Freedom~1日家出~前編
2月下旬、俺は自分の部屋でベッドに
横たわりながら悩んでいた
悩みの原因は親だ。
俺は今から1週間後、和歌山まで旅をする
んで、その時に宿代浮かすために野宿しようと
思っていたのだが親にそれを伝えたら激怒され
まともに口をきいてくれなくなった。
まぁ俺にも落ち度はあったと思ってる。
可愛い可愛い息子が急に
「野宿してぇ」なんていったら
ショック受けるだろうし、なんせ今は2月
夜になればグッと気温が下がる。
そんな中ペラペラの寝袋で野宿するなんて
普通に考えれば地獄だ。
でもその時の俺はジョーブログにはまってて
どうしても野宿がしてみたかった
野宿したい、野宿したい、野宿したい、、、
よし野宿しよう。もういっそのこと家出してやろう
でも俺はビビりだ。
もし捜索されたらどうしよう
もしお父さんにも
口きいてもらえなくなったらどうしよう
(父さんは俺を否定しなかった)
そして悩んだ結果、俺はテーブルの上に
置手紙を置いていくことにした
内容はこうだ↓
「お母さんへ
1泊2日で家出します。隣町の農産物直売所の
駐車場に泊まります。キャンプ道具持ったんで
寒くないはずです。怒らないでください
おやすみなさい」
飛ばないように近くにあったコップを乗せて
出発しようとしたときだった
お父さんが帰ってきたのだ
お父さんは俺の格好を見て察したらしい
「気を付けていって来いよ」
ただそれだけ言って洗面所に行ってしまった
別に止められたわけでもなく怒られたわけでもない
でもなんだか逆に胸が苦しくなって
恥ずかしいことに俺は泣いてしまった
いっそのこと激怒してくれた方が楽だったかもしれない
手を洗って戻ってきた父さんが俺の目の前に座り話し始めた
「俺は別にお前が野宿しようと何しようと
止めようとは思わない。
ただ警察に迷惑をかけたら許さないし
死んだりしたらもっと許さない。だからとりあえず
生きて帰ってくればそれでいいさ。
けどな、母さんは母さんなりの考え方がある。
子供を思う気持ちは俺の何倍も強い
だからこそ危険なことはして欲しくないんだ
いくら高校生になったって息子は可愛いもんだ
お前もこれから色んなとこ旅するだろ?
俺としてもどんどん若いうちに色んな世界を
体験してきてほしい。
でも自分ひとりで生きてるなんて思っちゃダメだ。
お前が挑戦できるのは母さんのおかげでもある
だから常に帰りを待つ人のことを考えて行動しろ。
言いたいことはそれだけ。さ、行ってこい」
もう俺は涙腺崩壊、鼻水ドバドバ
目なんか真っ赤に腫らしちゃってさ 笑
てっきり怒らるもんだと思ってたから
こうやって応援してくれてほんとに嬉しかった
外が暗くなってきた
「父さん、んじゃ行ってくるわ!おやすみ」
「おう、気を付けてな。また明日」
赤く腫れた目を隠すようにニット帽を深く被り
北風が吹く街を歩き出した
野宿するうえで、まず大切なのは食料だ
駅の近くのスーパーで買い出し
一応のため水筒にお湯は詰めてきたので
カップラーメンを作ることにした
あと、明日の朝ご飯も買わなくてはいけない
以下が俺が買ったものだ↓
りんご
ネギ
カップラーメン
缶詰めのパイナップル
バナナスペシャル
とても今から野宿しに行く人とは思えない
ちなみに夜ご飯はネギとラーメンとパイナップル
果たしてこれで2月の夜を乗り越えられるのだろうか
パンパンに膨れ上がった買い物袋を片手に
駅に向かって歩いた
夕方6時の駅のホームは部活帰りの高校生でいっぱい
電車に飛び乗りイヤホンを付けて
落ち着こうと必死になった
でも、電車が進めば進むほど
不安が大きくなるばかり、、、、、
ほんとに小心者なのだ
電車が目的地に着いた
小さな駅なので降りた客は
俺と女子高生のみ。もう外は真っ暗で
不気味だった。ここから歩いて15分離れたとこに
今日の「宿」があるのだ。
YouTubeの撮影ってこともあったので
必死にセルフカメラで撮影しながら
独りで喋ってブルーハーツ歌って
恐怖を紛らわした。でも無理だった
暗闇が恐い。
最後の方なんか50m走か!ってくらい走って
農産物直売所についた。この時点で夜7時半を
回っていた。とりあえずトイレに駆け込み
1日分のウンコした後テントを建てることにした
ちなみにこの直売所は周りが田んぼで囲まれている
これなら叫んでも怒られないかなと思って
「バカヤローーーーーーー」って叫んでみた
声は1人悲しく響き渡りそのうち消えた
俺は今ほんとに1人だ。。