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チェコ出身フルプ選手の活躍祈願と、NPB『助っ人』のあり方
野球を見始めて40年を過ぎた英才教育野球オタクの、嬉しいニュースへの感想日記です。
WBCでのチェコチームの活躍
先日、チェコ出身のマレク・フルプ選手が育成選手として読売ジャイアンツに入団しました。
NPB(日本プロ野球)に初めてヨーロッパ出身選手が加入するという、歴史的なできごとです。
野球ファンなら(そうでない人も一定数)、23年のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)第1ラウンドで日本と同じB組で戦ったチェコチームのことを覚えていると思います。
国内にプロ野球リーグがなく、ほとんどの選手が会計士や消防士といった本業の合間に練習を重ねるという厳しい環境からヨーロッパ予選を勝ち進んで、見事世界の舞台に立ったチームです。
日本戦ではそのバックグラウンドに加え、日本や韓国などの野球先進国に食らいつくプレイや、超満員の野球専用スタジアムや野球用品の豊富なスポーツ用品店に感動する様子が報道され、日本の野球ファンにもさわやかな印象を残しました。
フルプ選手の伸びしろ
フルプ選手はチェコチームでも少数派のプロ野球選手で、アメリカ独立リーグでプレイしていました。
WBCの日本戦では千葉ロッテマリーンズの佐々木朗希投手が放った163km/hの直球を打ち返し、ツーベースヒットを放った実力を持っています。
入団会見では、巨人の阿部慎之助監督がWBCを観戦し、フルプ選手の素質を感じて調査させた、というエピソードも披露されました。
巨人の二軍チームに合流後、早速フェニックスリーグ(秋に行われる、若手中心の12球団武者修行リーグ戦)に出場し、ホームランや好守を見せています。
今後練習を積み重ねて成長すれば、支配下登録も夢ではありません。
巨人は外国人選手の層が厚く、その中に食い込むのは容易ではありませんが、ぜひとも活躍してほしいと野球ファンとして願っています。
『助っ人外国人』とは
ところで、フルプ選手の活躍が報道される際、『助っ人』という表現が使われます。
『助っ人』という言葉を辞書で引くと、
すけっ‐と【助っ▽人】 の解説
手助けをする人。すけて。
フルプ選手はチェコを代表してNPBに挑戦していて、辞書に載っている『手助けをする』立場の選手ではありません。
ですが、外国人選手はみな『助っ人』であるという風潮のもとでひとくくりにされています。
『助っ人』という言葉には、かつてのNPBのレベルが決して高くなかった時代の名残りがあります。
かつてのNPBと外国人選手
日本人がMLB(メジャーリーグ)に挑戦するなんて夢のまた夢と言われていた時代、NPBの12球団は競って『助っ人』として外国人選手を獲得していました。
『格下』のNPBに入団した選手は、メジャーリーガーとしての盛りを過ぎていたり、実績を挙げられなかった選手が大半を占めていました。
1995年に野茂英雄投手が、2001年にイチロー選手が渡米して、その実力をアメリカ中に知らしめました。
また、その頃から精神論的スパルタ指導よりもデータに基づいた理論的な指導の方が少しずつ支持を集め始め、プロ選手の練習へ取り組みも熱心になってきました。
同時に、「春夏の甲子園でピッチャーに無理をして投げさせ、その後の野球人生をつぶす」ことが美徳ではなく、球界の損失になるという認識も高まっています。
高校生からプロに至るまで選手の野球への意識が変わり、NPBのレベルも年を追うごとに上がっていきました。
21世紀の外国人選手
2024年シーズンにて、大谷翔平選手がトリプルスリー(打率3割・ホームラン30本・30盗塁)に加えて前人未到の50本塁打・50盗塁を達成しました。
大谷選手の他にもダルビッシュ有投手など優れたメジャーリーガーを輩出したNPBがMLBに次ぐ高レベルな野球リーグだと認知されたことで、来日する外国人選手の質も変わってきました。
MLBではなかなか出場機会がなかったけれど、NPBでタイトルを争って売り込みの実績とする選手が増え、また日本のファンや風土を愛し、できる限り長く日本でプレイしたいと希望する選手も現れています。
そして、フルプ選手のように育成からNPBに挑戦する選手も来ました。
『助っ人外国人』概念の再認識
NPBには『外国人枠』という制度があります。
1試合に出場する外国人を4人にまで絞り、『スタメンを外国人で埋め尽くす』という暴挙を防ぐために生まれた制度です。
確かに、NPBにMLB選手が大挙して参加したら試合がつまらなくなって困りますが、それは『NPBに憧れる外国人選手がいなかった』時代の発想でもあります。
現状、『外国人枠』はフルプ選手のような『助っ人』ではない外国人には不適切なルールとなっています。
MLBで好成績を挙げていた選手と、育成契約のフルプ選手を同じまな板の上に乗せるのは、現実的ではありません。
今後もヨーロッパ出身選手などがNPBに挑戦するケースも増えそうです。
『外国人枠』をMLBやAAAの在籍経験がある選手だけに適用させたり、『外国人枠』の適用を免れる何らかの基準を作るなど、柔軟なルールに改正する必要があると思います。
(抜け道を作って有能な外国人選手を無法に入団させるケースも発生しかねませんが……)
ともあれ
ともあれ、私はフルプ選手の活躍を応援しています。
満足なスタジアムもない国から来た選手が野球先進国のプロリーグで活躍する、というジャパニーズドリームへの期待が高まるばかりです。
……と書いていたら、10/19の阪神戦でフルプ選手が送球を頭に受けて担架で搬送されました……心配です。
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