書けるひとになる! ナタリーゴールドパーク
いろんな文章本を読んだが、手元におきたい一冊となった。技術的ノウハウはほとんどない。そのかわり、書くための後押しが、あふれるほど並んでる。
文章を書こうという人間には、最高の応援読本。
ある章に「私は……の友達だ」で10分書いてみようってのがあった。目の前のテーブルで書いてみた。
オレはテーブルの友達だ。
こいつは、辛抱つよい。ひじを置いて本を読むが、オレの体重を丸ごと支えて文句をいわない。コーヒーをこぼしても、クッキーやチョコのかけら柄散らばっても、マイペース。いぬの麻呂がかじったが、やめてとか痛いとか、悲鳴や懇願もない。
存在を沈黙で語る。汚れて不満のときはカタカタ天板を揺らす。機嫌がいいと、いつもより電気を多く反射させる。
テーブルがうちにきたのは、松戸の新居。仕事仲間からの結婚祝いだった。表は白に黒マーブル。裏は黒に白マーブル。じつはこたつ仕様たが、最初の一年しか、暖房してない。札幌じゃ出番がない。
「おいっ!」
て、テーブルが、言葉を吐いた。
「そっとしてしといてくれ、オレのこと書いたりしてくれるな。注目されるのが死ぬほど嫌いなんだ」
オレは、テーブルの友達。友達は友達の頼みを聞くものだ。
わかったよ。よくわかった。
オレは、テーブルを押し入れにしまうことにした。
以来時々、押し入れの扉が揺れることがあるが、地震なのだろう。出せーと聞こえるのは空耳だ。
テーブルは幸せになったのだから。