【読書】「新 コーチングが人を活かす」
この本は日本におけるコーチングの定番の入門書(らしい)です。
教育の仕事をしている立場の人間にとってはコーチングも必須のスキルだと思うので、一読しました。
電子書籍版は紙の本に比べてかなりお手頃価格なので、おすすめです。
表紙の雰囲気からわかりやすい入門書の雰囲気が溢れ出ていますが、イメージ通り、とても読みやすいコーチングの本で、コーチングを学びたい人が一番初めに読む入門書として最適な本です。
普段私は講師の仕事をしていますが、どちらかと言えばコーチングよりもティーチングの割合の方が多めです。
ですが、考える力を鍛えるために、答えのない問いを与えて対話をしながらその人なりの答えを導き出す、みたいなこともよくやっていています。
そのためにはコーチングスキルも必要不可欠なスキルになります。
個人的には、コーチングと聞くと、企業におけるマネジメント、あるいはスポーツチームのマネジメントなどで活用されているイメージがあります。
この本を読んでいても、想定されている読者は組織の中でマネージャーのポジションにいる人を想定しているように思います。
ですが、この本を読みながら思ったのは、本来コーチングというのは子供を育てている親や、義務教育や高等教育をに関わっている教育者の人こそが身に付けるべきスキルなんだろうなということです。
私の仕事は社会人になったばかりの大卒や高卒の人を対象に教育を行うことが多いですが、答えのない問いに対して自分で考える力や、自分以外の立場の視点に立って考える想像力が足りてない人が多いような印象を受けます。
自分自身、社会に出たばかりの頃は、思考停止していることや想像力が欠けた状態になっていることが多かったなと痛感しています。
考える力や、自分以外の視点で考える想像力というのは、子供の頃に「なぜ?」という問いと共に、自分の頭で考える機会をどれだけ与えられてきたかに依存しているように思います。
そうなると、家庭環境や学校教育において、教育者にどれだけコーチングのスキルがあったかどうかが重要になってくるでしょう。
組織の中でコーチングができる人材が求められているのは、それだけ組織の中で思考停止に陥っている人や、他者の視点で考える想像力が欠けている人が多いということなのでしょう。
コーチングをうまく活用すれば、思考停止になっていたこと、あるいは想像力が欠けていたことに気付き、自分の意思で行動を変えることが可能になります。それこそがおそらくコーチングの本質なんだと思います。
そう考えると、コーチングは組織における人材育成やチームビルディングにおいてすごく重要なことだと思います。
ですが、それと同時に思ったのは、そもそも、子供の頃から自分の頭で考える習慣が身についていたり、他人の立場で考える想像力が鍛えられてきた人たちで形成されている組織は、コーチングはそれほど求められないのかもしれないなということ。
「自分が所属する組織」という狭い枠組みの中で、チームの課題を解決するためには、マネージャークラスの人がコーチングスキルを身に付けること近道なのかもしれません。
ですが、少し視点を広げて「社会全体において多様で柔軟な組織を増やす」ためにどうすれば良いか考えてみると、組織の中の一部の人がコーチングを学ぶだけでは不十分な気がします。
「教育」という分野に関わっている全ての人間がコーチングを学び、子供たちが自分で考える力や想像力を鍛えるためのサポートをする、というところから始める必要がありそうです。
そうすることで、コーチングの専門家を必要とせずとも柔軟性のある組織が形成できたり、あるいは人とのコミュニケーションをとる時に無意識にコーチングのスキルが活用できるようになる人が増えるのではないかと思いました。
本の内容とは少し逸れてしまったかもしれませんが、感想をまとめると、
対象者が誰であろうと、教育という分野に関わる人はもれなくコーチングを学び、そのスキルを用いて全力で考える力や想像力を鍛えるサポートをする。そうすることで日本社会はより良いものになっていくのではないか。
そんなことを思いました。
コーチングに興味があるが本は読んだことが無い、という方は一度手にとってみてはいかがでしょうか。
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