悲しい世代間連鎖をやめるために、今できること~マルトリートメント(避けるべき子育て)ってなに?~
こんにちは。臨床心理士のかちゆみこです。
4人のこどもを育てながら、オンライン専門のセラピールームを開いています。
(詳しい自己紹介は以下をご覧ください。)
「こどものために『よい育児』をしたい」と思いながらも、日常のバタバタで、結局こどもたちを傷つけてしまう育児になってしまい、自己嫌悪に陥っている親って実はとても多いのではないかと思います。
私もそんな一人でした。
(今もときどき、自己嫌悪に陥ることもあります)
今日は、そんな風に子育てで悩んでいる皆さんにぜひ、読んでいただきたい記事を書いてみました。
マルトリートメントってなに?
皆さんは、「マルトリートメント」って言葉きいたことありますか?
「マルトリートメント」は日本語で言うと「不適切な養育」と訳されます。
私はこの訳を初めてみたとき、正直「どきっ!」と何だか自分が責められているような気になってしまい、頭が真っ白になってしまいました。
自分の育児に自信がもてないとき、私のような過剰な反応をして、せっかくの大切な考え方を拒否してしまうのはとてももったいないので、私は、「マルトリートメント」のことを日本語では「避けるべき子育て」と呼びたいと思います。
「マルトリートメント」とは、子どもの心と身体の成長・発達を妨げる育児のことを指します。
今、子どもへの「虐待」については、認知が広がってきていますが、私は虐待とまでは判断できない、この「マルトリートメント」こそが、私たちの悶々とした「生きづらさ」の根っこにあるのではないかと感じています。
では、どんなものが「マルトリートメント」(避けるべき子育て)と言えるのでしょう?
以下のチェックリストをみてみてください。
マルトリートメント(避けるべき子育て)チェックリスト
以下にマルトリートメントの例を示します。
いずれかの項目に当てはまる場合、マルトリートメントの可能性があります。
子どもの人格を尊重しないかかわり
□ 子どもを兄弟姉妹と比較して批判する
□ 親戚などの前で子どもを笑いものにする
□ 「あなたは何をやっても出来ない」などと言う
□ こどもの部屋に勝手に入ってガサ入れする物事を強要するようなかかわり・脅迫的な言葉がけ
□ 子どもの意見を聞かずに、親が全てを決める
□ 子どもの失敗を責めたり、理由を問い詰めたりする罰を与える・乱暴なかかわり
□ 頭に血が上って、大声で怒鳴る
□ 子どもに暴力を振るう一貫性のないかかわり
□ 親の気分で、同じ行動でも叱ったり叱らなかったりする
□ 性別で子どもの行動を制限する放任主義的なかかわり
□ 子どもを無視する
□ すべてを子どもに任せて、何もサポートしないその他
□ 子どもの前で夫婦喧嘩をする
□ 子どもに配偶者への文句を話す
□ 夫婦間での暴力がある
□ 子どもが遊んでほしがっているのに、親がスマホばかりいじる
いかがでしたか?
意外と気づかずに、日常的にやってしまっているもの、あったのではないかと思います。
だけど、ここに当てはまったからと言って、決してご自分を責めることはしないでください。
私たちはこういう間違った子育てを親たちからコピーしてきてしまっているのです。
親は、その親から・・・という風に、これらの悲しい「負の連鎖」は綿々と世代間で引き継がれてきています。
でも、誰もこどもたちにこの「負の連鎖」を引き渡したくないですよね!?
では、私たちに今できることは何でしょう????
気づくこと&決意すること
「負の連鎖」が世代間で起こる時、親はまずそのこと自体に気づいていないことが多いと思います。
「これは避けるべき子育てなんだ」という認識はなく、無意識で子どもたちを傷つける子育てをくり返しています。
もしくは「これが子どもたちにとって『よい子育て』なんだ」と思い込み、「それが間違っている」とは思っていない場合もあると思います。
もし、今、あなたが、自分の子育てについて悩んでいたり、葛藤があったとしたら、それはとても素晴らしいことです。
なぜなら、あなたの中で湧きおこっている「このままではいけない!!!!」「変わりたい!!!」「何とかしたい!!!!!」という衝動は負の世代間連鎖をやめ、よりよい連鎖に変えていくための大きなエネルギー源になるからです。
末っ子の尊厳を傷つけてしまった話
つい先日、起こった末っ子とのエピソード。
「やっちまった!!!」という私の失敗談です。
家族ででかけて疲れていた休日の夜、末っ子が掃除をしてくれようとしてくれていました。
正直、私は心の中で「めんどうくさいなぁ。」「余計な事しなくていいのになぁ。」と思っていました。
すると、案の定、末っ子はテーブルの上にあった水筒をうっかり落としてしまいました。
「あ゛~~~~~!!!!!」と私。
そのとき、私がすごい顔をしていたのでしょう。
末っ子は「怒られた!」と思ったようで、「ママが疲れているから、お手伝いしてあげようと思ったのに!!!!!!」とふてくされて、大泣き。
私も末っ子の「手伝いたい!」「役に立ちたい!」「褒められたい!」という気持ちがわかっていたのに、イライラ・うんざりしてしまい、自分がこのような態度しか末っ子にできなかったことがショックでした。
私は大泣きしている末っ子に、せいいっぱい謝りました。
「ごめんね。怒ったつもりはなかったの。
ゆーゆ(末っ子のニックネーム)は、ママの役に立ちたいって思ったんだよね。ありがとう。」
過去の自分への理解と癒し
そんな風に末っ子に声をかけながら、自分の子ども時代を思い出していました。
自営業をしていた実家はいつも大人たちが忙しく働いていました。
幼い私が大変だなぁと思って手伝おうとしても、逆に「余計なことはするな!!!邪魔だからあっちへ行ってテレビでもみてろ!!!!!」と怒られてしまったことが何度もありました。
いつしか私は、手伝うことは「邪魔」だから、おとなしくテレビをみるのがいいことなんだと理解するようになりました。
「手伝うことは大人の邪魔」
この間違った信念が、今でも私の家庭に忍び込んでいたことを、末っ子とのやり取りで気づくことができました。
気づいたら、できることはたくさんあります。
親を責めるのではなく、一緒に学びあう環境
実際に子育て真っ最中の私が思うに、負の世代間連鎖を止めるためには、親に「そんな接し方はダメ!!!!」とダメ出ししたり説教することは何にも意味がなく、逆効果だと思います。
子育ては孤独です。
自分の親から虐待やマルトリートを受けてきてしまった方なら、なおさらダメ出しや説教に敏感で、自分を責める負のループに陥り、さらに孤立しやすくなってしまいます。
私は、自分の気持ちをありのまま話せる仲間と出会って、本当に救われました。
家でもなく、ママ友関係でもなく、親がなんでも安心して話せる場があるって、負の世代間連鎖を断ち切るために大きなチカラになると実感しています。
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