きりん

岐阜県生まれ、大学は東京、就職は愛知。赴任でジャカルタに行き、今は再び愛知。 メーカーの経営管理部門で中間管理職をやってます。

きりん

岐阜県生まれ、大学は東京、就職は愛知。赴任でジャカルタに行き、今は再び愛知。 メーカーの経営管理部門で中間管理職をやってます。

マガジン

  • 岐阜考察

    私なりに郷里の岐阜県について考察しています。 基本的に郷土愛等はないので、フラットな視点で岐阜県を論じていると思います。1億2千300万人の岐阜県民以外の人には楽しんでほしいし、残りの200万人の岐阜県民は怒らないでほしいです。

最近の記事

  • 固定された記事

マヨネーズをつけられるということ

飽食の時代私が幼い頃は、まだ戦中・戦後世代の方がご健在で、よく「今は飽食の時代だ」と言われた。その真っ只中に生きる私には、その意味がよくわからなかったが、今はよくわかる。飽食とは、マヨネーズへの感謝を忘れることである。 インド出張ある年の春、私は仕事の都合でインドにいた。 空港から外に出て辺りを見回したとき、飛行機の中で観た『Mad Max 怒りのデスロード』とほぼ同じ世界観が広がっていたので大変驚いた覚えがある。町の建物は経年劣化では説明できないような荒廃ぶりを見せてい

    • 拝啓、ガシャキンGT様

      私の姉はある時期を境に、やけに電車の種類に詳しくなった。聞いてもいないのに各地域の新幹線の名前を唱え、四季島のような特殊な車両のことを私に話すようになった。何事かと思ったが、当時未就学児童であった甥が鉄道にハマったせいであった。 甥はその後もすくすくと成長し、今は小学校中学年ながら既にNゲージの魅力に憑りつかれつつある。 好みの違いや程度の差はあれ、親は子供の好きになったものの知識を蓄える。飽きることを知らない子供は、気にいったものが出てくる動画、本、歌をエンドレスリピート

      • 朝は燃えているか

        BUMP OF CHICKENの歌に、「真っ赤な空を見ただろうか」というものがある。私はずっと、「真っ赤な夕日を見ただろうか」と覚えていた。 Googleで検索をかけると、予測に「真っ赤な夕日を見ただろうか」が出てくるので、同じような勘違いをしている人が一定数いるのだろう。一方で空を朝日に置き換えても予測には出てこない。 なぜ真っ赤な空と言われて無意識に夕焼けを連想したのか。いろいろ考えた結果、そもそも真っ赤な朝焼けを見たことがないのでは?という可能性に行きついた。 ま

        • 経営管理とCO2

          少し前から、会社で自分の業務評価にSDGS評価というものが導入された。SDGSの17目標のどれかに照らして、自分の業務を評価する、というものだ。経営管理部門にいる自分としては、いまいち自分の業務に当てはまるものが見当たらず、いつも「働きがいも経済成長も」にかこつけて、「適正な開示情報の提供による会社成長貢献」と書いてきた。 私のような経営管理端の人間の仕事は、財務データから指標を作り、経営の指針を出すことである。こういった数字は嘘をつかない点で人を動かす強い力を持つ。一方、

        • 固定された記事

        マヨネーズをつけられるということ

        マガジン

        • 岐阜考察
          10本

        記事

          親知らずの序破急

          先日、親知らずを抜いた。事の発端は数年前に遡る。当時、私は駐在でインドネシアにいた。一時帰国した際に歯医者に行ったところ、左下の親知らずがひどい虫歯のため抜かないといけないと言われた。 その後色々あって、帰国してその親知らずを抜いたのが今から半年前。生え方が悪く、1時間くらいかけて抜くことになった。それから半年間こまごまと歯の治療を続け、やっと全部終わったかと思ったところで医師に告げられた。「最後に右下の親知らずを抜きますね」 まだ一本残っていたのか。私は驚いた。確かに治

          親知らずの序破急

          酒と文字と信仰と祈りと

          先日、夏盛りの8月最初の土曜日に友人の結婚式に出た。40℃近い気温の中でシャツに襟を通してネクタイを締め、上着を羽織ったとき、祝いの場の正装とはいえこれが果たして本当にTime Place Occasionに適した装いなのか、死の谷を渡るのは下手したら今日ではないのかと戸惑いがあった。 昭和のサラリーマンはかつて、この格好で炎天下でも一日を過ごしていたという。当時と今で温暖化が進行していることを差し引いても、尊敬の念は禁じ得ない。 私の友人は書家であり、語学研究者であり、酒

          酒と文字と信仰と祈りと

          ダイエット

          私には悩みがある。痩せないことだ。 今年の春にインドネシアから日本に戻り早3ヶ月。体重に変化が見られない。何なら少し増えた。 私はこの3ヶ月、走ったり泳いだりといった一切のダイエット的行為を行ってこなかったので、これは当然の帰結と捉えることもできる。しかし、一つだけ声を大にして言いたいのは、昔はこれで痩せたのである。以前なら何もしないだけで体内のカロリーが空気中に放出されるが如く、身体は軽くなった。それが今や、何もしないことは何も起こらないことを意味するように変わってしまった

          ダイエット

          ラジオ体操とヨガ

          私の勤める会社では朝、ラジオ体操が流れる。ただしタンタラーン、タンタラーン、タラララ…という聞き慣れた音楽の次に流れてくる動きの指示は全て英語だ。 インドネシア人向けの配慮で英語版を流しているのだが、その実私の会社で働く工員のインドネシア人はほとんど英語が通じない。そのため配属までの研修にラジオ体を覚えることが織り込まれている。 一方我々日本人も、速いテンポに合わせて詰め込んだ英語の指示を理解して、都度従いながら身体を動かせるわけもなく、昔から覚えている一連の動きを再現し

          ラジオ体操とヨガ

          有限と有効

          恐らく数年ぶりにmixiにログインし、当時読んでいた本や映画の感想を書いたレビューを読んでいた。その中に1つ、全く読んだ覚えのない本が1冊あった。 レビューを書いていたのが2012年なので、読んだのは今から9年前ということになる。幾度かの引っ越しの中で棄ててしまったのか、本は残っていない。9年も前なら覚えていないのも仕方のないことかもしれないが、全く記憶にないという事実が自分の中で衝撃的であった。この年になると、全てを覚えておくことはできない。下手をすると覚えていることより

          有限と有効

          中島らも『永遠も半ばを過ぎて』

          私は昨年一年間、ゴルフにはまっていた。ゴルフはとても不思議なスポーツである。十分に素振りをして、得心したところでボールに向かい、練習と同じようにスイングしてもクラブのヘッドがボールにうまく当たらないのである。これが野球ならば、ピッチャーの投げたボールにバットが当たらないのは理解ができる。動くボール、まして相手が意図を持って当てられないように投げたボールに正確にヒットさせることは誰が考えても難しい。 しかしゴルフはそうではない。ボールは動かず、常にそこにある。悪いのは当てるこ

          中島らも『永遠も半ばを過ぎて』

          水と空気

          隔離ホテルの暮らし海外在留邦人向けのワクチン接種プログラムを受けるため、先日から一時帰国している。現在、キルギスとインドネシアからの入国者は政府指定の隔離ホテルで10日間滞在することが義務付けられており、6畳くらいの部屋で一歩も外に出られない状態で過ごしている。とはいえ、大きな窓が付いていて外の景色を楽しむことができるので、それほど閉塞感はない。別々の部屋で過ごす妻からは昨日、よく晴れた晴天と飛行機の写真が送られてきた。食事はお弁当が決まった時間に3回配られ、水は頼めばいくら

          水と空気

          海と内陸

          以下は、内陸県の地位向上に尽くしたある男が、群衆で埋め尽くされた葛西臨海公園で語った演説の一文である。 私には夢がある。いつの日か、南紀の白浜の上で、内陸県の子供と海あり県の子供が同じビーチパラソルの下で一緒に座ることができるようになるという夢だ I have a dream that one day on the white beach of Nanki the sons of Inland prefecture and the sons of seaside prefe

          海と内陸

          デス・ゾーンと神々の山嶺

          栗城史多という登山家がいた。冒険の共有と5大陸最高峰単独無酸素登頂を掲げ、精力的に自分の活動をアピールし、自身の登山の様子をネット配信する等して一時期注目を集めた。一般的な登山家のイメージ、つまりは寡黙で、世間とは隔絶した自分の世界を持ち、ただひたすら山と己の限界と向き合うという求道者然としたものとは一線を画す人物であった。 私が彼の存在を知ったのはおよそ10年ほど前、恐らく彼の絶頂期の頃であった。その当時の彼は、稀代の若手登山家としてもてはやされ、TVで幾度か目にする機会

          デス・ゾーンと神々の山嶺

          付加価値の回転

          先日ある経営者のコラムに、会社の業績を上げるには、究極的には ①付加価値の高い製品を売る ②安く作れる仕組みを作る の2つしか方法はなく、多くの経営者は②に集中する。なぜならそちらの方が簡単だから、という話があった。 なるほどと思った。私はメーカで原価管理をやっているが、思い当たる節が多い。 話の前段階として私のいる業界の特徴をまとめる。まず、エンドユーザーに商品を提供するメーカが存在し、そこからピラミッド型に部品サプライチェーンが形成されている。主に1次サプライヤ

          付加価値の回転

          肋骨とスニーカ

          先日、Youtubeでスニーカの紹介動画を観て購入を決意した。素足にサンダルが基本のこの生活において本来靴は不要だが、有り余る購買意欲を抑えることができなかった。 まだ雨季が続いているし、雨の日に足が濡れないように靴を買ってもいいかもしれない。南国の雨はサンダルだろうが靴だろうが容赦なく足を水浸しにすることは百も承知の上で、私はそのように自信を納得させ、早速スニーカを購入した。無論、せっかくの新品のスニーカをわざわざ雨の中履こうという意思は購入後に毛ほども湧かなかった。我な

          肋骨とスニーカ

          ボロは着てても心は錦

          日曜日にゴルフに行った。ゴルフとは早朝の高原をジョギングし、そのインターバルにクラブでボールを打つスポーツである。上達するほどボールを打つ回数が減り、コストパフォーマンスが悪くなるという珍しい特性を持つ。 日本ではジャケットを羽織り、革靴を履いて紳士的な振る舞いでクラブハウスに入ることを求められるが、インドネシアでは入場時服装自由である。恐らく何かしらの不文律は存在するはずだが、現地インドネシア人を含めて誰もそれを守っていない。 また、日本では午前中一杯かけて前半9ホール

          ボロは着てても心は錦