあるが、一例として、配列モディファイアを適用したところ、なぜか巨大化した場合。原因のひとつとしてオブジェクトの「スケール」が考えられる。
オブジェクトのトランスフォームプロパティをみると、このオブジェクトは、スケールを 0.2 とし 1/5 に縮小している。スケールはみためには適用されるが、モディファイアなど一部機能は、このスケールの値を考慮しないので、もとの 5 倍の大きさで表示されてしまう。
この場合は、オブジェクト > 適用 > スケール を実行する。
統合するとおかしい。
たとえば、下の 2 オブジェクトを、上のオブジェクトを最後に選択して統合(⌘(Ctrl)+ J)した場合。原因は、上にはサブディビジョンサーフェス、下にはミラーモディファイアの、異なるモディファイアを適用していたためだ。
ペアレント解除したらおかしい。
下の 2 オブジェクトを上のオブジェクトを親としてペアレント化し、その後、ペアレントを解除した場合。もとのサイズと異なることがある。
布が縮れる。
クロスシミュレーションを実行すると、よく布が縮れることがある。これも、スケールが関係している。
上の布は 1 m x 1 m の大きさ(スケール)で、クロスシミュレーションのコリジョン設定で、距離を デフォルトの0.015 m とした場合。この値がやや大きすぎ、布どうしの衝突の処理が正しく行われていないためだ。
もちろん距離の設定値を小さくすることで解決するが、手軽に、布オブジェクトじたいを 3 倍程度に拡大しても同じ結果になる。
シワができる。
デフォルトの円柱オブジェクトにサブディビジョンサーフェスを適用した場合。縁に不自然なシワがよる。これは、上面が 32 辺からなる極端な N-Gon のためだ。
上面を削除し、上部の辺を全選択、面 > グリッドフィル ですべて 4 辺の面で構成する。
ループカットでテクスチャが伸びる。
下のようなマテリアルを適用したオブジェクトで、中央のループカットを G キーで移動させると、テクスチャがそれに応じて伸びてしまい、UV を再調整するのが面倒なことがある。
ループカットできない。
ときどき、ループカットできない面があり困ることがある。原因はいくつかあるだろうが、あるべきでないところに頂点があったり、途中に N-gon(5辺以上の面) や Tri-Gon(3辺の面)ができていることが多い。
4辺以外の面を見つけたい。
なにかとトラブルのもととなる 4 辺以外の辺を持つ面を表示するには、編集モードで、選択 > 特徴で全選択 > 面の辺数 を実行し、頂点数を指定する。
不正な面を見つけたい。
(頂点/辺)モードで、なにも選択されていない状態で、選択 > 特徴で全選択 > 非多様体 を実行すると、面のない辺や、平面など閉じていない面などを表示することができる。
ミラーのマージに失敗した。
ミラーモディファイアをジオメトリに「適用」した後、一部のマージに失敗していることがある。その場合は、下のように中央の 2 辺を選択し、M キー > 距離 を実行する。
ガラスが透明にならない。
ガラスマテリアルが透明にならないのは、レンダーエンジンが EEVEE の場合のデフォルト。もっともかんたんな対処はエンジンを cycles に切り替えること。
なお、ガラスなど透明/半透明マテリアルなどで不自然に暗くなることがあり、原因のひとつに、まれではあるが、操作ミスでオブジェクトが 2 重に重なっていることが考えられる。
編集モードでいずれかの頂点、辺、面を選択、⌘(Ctrl)+ L でリンク選択し、X キーで削除する(同じ形状が現れるならば重複していることになる)。
あるいは、A キーで全選択し、M キー > 距離 で、重複頂点をマージする。
レンダープレビューが暗い。
これもデフォルト。環境光やライトが設置されていない場合は下のようになる。暫定的に、環境光を入れたい場合は、シーンのワールドを OFF に。
カメラビューがブラックアウトする。
屋外の広いシーンなどで、カメラを対象から遠ざけると、ある距離でカメラビューがブラックアウトすることがある。一定の距離外のシーンは表示されない仕様になっているため。
ライトがガラスに映り込む。
ポイントライトの半径を大きくすると、ガラスや光沢の強いマテリアルに余計に映り込んでしまうことがある。
カーソルが白丸になる。
ときどきカーソルが下のような白丸になり、なかなか消えず、個人的に困っていた。これは、投げ縄ツールの輪。W キーを押すともとに戻る。
メニュー項目が消えた。
これも基本だが、チュートリアルなどを参照していて、指示されたメニュー項目や設定項目がない、なぜだ、という場合は、オブジェクト/編集モードを切り替えてみる。
ショートカットがきかない。
これもまた基本だが、正しいショートカットを押しても実行されない場合は、PC の英語/日本語モードを確認しよう。
レイアウトの収拾がつかなくなった。
画面を分割しているうちに、戻そうとしてまた分割されてしまったり、収拾がつかなくなることがある。この場合は、収拾のつかないレイアウトは捨て、新しいデフォルトレイアウトを作ることができる。
操作を間違えた。できるだけ前に戻りたい。
状況によっては、⌘(Ctrl + Z)が頼りの場合もあるが、たいていの場合、戻りたい過去には戻れない。ただし、編集 > プリファレンス > システム 内で、あらかじめ「もとに戻す回数」を増やすことはできる。
blender がクラッシュした。
よくあることだ。慌てず騒がず、ファイル > 復元 > 自動保存 から、少なくとも 2 分前ほどのファイルを回収しよう。
プリファレンスがもとに戻る。
プリファレンスを変更したのに、blender を再開後、もとの設定に戻っている場合は、プリファレンスの保存、を実行していないか、自動保存のチェックが外れていないかを確認しよう。
まとめ
トラブルというのは、たいてい、原因も対処法もさまざまで、ごく一例に過ぎないかとも思いますが、この後も、出てきたトラブルは追記していこうと思います。参考まで。