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悲しい場所だけど、行く意味はある(ドイツ旅行)
ドイツ旅行
1990年代に2度目のベルリン訪問をした際、ユダヤ人強制収容所の跡地を訪れました。
当時の恋人が行きたがっていたため、あまり気乗りしなかったものの、同行することにしました。訪れたのはおそらくサッヘンハウゼン強制収容所だったと思いますが、正確な名前は覚えていません。
もしもサッヘンハウゼンだとしたら、1936年にナチスによって設立された収容所です。そこには、かつて行われた残虐行為の記録が展示されており、資料を読み、あまりの辛さに心が押しつぶされそうになり、そのときの記憶は断片的にしか残っていません。
収容所に連れていかれたのは、もちろんユダヤ人だけではありません。
今の夫の祖先はオランダ人です。
ナチスがオランダを通過したとき、村の青年たちがドイツの収容所へ連行されてしまうという事件が起きました。ナチスに抵抗した者がいたため、その報復として全員が捕らえられたのです。
戦争が終わると、収容所にいた青年たちは解放され、徒歩でドイツからアムステルダムまで戻ることを余儀なくされました、という話は、夫も父親から聞いて知っていたこと。
収容所に連れていかれたオランダ人青年たちが全員が生きて戻れたわけではなく、その町には彼らの名前の刻まれた記念碑があります。
今年の5月、私たちはアムステルダム郊外にあるその村を訪れ、夫の血縁者たちと初めて対面して、そうした場所を案内してもらいました。
夫にとっては悲しくなるような場所でもありますが、血縁者たちとの食事や会話がとても楽しくて、温かさに救われたとても大切な時間でした。
原子爆のレプリカ
今回のベルリン滞在中、夫の長女が「地下トンネルツアーがあって、参加したら興味深い歴史を学べるけど、行く?」と提案してきました。そのとき、正直なところ私は行きたくないと思いました。
夫が興味を示していたので参加することにしましたが、ツアーは冷戦時代の核シェルターや地下鉄施設を巡る内容でした。(他にもいろんなツアーがあるようです)
核攻撃に備えて建設された地下の核シェルター内部を歩いて回るうち、うす暗い部屋に吊るされていたミサイルの説明を聞いて大ショック。
それは、1945年8月に広島に投下された原子爆弾「リトルボーイ(Little Boy)」の実物大レプリカだったのです。
驚くほど小さなミサイルでした。
怖いくらいに殺風景な地下室で、日本を襲った原子爆弾のレプリカの下に立っているなんて。。。
胸が締め付けられ、走って逃げ出したくなりました。
ツアー参加者は約20名ほどの外国人でしたが、ガイドが核ミサイルに関する質問をすると、皆が広島と長崎の原子爆弾やその被害について詳しく知っていることが分かりました。そのことが、少し救いになりました。
ポツダム会談
私が一番最初にベルリンを訪れたのは、何度も書いてしまいますが1987年、つまりまだドイツが東西に分かれていて、ベルリンの壁があったころです。
東ベルリンに滞在していた私は、ポツダムに連れて行ってもらったことがあります。ベルリン郊外のポツダムにあるツェツィーリエンホーフ宮殿です。
1945年に、ポツダム会談が開かれた場所。
日本人なら必ず歴史で習ったはずのポツダム会談。
部屋に入ってテーブルを見たときに、寒気が走りました。
当時の会談の出席者は、アメリカのハリー・トルーマン大統領、イギリスのウィンストン・チャーチル首相(のちにクレメント・アトリー)、ソ連のヨシフ・スターリン書記長で、その会談の最中に、アメリカ、イギリス、中国が連名で**「ポツダム宣言」**を発表したのです。
日本に対して無条件降伏を求めるもので、**「迅速かつ完全な破壊」**を警告する内容が含まれていました。
日本がこの宣言を無視し続けたことが、広島と長崎への原子爆弾投下へとつながります。(というのが世の中の認識)
ポツダム会談中にアメリカは原爆の初の実験成功(1945年7月16日、トリニティ実験)を確認。トルーマン大統領は会談の最中に原爆投下の最終的な使用決定を行いました。
広島: 1945年8月6日、原子爆弾「リトルボーイ」投下
長崎: 1945年8月9日、原子爆弾「ファットマン」投下
この結果、日本は1945年8月15日に降伏を表明し、第二次世界大戦が終結しました。
ドイツを旅行すると、戦争の爪痕を見る機会も多いのです。過去の記憶に触れ、歴史に学び、未来に希望をつなげる時間でもありますね。
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