
くまのプーさん 〜はちみつ白書〜
A,Aミルン 著 石井桃子 訳
イギリスの詩人が幼い息子のために書いた楽しいファンタジー。クリストファー・ロビンが、クマのプーさんやコブタなど、大好きなおもちゃの動物たちとくり広げるゆかいなお話。
まえがき
1 わたしたちが、クマのプーやミツバチとお友だちになり、さて、お話ははじまります
2 プーがお客にいって、動きのとれなくなるお話
3 プーとコブタが、狩りに出て、もうすこしでモモンガーをつかまえるお話
4 イーヨーが、しっぽをなくし、プーが、しっぽを見つけるお話
5 コブタが、ゾゾに会うお話
6 イーヨーがお誕生日に、お祝いをふたつもらうお話
7 カンガとルー坊が森にやってきて、コブタがおふろにはいるお話
8 クリストファー・ロビンが、てんけん隊をひきいて、北極へいくお話
9 コブタが、ぜんぜん、水にかこまれるお話
10 クリストファー・ロビンが、プーの慰労会をひらきます そして、わたしたちは、さよならをいたします
くまのプーさん。みんな大好きなティディベア。
挿絵が多くほのぼの読めた。可愛い。
最近ずっと聴いてる「はちみつ白書」。プーさんをモチーフにしたZabadak のアルバム。
zabadakは時期によってバンドの形が違っており、これはソロ期の作品。ボーカルはMoeさん。甘い蜂蜜みたいな歌声。
一曲目の「100 AKER WOOD」は物語の始まりを感じさせる。胸が高鳴る。「CHRISTOPHER ROBIN」や「北極を探しに」、「はねっかえりのTIGGR」はプーさん達の姿が目に浮かぶポップチューン。
「COTTLESTON PIE」はおもわず顔がほころぶ。
けれど「かえりみち」「太陽は眠っている」「悲しい夢なんか見ない」は聴いていてどこか胸が苦しくなる。郷愁に駆られるような。
戻れない過去やその先の出来事は、映画「プーと大人になった僕」を連想させる。
プーさんのアニメは幼少期繰り返しみるほど好きだったけれど、この映画も好きだ。好きな映画のベスト10に入る。大人になったクリストファーロビンのお話。
しかしこの映画は2018年公開。アルバムの方がはるか前に発表されている。もしかして、原作となる様な話があるのだろうか。
そんな訳で「くまのプーさん」を読んでみた。
まず驚いたのが、クリストファー・ロビンは実在する人物だったこと。作者・ミルンと息子のロビン、お母さんでぬいぐるみ遊びをしながら考えたやりとりが、「くまのプーさん」だった。
ちなみにプーさんの名前はプーのウィニー。プーとウィニー、両方が名前。
歌声がプーさん風なこの曲。カトルストンパイ。
6番目のお話でイーヨーは自分が誕生日なのに誰も気づいてくれない、祝ってくれないと嘆く。
プーさんはイーヨーの言っている意味がよく分からず、かわりに歌を歌い出す。
それがこの曲。
Cottleston, Cottleston, Cottleston Pie,
A fly can’t bird, but a bird can fly.
Ask me a riddle and I reply:
“Cottleston, Cottleston, Cottleston Pie.”
カトルストン カトルストン カトルストンパイ
スズメは、はえないが ハエはすずめる
ぼくになぞをとかせたら ぼくは答える
カトルストン カトルストン カトルストンパイ
「Cottleston pie」はプーさんが作中で歌っていたのだ。
Zabadak の歌詞は原作そのままではないが、どちらのカトルストンパイもナンセンスで愛らしい。
ちなみに、プーさんの訳は石井桃子さんのが一般的らしいが、たしかにそう思う。ワードセンスがなんとも巧妙で声に出したくなる。"すずめははえないが、はえはすずめる"や、"トオリヌケ・キ"。
それからうさぎの家で、おやつが食べたいけれどお暇するプーさんは"ねばねばした声"。
ブーさんはカトルストン・パイを一節歌い、イーヨーが止めないのでニ節目を歌い、それでもとくに何も言われなかったので三節目まで歌う。二、三節目には魚やにわとりが出てくるのでzabadakの歌詞でこれらをオマージュしていると考えられる。
8番目のお話。クリストファー・ロビンは北極を探すと言う。てんけん隊をつくって探しにいくけれど、だれもそれが何なのか知らない。
本の中にハリエニシダは何度か登場する。わざと棘に触る…というより気づいた時にはプーさん、棘まみれ。このお話ではアザミのうえに座っちゃう。
あとがきにて、訳者の石井さんの解説があった。
プーたちぬいぐるみは実存していることや(ルーのみ紛失)、著者ミルンは「くまのプーさん」続編「プー横丁にたった家」を書いた後はプーさんの話や子供向けのお話を書かなかったこと。それは息子でありモデルのクリストファーロビンに世間の目が向けられたためだったこと。
大人になったロビンはあまりプー達の話をされたがらないこと…。そしてロビンの自伝のこと。
クリストファーロビンこと、A・Aロビンが書いた「くまのプーさんと魔法の森」(同じく石井桃子訳)。
↓この「女子SPA!」さんの
「プーと大人になった僕」とクリストファーロビンについての解説が結構分かりやすい。
おそらく「はちみつ白書」は「くまのプーさんと魔法の森」にもインスパイアされているはず。
他にも関連書籍等読んでみたい。
(…けれどいつになるか…。いつも行く図書館の外国文学の所に「魔法の森」は無かった。調べても重版や文庫化がされていない希少本みたいだし…。)