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腰痛のはじまり

腰痛を抱えたのは、忘れもしない28歳。いまから28年前になる。
そこらへんのことを、かいつまんで書いてみたい。


「家族でネズミの国へ旅行しよう!」
それを合言葉に、慣れない引っ越しのバイトを敢行。バリバリのデスクワーク男だった当時、一日3~5件の引っ越しは激務だったが、バイト料の良さに負けて続けた。
それがきたのは、まだ5回目のとき。

グギっ!

激しいショックと骨の異音を、腰のあたりに感知した。
まだ腰の知識に乏しかったぼくは、それを単なるヒドイ筋肉痛ととらえ、仕事を継続。

一晩寝れば、痛みは治るだろう。若い僕はそう考えたが、3日経っても5日経っても、症状はよくならない。真っすぐ立つことができず、歩くのにも支障がでてきた。

心配する職場の友人の勧めで、整形外科を受診。撮ったレントゲンをじっとみつめて医師が告げた。

「椎間板症です」

ついかんばんしょう? それ、なんすか?

椎間板症ってのは、腰骨を支える軟骨のこと。その一つが半分に潰れているそうな。
ヘルニアじゃないので、手術までは必要ないがヒドめ腰痛。そんなところらしい。

「はぁ……」

どうせデスクワーク。だし座って痛いのは、あきらめよう。
楽観していたが、その月のうち、仕事を止めることになる。おりしもバブル崩壊の時期。事業悪化のせいで、会社が予定していた分室の話がなくなった。

すでに札幌にいた4人は、そのまま解雇。プログラマーだったぼくらは、それぞれ別の道を歩むことに。

長男の頭をなでながら、嫁に告げる。
彼女は、大きくなりはじめたお腹をさすっていた。

「まいったね。でもま、計画してたことだし。行くか?」
「そうだね。行こう!」

ネズミの国は楽しかった。

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