緑茶中のカテキンは主にEGCGとその代謝分解物が主要な成分として脳に作用し，神経細胞の分化を高めることにより脳の老化を予防しているものと考えられる
今回は、海 野けい子氏（静岡県立大学薬学部 准教授）
「茶カテキンの脳機能低下抑制作用における機構解明
―脳移行に関する検討―」を紹介します。
https://www.mishima-kaiun.or.jp/assist/docs/SNo7-unno.pdf
緒 言
アルツハイマー病を含む認知症は加齢に伴い増加することから、「加齢」は最大の危険因子であり、「老化」 はそれを促進する。したがって
「老化予防」は認知症予防の重要な戦略となる。
老化の一因として酸化ストレス の重要性が指摘されていることから、われわれは強力な 抗酸化作用を有する緑茶カテキンに着目した。これまで に、緑茶カテキン摂取により脳内の酸化傷害が軽減さ れ、加齢に伴う脳の萎縮および学習・記憶能の低下が抑制されることを、老化促進モデルマウス（SAMP10）を用い明らかにしてきた。
ラットに緑茶カテキン（エピガロカテキンガレート，EGCG）（図1）を経口投与す ると、極微量ながら脳からEGCGが検出されることが報 告されているが6–8）、緑茶カテキンが脳内にどの程度取 込まれ、またどのようなカテキンが有効であるのか、十分な解明には至っていない。最近エピカテキン,EC、およびカテキンについて、マイクロダイアリシスによるサンプリ ング法9）、ラットおよびヒトの血液脳関門（BBB）モデ ル細胞を用いた検討10）が行われ、少なくともカテキンお よびエピカテキンはBBBを通過することが示された。
しかし、緑茶に含まれる種々のカテキン分子の中で最も 多いものはEGCGであり、その構造からカテキンやエピ カテキンとはBBB透過性が異なる可能性が考えられる ことから、本研究ではEGCGの脳への移行性に焦点を当 て、脳に対する作用の解明をめざした。さらにその成果 とともに、マウスおよび培養神経細胞を用いin vivoお よびin vitroの両面からEGCG等の作用を検討し、緑茶 カテキンによる脳機能低下抑制作用の機構解明をめざした。
考察
本研究により、EGCGが血流を介して脳に至ったと き、その3％程度は脳内に取り込まれることが示唆され た。また培養神経細胞に対しEGCGは0.05 μMで、顕著 な増殖促進作用を示した。緑茶を摂取したとき、ヒトで は摂取量の0.2～2.0％のカテキンが血漿中に取り込まれ ることが報告されており12）、数杯の緑茶を飲んだ場合、 血漿中のカテキン濃度は1 μM程度であると考えられる。 今回得られた結果より、脳に取り込まれたEGCGの濃度 において、EGCGは神経細胞に対し増殖促進的に作用している可能性が示された。EGCはEGCGとBBB透過性 に違いはなかったが、in vivoおよびin vitroにおいて EGCGより作用が弱かった。EGCGは腸内細菌により EGCとGAに分解されるが、EGCはGA共存下において 作用が増強されることが、in vivoおよびin vitroにおい て確認された。これらのことから緑茶を継続的に摂取す ることにより、EGCGおよびその代謝物が直接的に脳神経細胞に作用することにより、脳機能低下を抑制してい る可能性が示された（図5）。マウスにおいて緑茶カテキン摂取により学習能の低下が抑制された有効量を、種差を考慮してヒトの場合に外挿すると、緑茶7～8杯に 相当すると考えられる。これはヒトにおいて十分適用可 能な摂取量であることから、緑茶の摂取は高齢者の脳の 老化予防策として非常に有効であると考えられる。
要 約
緑茶カテキンを継続的に摂取した場合、マウスにお いて加齢に伴う脳機能の低下を有意に抑制することが明 らかとなった。緑茶カテキンの中でEGCGが脳において 主要な作用を示したが、EGCとGAを同時に摂取した場 合も効果が見られた。EGCGとEGCは脳血液関門をわずかながら透過し、その透過率に有意な違いは認められ なかったが、培養神経細胞に対する増殖促進作用は EGCGがEGCより低濃度で作用を示した。EGCGは腸内細菌によりEGCとGAに分解されるが、EGCとGAの 両者が存在した場合は、培養細胞に対してもEGC単独 のときより増殖促進効果が見られた。これらのことから 緑茶カテキン、特にEGCGは、脳にわずかであるが取り 込まれ作用を発揮するとともに、EGCとGAに分解され た場合も脳に対し作用を示すことが明らかとなった。
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以下、喜多重左衛門 記
カテキンという名前は世間に知られるようになりました。緑茶葉の抽出温度、茶葉の品質によりカテキン含有量は違ってきます。お茶の入れ方も難しく思います。そこで、茶師としてカテキンの素晴らしい抗酸化力とお茶の持つポリフェノール（カテキン）の効能を生活に取り込む方法を考えてきました。その結果、特許加工技術を駆使して抹茶粉から抹茶ペーストに加工した製品を開発しました。この宇治抹茶ペーストは、日常茶飯事に使いやすく、上記の論文のような抗酸化力があります。なので、お役に立てるとおすすめします。
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