『ゴーストバスターズ/アフターライフ』にガキンチョ映画の粋を見る
80年代にヒットした大人気シリーズの続編。とはいえ予備知識なしで鑑賞したので、出だしから「主人公一家のお祖父ちゃんって、3人の元祖ゴーストバスターのうちの誰なんだろう?」とワクワクした。でも、妹の身に着けたあるアイテムで気づくべきでしたね。
ちなみにあのマッケナ・グレイスって子は『アイ、トーニャ』の子役らしい。女は(大人ならずとも)髪型で変わる・・・。
勉強(特に理系)の好きな子がクラスで浮いてしまうのは、日米を問わない現象らしい。主人公一家のお母さんは、そんな娘フィービーを心配して「Don't be yourself(自分らしくしないで)」なんて身も蓋もない言葉で学校に送り出す。
最初はそれが「誰もが自分らしくしていていいのだ」という皮相なはやり言葉のアンチテーゼとして効いているように聞こえたのだけれど、物語が進むに連れて、いやいや、やっぱりこれは「Be yourself」の物語だぞと思い直した。
他人からどう見られるかなんて気にせずに、いや、少し気にしながらも、自分の関心や熱意を追求していくフィービーは素敵だったもの。
祖父がゴーストバスターであることを隠していた母親に、「私が科学者の血を引いていることをどうして教えてくれなかったのか」と詰め寄るシーンにはぐっと来た。そうなると、あのダサい髪型をした冴えない女の子がどんどんキレイに見えてくるのだから、不思議なものです。
さて、こういう「ちっとも役に立たない大人たちを尻目に、子どもたちが大活躍するお話」って個人的に大好き。
兄貴がエクト1を駆ってゴーストを猛追し、妹が「銃座」ごと車外に飛び出し、その友だちがゴースト・トラップを搭載したラジコンカーを疾走させる中盤の見せ場なんて、もうサイコーでしょ。
エンディングでも、オリジナル作の筋立てに回帰しておきながら、せっかく召還した御大たちには何の仕事もさせていないしね(笑)。
ところで、いわば妾腹である2016年の女性版『ゴーストバスターズ』ができなかったこと、すなわちハロルド・ライミスへの告別の儀を、“本宅の子”であるジェイソン・ライトマン監督はやっている。
2014年に亡くなったライミスの「出演」すら可能にするVFX技術の進歩には驚くばかりだ。ただしライトマンは、自らも親しかったライミスに、生者と死者の境界を越えさせるようなことは決してしないのですね。合掌。
ゴーストバスターズ/アフターライフ
GHOSTBUSTERS: AFTERLIFE
(2020年、米、字幕:アンゼたかし)
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