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【創作大賞2024応募用まとめ】ねこペティRIMIX#1 「かぼちゃ」(エッセイ「灰かむり姫」)

切り絵と詩。「ねこ」と「食べ物」の組み合わせ。個性豊かな猫たちが、季節の食材に向かって思い思いに歌い出す、きりえや版『キャッツ』のような作品。
かつてWEB連載していた原稿をnoteに再掲載するにあたり、新たに食材にまつわるエッセイを添えました。





ねこペティREMIX#1 「かぼちゃ」(エッセイ「灰かむり姫」)

「ユメとかぼちゃ」(2016)

かぼちゃ
(pumpkin)

みどりの皮の
奥からのぞく

きいろい色が
あざやかで

爪立てすぎて
しかられた


今回登場したねこ:ユメ
2歳オス。好奇心旺盛でいらんことしい。



「灰かむり姫」

「かぼちゃは馬車にはしないでほしい」
事あるごとに妻は言う。かぼちゃはかぼちゃのまま。


畑仕事のサークル内で「美人だがダサい服を着て、すぐ帰る」彼女はずっと謎の人物だった。
継母にこき使われ、家事全般を担ってたと知るのはずっとあとのことだ。

彼女は「灰かむり姫」だった。
でも彼女には運命を変える都合のいいチャンスも、手を差し伸べる王子もいなかった。
だから、最終的に自力で家を飛び出した。
転がり込んだのは大学の自治会室。
僕は、ただで使えるワープロ目当てで遅くまでそこに入り浸ってた、ただのずぼらな先輩だった。

僕の料理の師匠は妻だ。
料理ができたという点が、愛想尽かしを回避させてきた、自慢にならない自負がある。

生き延びるため必要だったのは、魔法ではなく日々の食事。
だから僕は、今日も彼女にごはんを作る。


(2024.1)


※ウェブマガジン「にゃなか」掲載作品(2016~18)に書き下ろしエッセイを添えてお送りします。掲載順は当時の連載どおりではありません。


ねこペティREMIX#2 「ブリ」 (エッセイ「伝家の宝刀」)


ねこペティREMIX#5 「アスパラガス」 (エッセイ「栄光の子役時代」)


ねこペティREMIX#6 「いちご」 (エッセイ「ダブルスタンダード」)


ねこペティREMIX#7 「つくし」 (エッセイ「SF」)


ねこペティREMIX#8 「わらびぜんまい」 (エッセイ「かくれひとでなし」)


ねこペティREMIX#9 「たけのこ」 (エッセイ「シェルター」)


ねこペティREMIX#11 「そらまめ」 (エッセイ「かえるに寄せる複雑な感情」)


ねこペティREMIX#13 「梅の実」(エッセイ「銅像どうでしょう」)


ねこペティREMIX#14 「びわ」(エッセイ「やさしくない木の実」)


ねこペティREMIX#17 「アイスクリーム」(エッセイ「落下傘部隊」)


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きりえや(高木亮)
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