上も下も色づいて

30キロほどもずっと低い山で覆われている町
東西南北どちらへ向かっても見たことのある風景
何度も迷って目的地にたどり着けない
狐につままれたみたいとここでもつぶやく
先人たちのおかげで治水が行き届き
四方八方に水路が流れている
そこに吹く風はとてもおだやかで
川べりの毛羽立ったススキを揺らしている
この秋二度目の柿狩りで富有柿の早生
上を見上げて重なる葉たちの間
高い空を眺めながら朱色の実をとる
かと思うと早めに散った色とりどりの落ち葉を
チャリチャリシャリシャリと踏みながら
下に何か落ちてはいないかと探した
上も下も冬支度の前の
豊かなの実りをもたらしていた

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