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僕には、人の波が視える。 見えるのではなく、視える。 感じるといったほうが近いのかもしれな…
※第一話はこちらから 大正12年8月20日――― 石森玲子は一人、自室で膝を落として、唖然と…
夢を見ていた。 心地よい、なにかふんわりとした夢だった気がする。 私の顔を沈める枕からは…
※第一話はこちらか 令和3年8月12日――― 朝目が覚めると、暁人はすぐさま手紙箱の蓋を開け…
※第一話はこちらから すでに白く輝く太陽は、東京の真上を照らしている。 時刻は14時20分。 …
※第一話はこちらから 布団にごろりと転がると、疲れがどっと来たらしく、暁人はうーと唸りな…
祖父が亡くなった。 つい二週間前のことだ。 あまりの突然の訃報に暁人は驚き、納骨が終ってもなお、まだどこかで祖父が生きてるんじゃないかと思っている。 それでも現実というのは、妄想をいとも容易く砕くもので、空っぽになった祖父の家には寂しげな風が通り、面影だけが棲みついていて、すでに抜け殻となっていた。 白石暁人は、母と祖父の住んでいた実家の跡片付けに来ている。 東京から車で約3時間。 さほど離れていないにもかかわらず、あの騒がしい都会がまるで別世界に思えるほどに、田舎にはゆ