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移動する人はうまくいく×親元を離れて音大に進学した話❶

 自分の感覚を取り戻すためにも、センサーを強制的に再起動せざるを得ない環境に身を置くしかない。そのときに有効なのが、行ったことのない所に行くこと。全く違う環境に行くこと。

 「移動する」を主眼に置いた本ではあるのだけれど、その「移動」がもたらすものとは根本的には何なのか、というと、”常に自分を未知の環境に置くこと”だということを言っているんだと思う。
 そこで、そういえば大学時代って、私にとって未知の環境だったなぁと思いを馳せてみる。

 小学生のときに「もっと勉強がしたい」と思って中学受験をした。県内でもわりと偏差値が高い方の中高一貫校に入ることができて、入学後も、国立選抜クラスに入れるくらいには、勉強することが大好きだった。
 高校生になってぼんやりと進学先を考えていたときは、なんとなくまぁ歴史が好きだし、家の近くに国立大もあるし、偏差値的にも問題なさそうだし、そこで勉強ができればいいかぁ、くらいの思考回路でしかなかった。

 ところが、高2の秋、突然気持ちが変わってしまった。
 当時お付き合いしていた人が、教育大を志望していて、その大学のパンフレットを見せてもらったとき、「音楽コース」の文字を見つけたのが事の始まりだった。

 最初は、歴史を教える学校の先生になるのも良いなぁくらいの気持ちでそのパンフレットを眺めていたのだけど、吹奏楽部に所属して打楽器に打ち込む日々でもあったので、音楽が大学の学びの選択肢になりえるということを初めて身近に感じて、気持ちが揺らいでしまった。
 しかも、某音大の打楽器専攻を卒業された先生が赴任されて2年目という頃だったので、その先生の演奏する姿はとても刺激的で、当時の私は音楽の世界に、打楽器の世界に魅了されていたところだった。

 追求できるなら、プロフェッショナルの域を目指してみたい。

 たったこの一心で、音大への進学を決めてしまった。

 (❷につづく)


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