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【2025年大学入試数学】 東京大学理系数学を解いてみた
受験に向けての勉強お疲れ様です.大学入試数学を個人的に研究しているきりんです.今年も東京大学(理系)の数学を解いてみたのでその感想を述べていこうと思います.なお,自分の感じた難易度をつけています.難易度の基準は以下の通りです.
【難易度】
(簡単) A ← → E (難しい)
で表していきます.目安としては
Aレベル:正答率80~100%
Bレベル:正答率60~80%
Cレベル:正答率40~60%
Dレベル:正答率10~40%
Eレベル:正答率0~10%(捨て問)
問題
問題文は以下の通りです.
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概観
今年の東大理系数学も大問6題構成となっていました.今年も去年同様に微積分や図形に関する問題が多く,東大らしい内容の問題でした.少し前は頻出であった複素数平面の問題も今年4年ぶりに復活しました.
穏やかだった去年と比べて,今年はかなり難化したと思います.典型パターンの問題が1題もない上,第2問,第4問,第5問と発想力重視の問題が多く,受験生の正答率はかなり低そうな問題が並んでいる印象です.去年や一昨年の第6問のような難問がなかったことが不幸中の幸いです.
それでは1問ずつ見ていきましょう.
大問別分析
第1問 (難易度:Bレベル)
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東大理系の第1問は例年,計算力を問うような問題(微積,座標平面など)がよく出題されます.今年も座標平面と微積分の問題で,微積分の基本的な計算(+α)を問うような問題でした.難易度は,最後まで解き切るとなるとBレベルですが,ここは最低でも7〜8割は確保したいです.
(1)は内分の公式を3回使うだけです.計算ミスに気をつけて正解しましょう.
(2)はパラメータ$${t}$$で表された曲線の囲む面積を求める問題で,難関大では超典型題なので絶対に落とせません!$${x}$$座標が$${t}$$の増加関数なので,簡単に積分できるかと思います.
(3)は曲線の長さを求める問題です.曲線の長さはなかなか聞かれないので少し驚きました(直近だと2011年の第3問です).曲線の長さの求め方はさすがに大丈夫だとは思いますが,問題は根号の中に4次式が入っているということです.ここが少し躓くポイントだと思います.問題文に実はヒントが隠されていて,「$${a}$$の多項式の形で求めよ」とあることから,この根号はおそらく外せるのだろうと推測できます.$${t^4}$$の係数が4で,定数項が1なので,根号の中の式は$${(2t^2+at\pm 1)^2}$$のように因数分解できそうです.
以下,解答です.
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第2問 (難易度:Dレベル)
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第2問は,積分と極限の問題でした.予備校が東大模試で出しそうな問題ですね.極限を求めるということで,ハサミウチの原理を用いるのは明白ですが,不等式評価をするのに発想力をかなり要します.この類の問題に慣れていないと完答は厳しいでしょう.難易度はDレベルです.(1)だけはしっかり確保しましょう.
(1)は不等式の証明です.もちろん両辺の差をとって微分します.流石に確保したいところです.
(2)の極限を求めるためには,与えられた極限を上下から不等式で挟まなくてはなりません.上から挟む方は(1)の式をそのまま使うだけなので,大丈夫でしょう(その先の積分及び極限計算がやや難しいですが).問題は下からの評価です.対数の中身が1と$${x^{\frac{1}{n}}}$$の相加平均になっているので,相加・相乗平均の関係を用いて評価するのが最も良いでしょう.
以下,解答です.
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第3問 (難易度:Bレベル)
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第3問は三角関数を図形に応用する問題でした.この問題は図をきちんと描くことができればそこまで難しくありません.計算量が多いですが(第3問なので仕方がないです…),計算ミスに細心の注意を払って計算していきましょう.難易度はBレベルです.
(1)は図を描いて,いろいろな角度をを調べていくと自然と求まるような問題です.ここは確実に確保したいです.
(2)は三角関数の最大値を求める問題で,加法定理や三角関数の合成を用いれば,三角関数の項を1項のみにまとめることができます.その後の場合分けが少し厄介かもしれませんが,この問題もできれば落としたくありません.
以下,解答です.
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第4問 (難易度:Dレベル)
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第4問は整数問題でした.共通テストからは姿を消すこととなりましたが,東大数学にはまだまだ健在です.東大の整数問題は難問であることが多いですが,やはり今年の整数問題も難問でした.入試問題というよりは,数学オリンピックにありそうな問題でした.整数のこういった問題に解き慣れている人にとっては解きやすいですが,実際の受験生の多くは難しく感じたと思います.難易度はDレベルです.
(1)は対偶をとってあげれば,証明しやすそうな命題になります.2次式が平方数でないことの証明はよくある問題で,2つの隣接する平方数で挟むということをしてあげます.
(2)は難問ですが,かなり一本道の問題です.$${f_a(n)}$$が平方数となるときのことを議論するので,$${f_a(n)=m^2}$$とおくのは誰でもできるでしょう.その後,(ii)の条件の$${4a+1}$$の形を作ってあげると,見事に因数分解できます.そこから(i)と(ii)の同値性を証明していきますが,この道のりもまあまあ険しいものになっています.
以下,解答です.
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第5問 (難易度:Eレベル)
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第5問は場合の数(?)の問題でしたが,あまり見ない感じの問題で,試験会場で解けた人はあまりいないでしょう.この問題は今年ではナンバーワンの難しさだと思います.これも数学オリンピックっぽい問題ですね(今年は数学オリンピック経験者の教授が作問しているのでしょうか?).難易度はEレベルです.
(1)の論証問題も少し考える問題です.数式を使わず日本語で説明するタイプの論証なので,解けた人もかなり時間を要したと思います.
(2)は漸化式の考え方を最大限利用します.しかし,いつものように$${n}$$から$${n+1}$$の場合を考えるのではなく,$${n}$$の状態から$${n-1}$$や$${n-2}$$の状態に持っていくということをしていきます.とはいえ,類題がなかなか無いような問題なので解けなくても仕方ないかと思います.
以下,解答です.
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第6問 (難易度:Dレベル)
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最後は複素数平面の問題でした.2021年以前は頻出の分野でしたが,それ以降複素数平面の問題が出題されてきませんでした.久しぶりの出題です.第6問ということもありややボリュームがありますが,例年の第6問と比べるとまだ手が出せそうなレベルです.とはいっても(1)と(2)の途中まではなんとか得点したいところです.難易度はDレベルです.
(1)は曲線$${C}$$上の点をどう表現するかが鍵となります.ここでは,極形式を用いるのが良いでしょう.$${z=r(\cos\theta+i\sin\theta)}$$とおくと,$${r}$$を$${\theta}$$で表すことができ,実部が1であることも簡単に示せます.
(2)は(1)で用いた極形式をそのまま使うと,$${\tan}$$だけで表すことができます.この$${\theta}$$の存在条件に持っていくことができれば,とりうる範囲を図示することができます.
(3)はやや難しいです.最終的には2変数関数の最大・最小の話になってきます.1文字を固定して,落ち着いて処理しましょう.
以下,解答です.
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まとめ
今年の東大理系数学の難易度をまとめると,以下のようになります.
第1問 B 〔(1):A (2):A (3):B〕
第2問 D 〔(1):A (2):D〕
第3問 B 〔(1):A (2):B〕
第4問 D 〔(1):C (2):D〕
第5問 E 〔(1):C (2):E〕
第6問 D 〔(1):B (2):C (3):D〕
今年は手強い問題が多く,平均点は低くなりそうです.今年の数学は第1問と第3問が合格への鍵となっていると思います.そのほかにも第2問(1)や第6問(1)など,確実に正解できるところでどれだけ点数を稼げるかが重要になってくると思います.ここ数年かなり難易度の高い試験が続いている東大数学ですが,今後もこの難易度が続くと予想されます.取れるところで確実に取るためにも,苦手分野をなくさない勉強が大事になってくるのかもしれません.
ここまで読んでくださりありがとうございました.