身の回りにある植物の毒性
美しくて、心を癒してくれる植物ですが、
中には毒性が強めで、
注意を必要とするものもある、
というのをご存じでしょうか?
昨日、住宅周りの緑地を歩きました。
すると、今、きれいな花を咲かせている木、
そして、これから咲こうとしている
つぼみをもつ木の中にも、
意外と「有毒」とされるもの
が少なくないことに気づきます。
写真の植物は、シキミ。
これは全体に毒をもちますが、
特に果実は猛毒、とされます。
ただ、そこですぐに
「危ないから、切りましょう、
なくしましょう」と
ならないことを心から願います。
なぜかというと、
移動しないで生活する植物とは、
本来、身を守るために毒性成分を
生産する存在だから。
食用に改良された品種はおいしいけど、
外敵に対しては、総じてよわっちくて、
多量の農薬や人手を必要とします。
それは、人が食べると危険、
またはおいしくないと感じる毒性成分を
生産できないよう、
品種改良されているからです。
それを理解すると、
野生の種類で、
人から見て、完全に無毒・無害の植物が
あるのだろうか?と気づけます。
そんな状態だと、
すぐに外敵にやられてしまい、
生き延びられないからです。
野生で自力で生きていく、
というのは、人間が思っているよりも、
ずっと過酷なことなので。
そう考えると、今のように、
子どもの近くにある危険なもの(植物)を
先回りして排除しようとする行為は、
本当に子どものためになっているのか?
学ぶ機会を失った子どもたちは、
将来的に、毒性のある植物を食べて
中毒したりするリスクも考えられます。
だから、身の回りにあえて置いておき、
共存し、危険性について、
きちんと伝えていくこと。
その方が、むしろ安全、と私は考えます。
というのも、中毒事故のニュースを見て、
こう思うからです。
キョウチクトウの枝で
箸を作ってお弁当を食べる、とかは、
知っていれば、わざわざ、
しないでしょう?と。
さて、森に目を移すと。
ツツジ科の植物の多くは、
強めの毒性成分をもっています。
だから、動物が放牧されている森に行くと
有毒なツツジ類、アセビだけが、
すごく立派な株に育っているのを目にします。
動物が食わないから。
動物って偉いな、と思います。
が、それは、お母さんが、子どもに
「これは毒があるから、食っちゃダメよ」
と教えるからだそう。
なので、畜産のために、
子牛がまだ小さいときに、
母牛から離してしまうと、
教育を受けていない子牛は、
毒のあるものを食べて中毒することがある、
と教えてもらいました。
これは人為的とも言える中毒事故ですね。
話を元に戻すと、植物はほんの一例です。
何かしら危険のあるものと
共存しなくてはならないときは、
その危険性から目をそらすよりも、
むしろよく見て理解しておくことが、
身を守ることになる、と思います。
植物の魅力を楽しむためにも、
毒性についても、少しずつ知る努力を
続けたいですね。
ある農家さんが教えてくれました。
「口にして不味い!と感じる時は、
食っちゃいけない、というサインだよ」と。
あとは、ちぎってみて、
強烈な香りがするものも、
要注意のことがあります。
ただし、逆パターンで、
「にら」と間違えて
誤食されることの多い「スイセン」は、
するはずの、ネギっぽい強い香りが
ないことでわかるケースです。
こういうのを地道に
少しずつ覚えていくことが、
牛ではないですが、
安全に食を楽しむための
準備になりそうですね。