見出し画像

拝啓、ガシャキンGT様

私の姉はある時期を境に、やけに電車の種類に詳しくなった。聞いてもいないのに各地域の新幹線の名前を唱え、四季島のような特殊な車両のことを私に話すようになった。何事かと思ったが、当時未就学児童であった甥が鉄道にハマったせいであった。
甥はその後もすくすくと成長し、今は小学校中学年ながら既にNゲージの魅力に憑りつかれつつある。

好みの違いや程度の差はあれ、親は子供の好きになったものの知識を蓄える。飽きることを知らない子供は、気にいったものが出てくる動画、本、歌をエンドレスリピートするからだ。嫌が応にも知識が身についていく。
我が家の場合は「はたらく自動車」だった。

特に救急車がお気に入りのようで、youtubeで「ゴーゴー!のりものタウン」というチャンネルが救急車を特集している回を延々と見続けている。
おかげで世の中には、消防と救急の機能を持つ消救車があること、車体の幅が広がって有事の際には病院の代わりになるスーパーアンビュランスが存在すること、災害時に日本全国どこへでも駆け付けられるように特殊車両レッドサラマンダーは大体日本の真ん中になる愛知県岡崎市に置かれていることなどを知った。

「ゴーゴー!のりものタウン」はガシャキンGTとラッピー君の2人が進行するCSの番組である。youtubeには公式で昔の放送回が上げられている。
ガシャキンGTは一見、ぴちぴちの白いスーツを着たあばれる君のように見えるが、よくよく見るとあばれる君ではないことに気づく。スーツがぴちぴちなのは見間違いではない。
ラッピー君は日本語を操る黄色いかわいらしい動物だが、種族は何かわからない。妻は「礼儀正しいから好き」と言っていた。確かに動物の割に、はたらく車を紹介する人々への敬意を忘れない姿勢は目を見張るものがある。

2人は息子の機嫌がどれほど悪くても笑顔にしてくれる点において、我が家の救世主と呼んでも過言ではない。

しかし我が家はCSが映らないので、youtubeで過去の放送を見るしかなかった。それが今日何気なく地元のケーブルテレビを点けたら最新のゴーゴーのりものタウンが放映されていた。あまりの驚きに変な声が出た。これは物まね番組で本人が登場した時に近い驚きだった。

最新のガシャキンGTはいつもの白いぴっちりしたスーツではなく、徳川家康の甲冑のような金色のスーツを身に纏って華麗に歌って踊っていた。これはどういう変化かと思って調べたところ、金色は踊りやすいガシャキンダンスモードというらしい。youtubeではダンスモードになっていなかったのでガシャキンの新たな一面を見た気がしたし、思いのほかダンスにはキレがあった。
ラッピー君は平面的になった、というか有体に言って着ぐるみがイラストになっていた。礼儀正しさは相変わらずだった。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集