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月刊『公明』25年2月号で、デジタル立憲主義と個人情報保護法、公職選挙法などプラットフォーム事業者へのあり方について寄稿しました
公明党機関紙の月刊『公明』に、デジタル立憲主義的な見地から個人情報保護法などについてのプラットフォーム事業者へのあり方について論じた小論が掲載になりました。
https://komeiss.jp/products/list.php?category_id=15
関係先から「読みましたよ」と半笑いでご反響を戴きつつ、ややもすれば『米欧系プラットフォーム事業者の横暴』と言われがちな現状でのプラットフォーム規制議論が過熱しすぎないよう警鐘を鳴らしたかった意味は読み解いていただいているようで何よりです。
本論では特に、目下やるやらで問題になっていた個人情報保護法の今通常国会での改正論議にまつわる話で、特に本人同意原則や表現規制についてもクローズアップしています。私個人としては、先般3回に渡ってTwitter(X)の個人アカウントを凍結されたままになっており、適正適法な手段を通じてもアカウントが回復せず裁判にまでなっている当事者ではあるのですが、それは個人のことなので措くとして、あるべきプラットフォーム事業者のあり方と各種法制について論じたつもりです。
個人情報保護法に関しては弊所情報法制研究所の高木浩光師匠がそこら中で暴れてご意見を頂戴していますが私は保護者ではありません。ただ、高木師匠の指し示している方向が正しいとしたうえで個情法および周辺法の整理も行っていく雰囲気にはなっているので、正しいものは誰がどのような論じ方をしても正しいという気持ちで向き合ってまいりたいと考えております。
個人情報保護委員会から『個人情報保護法の制度的課題に対する考え方(案)について』が出て、無難にまとめるならば確かにこんな方向性なのではないかとも思います。まあ、本人同意原則と言いながらも、ほとんど機能しておりませんので実効性ある方法で取りまとめるならこうなるしかないでしょうな。
https://www.ppc.go.jp/files/pdf/250205_shiryou-1.pdf
まずは一年熟議で来年の通常国会で具体的なところを詰めていって、良い形で個情法改正を迎えて欲しいという気持ちでいっぱいです。なお、個人的には課徴金制度の導入には賛成で、また、いまの個人情報の漏洩事案が主体の運用体制はもっとデータ収集の関連性に焦点を当てていくべきだと思っております。
例えば、大阪万博では入場者に対して割と広範な個人情報の提供を求めているわけですが、これについても大阪万博が来場客の利便性とは無関係と見られるデータも収集し分析することは現行個情法でも適法とは言い難い運用であり、そこで分析された結果が何らか来場客に当てはめられること自体が他律的情報からの不利益に繋がる恐れがあるからやめましょうという話になります。
さて、今後の話としてはプラットフォーム事業者の制御で情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)やAI関連技術の研究開発・活用推進法(AI新法)、教育データ、医療データ関連の話をどうするのかって話になってきました。まあ当然やれって言われればやるわけですが、個情法改正が一定の方向性にある中で、何をどう着地させるのかという点ではいままさに大騒ぎになっております。
実務的かつテクニカルな話で申し訳ないんですが、例えば今回の東京都議会議員選挙に間に合わせましょうという話になると、公選法も情プラ法も法改正が5月12日までに成立しないといけません。ご審議の日程から逆算すると、自由民主党内で本件が「月内(2月27日)取りまとめ」となると、普通に間に合いません。大丈夫なんですか、これ。
そんなわけで、政治を良くしたい、国民のためにいまの公職選挙法をアップデートするために、また、個情法やAI新法、情プラ法など、次の時代を拓くために必要な議論を積み重ねていきたいと思います。
最後に、本当に蛇足だとは思いますが公明党・斎藤鉄夫さんの「連立離脱」を仄めかす発言で衝撃が収まらない現状がございます。
これね、本当に申し訳ないことなんですよ。自由民主党からすれば、当然そう仰られても何も言い返せないぐらいで、ずっと迷惑を掛けてきて、それでも切に反省してご一緒していきたいという風に思っているわけです。
今回の月刊『公明』冒頭でも、斉藤鉄夫さんの『清新で温かい公明党』との表現は、中道勢力としての公明党の、大衆と共にある再宣言に近い内容であって、太く強い内容です。
それに引き換え、いまの自由民主党が、例えば都議会選挙に臨んで何がいま言えるのか―― いや、まあこれから考えるんだろうけど、選挙を実質4か月後に控えて、いままで政治をやってきた側から「いままでこういう考えで政治に取り組んできた」から、言葉として「都民にこれを語り掛けたい」ってのがあんまりうまく出てこないぞってのは、いままで何を実現したくて政治家をやってきたんですかとか罵声が飛びかねない話になるわけであります。
友党として、素直に「私たちはこれを実現したくて政治に取り組んできました」と真正面から言えることの強さは羨ましく、反面、私たちの内なる日本人的な、曖昧な総体ってのを言語化することのむつかしさもまた、実感するわけでやんすねえ。
それは、法制度どないするねんという政治の根幹のところにも投影されるものであって、議員の成り手が少なくなっている現在、政治家になりたい人が公募に挙手して選抜することで大丈夫なんかいねという気持ちもありつつ、与えられた持ち場で一隅を照らすことが求められているのでありましょうか。
この手の話は、弊所情報法制研究所でもコンサルティング部門でサロン的なものも立ち上げておりますので、ご関心をお持ちの方はぜひお越しください。
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