樹木の苦手なこと、根っこ編 その1
このテーマも、とても大切、
と思うので、何回かに分けて
書かかせて頂こうと思います。
先日、あるベテラン樹木医さんの
文章を読ませてもらいました。
樹齢千年以上という木を
見に行ったところ、
かなりの衰退状態。
だけど、明治・大正時代の
記録写真を見ると、とても立派。
それが、昭和になってから
急激に衰退してしまった。
この木の生きてきた年数からすると、
急に不調になったこの二十年は
ごくわずかな期間。
急激に悪くなったのが不思議でならない、
人間による大きな環境変化があったのか。
それと同じ経験を
最近、私もしました。
10年前に発行された
巨木のガイドブックを見て
ある木に会いに行きました。
とても立派な木に会えるはずが…
現地に行くと、瀕死、に近い状態。
こういうとき、寿命が来た、
という人もおられますが、
私はそうは思いません。
樹木が何かイヤなことがあって
苦しんでいるのに、
それに気づけずに
寿命が尽きたから(仕方ない)
と諦めてしまったら
助けられるものも、助けられなくなる?
と思うので。
現に、この木も、
立派なときに比べると
見る影もなくて、
一般的には、ほとんど枯れかけている、
と言われそうな枝葉の量。
ですが、まだ、胴吹き枝を
懸命に出して、
生き延びようとしているのが、
見て取れます。
マツなどの針葉樹は、
こうなってから助けるのは
かなりむずかしいのですが、
この木は広葉樹なので、
近くにいて許されるものならば、
治療して、なんとか復活させたい!
と思ってしまいました。
早く取り組めば、
まだ間に合うかもしれないと。
で、そのように、
木がかなり弱ってから
回復をサポートできるかどうか?
分かれ目になるのは、
樹勢回復のために
どの工法を選ぶかが重要、
と思っています。
今日は、ポイントだけ、
書いておきます。
それも、具合が悪くなった木に対しては、
しない方がよいと考えている。
①根元まわりの土壌を掘る(耕す)、
土を入れ替える。
そうして、衰退によって
少なくなってしまった根を
切ってさらに減らすこと。
②施肥、
肥料をやること、ですね。
③灌水
樹木が具合が悪くなるとき、
土壌の水はけが悪いのが原因で
「根腐れ」(根が酸欠になって死んでしまう)
を起こしていることもあります。
不調な木を見ると、
水をやることが多いのですが、
それをすると、さらに不調になります…
このなかでも、木のまわりの土を耕さない、
掘ったり土を入れ替えたりしない、
根を切らない、
というのは、とても大切です。
なので、改めてその理由を
書きたいと思います。
今は、木は根を切られるのは苦手、
ということだけ、
知っておいて頂ければ、と思います。
特に、元気のなくなった木は
すでに根の量がかなり少なくなっています。
(だから具合が悪くて、立ち直れない)
そういう木は、苦手なことをされると
元気な木よりも、ずっとこたえます。
人間でもそうですよね?
「弱り目に祟り目」は、
だれだってツラいのです。
さっきのお話に戻りますが、
千年以上も生きてきた木は
もっと長生きする可能性があります。
それが最近になって急激に、
かなり元気がなくなってしまう。
何が原因かはわかりませんが、
人間が知らず知らずのうちに
長く生きてきた立派な木の
苦手なことを
してしまっているとしたら?
それは悲しすぎますものね。
相手の嫌なことには
気づいて避けたいです。