倒木、枝折れによる事故が続いている今、共有したいことを伝えるために。
ただいま、久しぶりのnote!
事情により書くのをお休みしていて、気づくと2年も経っている…
光陰矢のごとし、であせりますね。この表現自体が古くなっていて、
若い人は何それ?かもしれませんが…
さて、日野市のイチョウの死亡事故を受けて、原稿を大急ぎで書きました。ですが、こちらは技術的な見直しをもう少ししたいので、まずは予告編的な別の記事を先に書くことに。
少し前から、ふと思い立ち、堀先生が、東京農業大学を定年で退官された日の最終講義の録音を繰り返し聞いていました。時は、2018年1月末。
何度聞いても先生の立派さ、知識と経験の豊富さに圧倒されます。
その講義の内容には、危険度診断の重要性ほか、今回の枝の落下事故にも関連する大切な内容が含まれています。
なので、最終講義の多岐にわたる内容のうち、「情報発信の大切さ」
について、ここでご紹介したいと思います。
以下は、語られた言葉をほぼそのまま、です。
★引用はじめ★
樹木医の役割。単なる資格試験でなく、研修をやっている。
樹木医は社会的認知度が高い。だから、自分自身の知識レベルを高め、社会的によい仕事をする。
それと同時に、その情報をどんどん人に伝えてほしい。自分だけのものにしないで。
残念ながら、こういう事例がある。樹木医になってから、その情報を一切隠してしまった人がいる。
そういうことをやった結果、その人は相手にされなくなった。
隠した結果、古い知識のまま。だけど、知識・技術は日進月歩。
自分から発信すれば、それは違うと、いろんな情報が返ってくる。
だから、まちがった情報を出しちゃ困る、って思っちゃいけない。
まちがった情報でもいいから、自分が確信したものは、どんどん出してほしい。
そうすると、違ったら違ったで、必ず反応がある。
そうやって、自分自身が新たな知識をえることができる。
ところが隠したら、その人はそれでおしまい。それ以上の向上はない。
どんどん発信してほしい。発信することで、まわりも啓発される。
樹木医でない人たちも啓発される。
そして、そういう視点をもつことで、樹木をよくし、それが社会をよくする。環境をよくすることにつながる。
★引用おわり★
この言葉を聞き、目でも読むと、先生らしい、とても厳しい言葉。
だけど、深く納得されます。
先生は、まちがってもいいから、と言っておられるけど、
同時に、観察や経験から確信された場合は、
と言っていることを忘れないように、と思います。
私たちの暮らす環境をできるだけよい状態にすること。
そして、私たちの身の回りで暮らす木々の安全性を向上させること。
これは、今を生きる人々のためだけでなく、
未来の人にとっても必要なこと。
もっといえば、視野に入れる必要があるのは、
人だけではなく、他の生物も。
だから、樹木医だけの奮闘努力ではとうてい足りなくて、
社会の多くの人の理解と協力があってこそ、はじめて実現できます。
それを思うと、6年前の先生のこの言葉の意味が、
今さらながら、ずしりと重く感じられます。
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