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え、シドニィ・シェルダン読んだことないの? マジで?(実は俺も…)

すごく売れた小説を、まともに読んだことがないかもしれない。ふとそんなことを思った。
そういえば『セカチュウ』もあらすじは知っているけど本も映画もドラマもまったく。本屋大賞のリストを見てみるも、だいたい読んでない。リリー・フランキー大好きなんだけど唯一『東京タワー』は読んでいない。あ、『キミスイ』は映画を観た。
擦りに擦りまくって、俺の持ちネタみたいになっているんだけど、あの映画を映画館で観たとき、なるほどね〜とミスチルのエンディングも終わり、明るくなって席を立とうとしたとき、前の席にいた高校生集団の一人が叫んだ。

「なんだよ! 膵臓で死なねえじゃん!」

申し訳ないけど笑った。膵臓で死ぬ死ぬいってる人物が膵臓で死ぬわけねえだろ、と。
↑は映画ですけど、本の大ベストセラー! っていうのはさ、基本「本を読まない」人も巻き込んでいる状態である。
コアメンバーの周辺、そして遠くまで届いている。遠くの層のイメージとしては「映画館に年に一回行くか行かないかの人、観るのはジブリかコナンか新海誠」の読書版である。ジブリもコナンも新海誠も、百パー面白いこと間違いなし、だから行く、無駄な金、時間にならないってわけだ。

で、みんなが面白いと言ってるなら、俺だって面白く読めるはずなんである。というわけで、最近、あえてベストセラーを読んでみることにチャレンジしている。そもそもなんでベストセラーあんま読まないのか。いや、昔は読んでたよな〜、村上春樹さんの新刊は初日に買うし。好きなベストセラー作家さんはもちろん読みます。あ、そういうことか、馴染みがないってことか?

前置き長くなりましたけど、シドニィ・シェルダンである。なんか新刊出るたんびにランキングに載り、吊り革広告バンバン! ベストセラーすぎてギネスブック更新とかなんとか言われていた作家である。有名なのはやっぱ『ゲームの達人』なんだろうな。
なんか昔、本屋の翻訳書コーナーにだいたいあったぞ。
で、まったく読んだことがない。
最初は『ゲーム』読んでみるかなと思ったんですが、上下巻かと尻込みしてしまい、ひとまず最新刊(といっても2016年刊行)のこちらを読んでみました。

シドニィ・シェルダンの本のほとんどがアカデミー出版から出ている。そして超訳である。この超訳、とりあえず読みやすくしてくれているらしい。実際今回読んでみて、すいすい読めた。240ページ、一時間半で読めた。シドニィ・シェルダンってそういうリーダブルな? 人なのか、それとも超訳なのか。
さまざまな人物が現れるが、手にした人は幸福になるらしい25セント硬貨が主人公、といえるでしょう。この硬貨を手にした人々は、さまざまなラッキーや、アンラッキー(善人には幸福が、悪いやつには裁きが)が起こる。唐突なオチが多い。「え、そっち?」みたいな。冷静に考えたら、「うーん、不思議な力があるんだねえ」くらいの感想なんだけど、多分読み慣れてない人には「うっそ! マジで!?」とくる。何人もの悲喜こもごもを流れていく。その展開に「なるほど」と謎に落ち着いた気持ちで読んでしまった。勉強になるわ〜とか。
にしてもこの読みやすさ、これは、人物像がすごくわかりやすいところにも秘訣がある気がする。なんとなく人物たちに深みがあるようなないような、なのは多分短編だからだろうか。長編だとどうなんだろうか。やっぱ他のものも読んでみる必要があるかな。でも変わらないかな。いい人・可哀想な人・悪い人、マジで直球すぎるくらいに「役割」って感じだ。

なんだか嫌味っぽく書いてしまったけど、決してそうでなく、すごく読者サービスのある「行き届いた」本である。なにせ読みやすいんですもの。

巻末の解説らしきものを読んでいたら、いつのまにか広告っぽくなっていった。あの漫画雑誌によく広告があった『家出のドリッピー』(内容知らないけど懐かしい〜)もシドニィ・シェルダンなんですね。いまもあるらしい。面白い小説を英語でぐいぐい読んで、語学力アップするってやつです。この本も「初中級」で採用されているらしい。ちなみに「上級」は『ゲームの達人』だ。

読み終わり、さて、この本は面白かったか? 
うん、面白かった。時間がぽっかり空いたときにさらっと読める。
おすすめか?
小説読むの苦手な人はいいかも。文章も流れがいいし、すいすいいける。
読み返すか?
それはわからない。多分読んだ人々も、まあいつか読み返すこともあるのかもしれないけど、どっちかといったら、たくさんあるシドニィ・シェルダンの本を読んでいくのだろう。あるいは他のベストセラーを。世の中にはたくさん面白い本あるしね。
読み捨てる気もないけれど、読み返すことがあるのかわからないもの、それがベストセラー、なのか?

この探究は今後も続けていきたい。

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キタハラ
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