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【こんな映画でした】504.[奥様は魔女]

2020年 1月25日 (土曜) [奥様は魔女](1942年 I MARRIED A WITCH アメリカ 77分)

 テレビ版の[奥様は魔女]を子どもの頃観ていた。そのつもりでこの映画を観たら、とんでもない。まったく違うものだった。いつまで経ってもかつてテレビで観たようなシーンが出てこないな、と。そして最後まで。一つだけ共通していたと思われるのは、「奥様」がマッチではなく、魔法で暖炉の火をつけるところ。(テレビ版は1964~1972年とのこと。)

 それはともかく全体として、なぜルネ・クレール監督がこのような作品を作ったのかと考えてみると、結構意義深いものがあるようだ。

 そもそも論でいくと、魔女とか魔法使いという発想自体、私にはなじまない。どころか、そのような考え方は否定されるべきものと思う。中世以来の歴史を見れば明らかだろう。どれだけの人が、魔女だとされて殺されてきたか。

 この映画もそうで、訴えによって父と娘が殺されることに。もっとも彼らは本当の魔法使いであり、魔女であるという設定なのだが。とまれ樫の木の下に封印されて長い時間が経つ。訴えたウーリー一族への呪いをかけたまま。20世紀になり、偶然に封印が解かれたことから、この親子が動き出す。で最終的にいろいろあり、この魔女がウーリーに恋して、その奥様になるというハッピーエンド(?)に料理してある。

 ルネ・クレール監督は、本当は魔法使いも魔女もいないのだよ、と私たちに暗にほのめかしているのだろう。そんなものを作りあげた人間の愚かさを揶揄し、魔法使いとされた人たちも本当は普通の人間であり、平等であり人権もある人たちなのだと、私たちに知らしめているのだろう。

 とまれ深刻な人権問題である魔女のことを、コメディタッチで描いている。見事と言うべきか。

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