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安楽死について考えさせられる映画「世界一キライなあなたに」
WOWOWさんのおもしろい企画があったので、自分にとって忘れられない映画となった「世界一キライなあなたに」について書いていきます。
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【あらすじ】
イギリスの田舎町に暮らす26歳のルー。おしゃれをすることが大好きな彼女だったが、自分の夢へのチャレンジを躊躇してしまい、仕事を転々としながら毎日を過ごしていた。そんな中、彼女はあるきっかけで富豪の世話係という半年限定の仕事を始める。交通事故により車椅子で生活するその男性は、生きる意欲を失い心を閉ざしていた。
わたしはこの映画を見た時に衝撃的でした。なぜなら自分もルーと同じような経験をしたことがあったから。嘘のような本当の話です。
大学生の時にタイで出会った日本人男性に恋をしました。
その人は不思議な雰囲気で他のバックパッカーや旅行者とは違い、キラキラした明るさもなく、かといってコミュニケーションスキルは高く、一緒に話していておもしろかったのを覚えています。
タイで出会い、一緒にラオスに行きました。
ただダラダラして1週間か2週間くらい滞在していました。
出会ってから急に一緒にいる時間が増えたため、わたしたちは驚くほど仲がよくなっていました。どうしてこれまで出会わなかったのか不思議なくらい、お互いに違う性格なのに親友のように毎日たくさん話をして過ごしました。
そんな彼がある日、わたしになにかを伝えようとして迷ってはやめ、迷ってはやめ、、を繰り返していました。
そしてぽつりぽつりと話してくれたのは、ずっと死にたい人生だったと。
当時彼は30歳くらいで海外で色々な経験をしてきた人でした。
なに不自由ないように見えて実はずっとしんどかったと。
躁鬱病だからハイのときはいいけど、下がった時がしんどいと。
死にたいけれど死ぬ元気すらないのだと。
わたしはかける言葉もなく、泣きながら話を聞いていました。
そして、彼は言いました。
「スイスにディグニタスっていう安楽死できる施設があるの知ってる?
そこに行きたくて。」
今思えばディグニタスは精神病は対象外のため、知ったばかりだったのかもしれません。それでも20歳のわたしには衝撃的な話でした。
「どうして今それを言うの?」と聞いたら
わたしといてとても楽しかったから、今の最高な状態で死にたい、と彼は答えました。
もちろんただの大学生の自分が誰かを救うなんてできません。
苦しみはわからないから、自殺を薦めることもできないし、止める権利もありません。何の責任もとることができないからです。
そこからわたしは安楽死や人の生きる意味について考えました。
ない頭でずーっと考えてました。
そんなときに出会った映画が「世界一キライなあなたに」でした。
映画の内容は知らずに鑑賞したため、心の底から驚きました。
人にはここぞというタイミングで訪れる出会いがあるのだと感動すらしました。わたしはこの映画を何度もみました。
そして、毎回感情がぐちゃぐちゃになり後味が悪いのです。
ウィルとルー、どちらの立場で映画を見るかによってみた後の感情が変わります。
もちろんわたしは先ほど書いたような経験をしているからかルーの立場でしか見れません。
映画はハッピーエンド風でしたね。
ルーが自分の人生の一歩を踏み出すところで映画が終わります。
ですが、その先にある苦悩や迷いや後悔を想像せずにはいられませんでした。もしもわたしがルーだったらウィルのことをむちゃくちゃ恨みます。
どうしてわたしと恋愛なんかしたんだよと怒り、苦しみ、そして感情を風化させていったでしょう。
とても複雑で繊細な映画でした。
この映画を見るたびに彼を思い出し、「一生会うことはないけれどどこかで生きてくれていたらいいな」と思います。