それぞれの「パンとスープ」
今まで書いた小説の中でお気に入りの作品が「パンとスープ」。ある日のおやつタイムを元に書いています。
結構ご好評をいただいてまして「私に向いているのはホラーではなく日常系なのか?」と現在進行形で自分の文才を疑っております。
実は…!
これまで4回朗読されています。
というのもこの作品…「聴くっショ!」で朗読台本としてアップしているからなんです。そのあたりから朗読音声が急激に増えました。
ということで、朗読いただいた音声紹介!
…をあからさまにしても面白くないので、ここは元アナウンサー志望らしく実況中継風エッセイとして感想を述べたいと思います。
実聴!隣のパンとスープ
1軒目
真面目にコツコツやっていたからか、リラックスしているような表情でパンをトースターにセッティングしています。スープを楽しそうに選んでいますね。よっぽどお腹が空いていたのでしょうか。
さて実食です。スープを飲んで一脱力、パンを頬張って再び脱力!頑張りすぎていた身体の力が一定のリズムで抜けていきます。ものすごく詰めて作業していたのでありましょうか、それか何か悩みがあったのか…しかし目は、目は、精力を失っていません!
エネルギーチャージ完了、憂いが瑞々しさに変わっていきました…!!
2軒目
まだ開けきっていないカーテンに太陽差し込む部屋の中、寒い室温の中で固くなりすぎたパンを取り出しました。マグから出る湯気が一段と白く漂っています!
空間内にこだまする咀嚼と嚥下が不満と疑問を蘇らせているー!一体パンとスープは彼女に何を求めているのでありましょうか…!それは己か、社会か、周りか…雑念を優しく諭すかのようにパンの咀嚼は止まらなることはありません!
ハードボイルドたっぷりのおやつタイム、どうやら悟りは開けたようであります!
3軒目
立派なカウンターキッチンがお出迎え。そこには高級スープセットが鎮座しております。パンは有名店で購入したのでしょうか?オーダーメイドにカッティングされた六枚切りパンが丁寧に梱包されています。これから食そうとする家主は仕事の休憩でしょうか…キリっとした表情に柔らかさが少しずつ加わっております。
テーブルに着きました。ティッシュをお皿代わりにするあたり、意外とワイルドですね…おっと!?二口目はガッツリだー!!これでもかと海老のビスクを付け、ヒッタヒタになるまで猛獣のように食らいついているー!!!
インテリジェンスな野心家…そう、これは稀代のカリスマ…ジオン公国総帥、ギレン・ザビのようであります!!一時のおやつタイムは、野心を指針に変容させたのでしょうか…表情にキレが出始めています!
4軒目
どうやら長期休みを満喫しているようです。学生さんでしょうか?この時間を楽しみにしているのでしょうか、とてもお腹が空いている模様です。
トースターをセット、スープを注ぎ…そして実食です。これでもかというくらい湯気を鼻腔に入れながら海老のビスクを一飲みしました!想像以上に来る海老の暴力…食欲はとどまるところを知らず、パンに可愛く食らいつきました!
つけパンを楽しみつつも、表情はどことなく憂いを帯びているようです。悩ましき春を迎える白と赤のコントラスト、ティッシュ上のパンくずが思考の数を示しているようであります!!
最後の一口を食べ終えた姿は、これから先を楽しみにしている若人そのもの。行く先に幸あれ、未来は絶対輝いていることでしょう…!!
…あれ、全然感想になってないじゃん。
というか完全に朗読聴いた実況じゃんこれwww
私が言いたかったのは「それぞれのおやつタイムが垣間見れてすごく楽しかったよ!」の一言だけだったんですよね。それを回りくどく表現した結果がこうなりました。
同じ作品なのにそれぞれの日常が違って見えましたし、登場人物がどんな人間なのかの想像が掻き立てられました!ただ食べているだけなのに、アプローチ次第で背景が変わるのが面白いですよね。だから読みたくなるのかもしれません。
作品をお読みいただいた皆様、本当にありがとうございました!
(拙作を朗読したい方は聴くっショ!かTwitterのDMへお問い合わせください!)
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